No.0059

2018年11月12日

東南アジアから世界へ 民主主義と平和を問う二人の芸術家
マレーシアのテヘラーニ氏とインドネシアのハリヤント氏インタビュー


10代の頃に創作活動を開始して以来、人権やジェンダー問題など数々の社会派作品を発表し続ける、マレーシアを代表する作家ファイザル・テヘラーニ氏。インドネシアを拠点に、映画制作やその上映を通して政治的にも文化的にもセンシティブな課題に切り込み、様々な問いを社会に投げかける映画監督ダニエル・ルディ・ハリヤント氏。今回SPF NOWはこのカッティングエッジで個性的な二人のアーティストに同時にインタビュー。

―沖縄訪問で何が印象に残りましたか?

ファイザル・テヘラーニ、以下 FT:
琉球王国とマレー諸島は15世紀から交流をもっていました。私たちは沖縄と非常に長い歴史を共有しているのです。ただ残念なことに、私たちの多くは沖縄の歴史や特に第二次大戦中現地で起こったことに無頓着です。この沖縄訪問は私の人生を変える感動的な旅でした。

ダニエル・ルディ・ハリヤント、以下 DRH:
沖縄訪問はとても印象に残っています。映像作家、画家、そして歌い手として感じるものがありました。特に佐喜眞美術館にあった丸木位里・俊夫妻の大きな絵画(沖縄戦の図)が印象的でした。作家の強い想像力と沖縄、琉球の人々の痛みの歴史に感じ入りました。

―芸術はどのように社会貢献できると思いますか?

FT:
芸術家は、弾圧されている側の一部というか、彼らの声となり問題を代弁する立場にたてると思っています。だからこそ、真剣な芸術家や作家でいることは、容易ではありません。それは役目であり責任だと強く思っています。芸術家は、(社会的少数派など弱い立場の)人々が片隅に追いやられないよう光を当てるのが仕事だと思っています。

DRH:
私は、芸術や文化のムーブメントに若い頃から興味を持っています。芸術は目撃者となります。そして世界の人々に気づきをもたらします。1998年のジャカルタでの学生運動に参加していた当時、インドネシア中の学生と連携しました。映画を使って、民主化のために戦いました。コミュニティーを訪問し、映画を上映し、それを通じて議論をしました。文化や芸術によって世界中の人々が刺激を受けると信じています。

―本日の講演で聴衆に伝えたいことは?

FT:
「ハイブリッド民主主義」というのは、「フェイク民主主義」もしくは「ニセ民主主義」と言えると思います。人権への配慮や、報道の自由、表現の自由、言論の自由、宗教の自由などに欠けています。それは、健全な民主主義のように立ち振る舞いますが、選挙は、対立候補が選挙に勝てないように仕組まれます。例えば、今年のマレーシアの選挙では、投票日が水曜日に設定され、わざと人々が投票に行きづらく仕組まれました。しかし、投票者たちが気づいて、抗議しました。その結果、我々はハイブリッド民主主義に勝利しました。本日の私の講演では、「マレーシアの人々がいかにハイブリッド民主主義を覆し、健全な真の民主主義を守る選択が出来たのか?」を共有したいと思います。

―沖縄での上映会の感触は?

RDH:
沖縄での上映会は満員御礼でとても楽しかったです。映画に対して色々な意見をもらいました。イスラム教がどのような宗教か、インドネシアやマレーシアがどんな国か詳しく知らない人もいたので、インドネシアにおけるイスラム教について話をするところから始めました。その中で、イスラム教がどのようにインドネシア土着の文化と融合したかも説明しました。私は映画を通じて、国際社会と共に改めてイスラム教を学び理解したいと思っています。イスラム教は決して人々にテロリストになるよう促してはいません。ただ、一部の人間が宗教を武器に暴力に訴えています。そんな中、私は何か新しいものを世界的視点で、芸術や文化や映画を通じて創造したいのです。

―多元主義の観点からイスラム教について話していただけますか?

FT:
イスラム教は他の信仰や考え方と共存しなければなりません。預言者ムハマドの教義または教えではそれが強調されています。イスラム教は長い歴史があり、非常に多様です。我々のイスラム・ヌサンタラ(マレー世界のイスラム)は、宗教も地域の伝統と調和しているので、(中東の実践とは)かなり違うところもあります。サウジアラビアで起こったワッハーブ派には、他の信仰に敬意を払わない人たちもいます。若者を中心に徐々に広まっていますが、彼らは自分たちだけに生存権があるように錯覚しています。自分たちだけがイスラム教を実践する権利があると信じ、他のコミュニティーや国をテロの標的にしてきました。だから今、私たちイスラム教の人々が団結し、この問題を克服するための仲間を集めなければならないのです。

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以下の映像で、ファイザル・テヘラーニ氏とダニエル・ルディ・ハリヤント氏のインタビュー全編をご覧ください!

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