笹川平和財団では、インドネシアのシンクタンクであるハビビセンターと共に、東南アジア、特に、インドネシア、マレーシア、タイにおける民主主義と市民の自由(civil liberties)に関する調査研究を行ってきた。世界的にも権威主義体制が強化される中で、市民が自由に活動できる領域(シビック・スペース)が制限され、民主主義の価値の衰退が起こりつつあると危惧されている。東南アジア諸国も例外ではない。
市民の自由という観点から、2019年の11月には、「ASEANにおける縮小するシビック・スペースと平和構築:インドネシア、マレーシア、タイの課題と提言」と題したセミナーをジャカルタで開催し、どのような方法で各国政府はシビック・スペースを制限しているのか情報共有を行うと共に、市民社会組織の取り組みについて議論した。この報告書は、セミナーで得られた情報を元に、更なる調査・議論を深め、民主主義と市民の自由に関する三か国の課題と各国政府や市民社会に対する提言をまとめたものである。
アジア事業グループ 堀場明子