――DCDCの使命について、また、来日された目的をお聞かせください
マーチソン氏: 本日はお招きいただき、ありがとうございます。当研究所の取り組みを発表する場を設けていただいたことに感謝いたします。私は、英国国防省のシンクタンクであるDevelopment, Concepts and Doctrine Centreのメンバーです。DCDCは、政策立案の概念部分を担当しており、事業の対象期間は30年から3分のものまであります。2003年の米軍を主体とした有志連合によるイラク侵攻についての調査以降、政策立案者は意思決定ありきで証拠を固めるのではなく、証拠を基に意思決定を行うことを、ことさらに重視しています。DCDCはあらゆるレベルでの意思決定の改善をサポートする組織です。
DCDCには、3本の柱があります。指揮幕僚の統合運用レベルの意思決定を対象とする「政策方針室」、(政策資源の)配分が適切な意思決定を支援する「コンセプト策定室」、そして、私が室長を務めている「未来・戦略分析室」です。未来・戦略分析室は、政策立案と英国国防省内の戦略開発を支援しています。わずか60人ほどのごく小さな組織で、半数が軍関係者、半数が民間人です。したがって、必要な事業範囲をカバーするには、グローバルパートナーや学術機関、その他のシンクタンクとネットワークを構築する必要があります。そこで、Global Strategic Trendsレポートを紹介し、インド太平洋地域におけるさまざまな視点をより深く理解するために、同地域の各国を歴訪しています。2~3週間をかけて日本、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドをまわり、この地域の多彩な知見や見識と、英国からの視点ではない現地の視点について理解を深める予定です。
――日本が最初の訪問先であることを光栄に思います。Global Strategic Trendsに言及されましたが、GSTシリーズはどのように利用されているのでしょうか。また、英国政府の意思決定構造におけるこのレポートの位置づけをお聞かせください