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福島廃水に関する第5回PIF事務局・日本会合で集中的な対話続く

(2023年6月7日、スバ、PIF事務局/PACNEWS)


21分

抄訳

※元記事「Intensive dialogue continues at 5th PIF-Japan meeting on Fukushima wastewater(SUVA, 07 JUNE 2023 (PIFS))」
 
フォーラムの専門家は、6月上旬に国際原子力機関(IAEA)とオンライン会合を開き、福島から太平洋に放出される予定の処理された核廃水(※直訳、treated nuclear wastewater)について議論する予定だ。
 
IAEA専門家との会合は、太平洋諸島フォーラム(PIF)と日本の科学専門家が2023年6月1日に5回目の会合を開き、多くの技術的問題をさらに議論したことを受けてのものである。この会合(※PIFと日本の5回目の会合)は、2023年4月14日に開催された第4回会合に続くものであり、日本の提案する計画に関する資料や情報、ひいては太平洋島嶼国に対する安全性等に関する事項について、より明確な理解を得ることを目的としていた。
 
第5回会合(※PIFと日本)では、PIF事務局長代理のフィリモン・マノニ博士、外務省国際原子力協力室の佐藤室長が共同議長を務めた。
 
マノニ事務局長代理は、岸田首相が日本がALPS処理した核廃水(※直訳、ALPS treated nuclear wastewater)を、安全性が確認されるまで放出せず、信頼と友好の精神に根ざした関係に基づいて放出すると保証をしたことを想起し(recall)、強調した。
 
来週、PIFの専門家が国際原子力機関(IAEA)の専門家と2023年4月20日の初会合に続き、2度目の会合を行い、集中的な科学的対話が継続される予定だ。
 
さらに、PIF加盟国の非公式作業部会が、提案された計画に関連する国際的な法的問題を考慮している。これには、海洋、環境、健康、人権に関連する越境的かつ世代間の問題に注目し、関連する国際的な法的条約や文書の特定、関連するルールやメカニズムの評価などが含まれる。
 
2023年2月7日に東京で行われたPIF議長であるクック諸島のマーク・ブラウン首相と日本の岸田文雄首相との初顔合わせでは、科学情報の緊急共有と政治対話の進展に対する懸念が示された。両者は、科学・政治レベルでのさらなる集中的な対話に合意し、日本とPIF専門家の円滑な情報交換と対話の必要性を確認し、放出に関する政治的決定を導くための科学とデータの重要性を確認した。
 
2023年2月24日のPIF特別首脳会議(リトリート)で、PIF首脳は「核汚染の潜在的脅威が、青い太平洋、その人々、将来のビジョンの健全性と安全にとって重大であるという強い懸念を想起し、PALM9宣言に従って、国際協議、国際法、独立し検証できる科学評価を確保する重要性を再確認」した。(※原文:20. Leaders recalled their strong concerns for the significance of the potential threat of nuclear contamination to the health and security of the Blue Pacific, its people and prospects, and reaffirmed the importance of ensuring international consultation, international law, and independent and verifiable scientific assessments as per the PALM9 Declaration.)
 
PIFの独立科学専門家パネルは、今後40年間で100万トン以上の核廃水を太平洋に放出する計画について日本が提供するデータや情報に対する独立した科学的評価でPIF加盟国を引き続きサポートしている。
 
2020年12月15日に開催された第1回ラロトンガ条約締約国会議で明示されたように、PIF加盟国は、「日本が太平洋への潜在的な害に対処するために必要なすべての措置をとることを強く求め」、「国際法の下で求められるように、他国の領域への著しい越境的害を防ぐために自国の領土、管轄、管理内のすべての適切な措置をとること」とした。

 

コメント

本記事の後、PACNEWS配信版ダイジェストでは、日本政府による次の記事が掲載されました。
 
「東京電力福島第一原子力発電所における高度液体処理システム(多核種除去設備, ALPS)処理水の現状に関する太平洋諸島フォーラム事務局およびその専門家との対話(2023年6月9日、日本政府/PACNEWS)」
 
原文は以下のとおり。
※The article below is first published with JAPAN GOVT/PACNEWS
 
Dialogue with the Pacific Islands Forum Secretariat and its experts on the current status of advanced liquid processing system (ALPS) treated water at TEPCO’s Fukushima Daiichi Nuclear Power station
 
TOKYO, 09 JUNE 2023 (JAPAN GOVT) ---On 01June, a video conference on ALPS treated water at TEPCO’s Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (FDNPS) was held with the Pacific Islands Forum (PIF) Secretariat and its experts.
 
Officials from Ministry of Foreign Affairs (MOFA) and Ministry of Economy, Trade and Industry (METI), Nuclear Regulation Authority (NRA), and staff from TEPCO, on the Japanese side; Deputy Secretary General Filimon Manoni, Director Sione Tekiteki Governance and Engagement, PIF Secretariat and experts (Antony M. Hooker, Robert H. Richmond, Ferenc Dalnoki-Veress, and  Arjun Makhijani) on the PIF side attended the session.
 
Four briefing sessions have been conducted since 2022 with the PIF Secretariat and its experts on the current status of ALPS treated water at TEPCO’s Fukushima Daiichi Nuclear Power Station. In addition, based on the meeting between Prime Minister Kishida and the delegation of the PIF on February 7th in which both sides concurred in the importance of an intensive dialogue on the discharge of ALPS treated water into the sea, and the 2023 PIF Special Leaders Retreat in February 23rd in which PIF leaders expressed its support for intensifying political and scientific dialogue with Japan on this matter, one dialogue at experts level has been held.
 
In the meeting, the Japanese side provided scientifically based explanations of the planned discharge of ALPS treated water into the sea, focusing in particular on the following items, based on the interests of the PIF side in the discussions at the previous briefing sessions.
 
(1) IAEA safety standards
 
PIF experts asked questions concerning justification and optimization regarding the general principles of radiation protection in IAEA safety standards. The Japanese side explained thatthey have chosen to discharge into the sea and are proceeding the procedures towards the discharge into the sea after considering from both point of view.
 
(2) Alternative ways of disposal
 
The PIF experts proposed a plan to use ALPS treated water in making concrete.The Japanese side explained that the disposal measure of ALPS treated water has been reviewed by experts in the past and responded that the heat generated during concrete mixture evaporates tritium contained in ALPS treated water into the air, that concrete which contains ALPS treated water is classified as radioactive waste under domestic law, and that the mass of ALPS treated water that is currently stored is enormous and will be greater after its dilution and etc. With regard to above, Japan has responded that the suggested proposal is difficult due to technical and legal aspects.
 
(3) Measurement of Radionuclides Before Discharge
 
The Japanese side explained that the analytical method for each nuclide which to be analySed before discharge and that IAEA published the report evaluating that TEPCO has demonstrated a high-level accuracy in their measurements and technical competence.
 
Japan and PIF Secretariat and its experts concurred the importance of this dialogue and its continuation of the intensive dialogues. Japan will continue to provide the Pacific Islands countries and regions with explanations based on scientific evidence in a highly transparent and sincere manner, while continuing to undergo the reviews by the IAEA....PACNEWS
 
日本語の内容は経産省HPに掲載されています。
https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230607003/20230607003.html
 
 
2023年2月24日のPIFリトリートの関連部分は以下のリンクから確認できます(20.~23.)。
https://www.forumsec.org/2023/02/27/communique-pacific-islands-forum-special-leaders-retreat/
 
 
 
3月以降、私自身、太平洋島嶼国や国内外でさまざまな島嶼国関係者に会う機会がありました。ALPS処理水の海洋放出に反対の方々には、①日本は核廃棄物(nuclear waste)を海洋投棄(dump)しようとしている、②日本は過去の核廃棄物海洋投棄計画が問題を起こしたことを知らないのか(1980年頃のもので、この問題をきっかけとして日本とPIFという地域枠組みの関係が始まり発展していった)、③データの意味が分からない、④国際基準は関係ない、⑤PIF専門家パネルが危険性を主張している、⑥世界が反対している(中国や韓国のこと)といった考え方が共通してありました。
 
3月にNYで会ったある南半球の太平洋島嶼国の外交官からは、大変バイアスのかかった理解の下、「日本は何でわからないのか。なぜ核廃棄物を海洋投棄しようとしているのか。環境への影響がわからないのか。」と諭されたことがあります。これに対し、日本政府は国際基準に則り適切な処理をしておりIAEAも調査しているを伝えると、感情的になり、「そんなことは知らない。PIF専門家パネルは危険だと言っている。日本は海洋放出を止めるべき。やめなければ日本と太平洋島嶼国の関係は悪化する。」と反論されました。つい先日も太平洋島嶼国出身の外交官から同様の話がなされ、これではいつまでも正確な理解は得られないと感じられました。
 
ALPS処理水に対するとらえ方が根本的に異なっています。太平洋島嶼国で反対の方々はこれを核廃棄物、汚染水と認識しており、海洋放出を認めないことを前提として日本に対応しています。国際基準に基づいて「安全」としているものでも、PIF専門家パネルの主張に基づき安全とは認めない姿勢です。
 
専門家パネルは、IAEAは原子力の利用のための機関であり、その基準は利用のための政治判断のための指標としているため、基準以下に処理されたものであっても自然科学者として看過できないという立場だと考えられます。本件に関して、PIF事務局ではPIF専門家パネルの意見が上位にあるので、国際基準よりも専門家パネルの意見に従っている状況とみられます。
 
一方、PIF事務局はPIF加盟国の政治決定に介入することはできません。以前、専門家パネルの方々と話した際には科学者の意見と、各国首脳が行う政治判断には違いがあると述べていました。PIF加盟国は主権国家としてそれぞれ政治判断をすることになります。国際基準や国際法に反する判断があれば、その国に対する疑問が生じることになり、後の本件に関連しないさまざまな交渉に影響するかもしれません。
 
記事ではPIF事務局の非公式作業部会が、関連する国際的な法的条約や文書の特定、関連するルールやメカニズムの評価も行っていると紹介されていますが、専門家パネルを要するPIF事務局が日本にチャレンジしているように見えます。
 
記事の最後には1985年に締結されたラロトンガ条約(南太平洋非核地帯条約)に関する話が掲載されています。同条約は、南半球の11島嶼国と豪、NZによるもので、当時独立していなかった米国自由連合国(パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島)は含まれません。そのため、これをPIF加盟国すべての意見とすることには問題があります。
 
他方、この南半球諸国の方々と話して感じるのは核問題に関する大変デリケートな感情です。太平洋島嶼地域は戦後米英仏が核実験に利用してきた歴史があり、この条約が締結された時代にはまだフランスは核実験を行っていました。そもそも1971年にPIFという枠組み(当時は南太平洋フォーラム(SPF))が米英豪NZ仏がメンバーであった南太平洋委員会(現太平洋共同体SPC)とは別に当時すでに独立していたフィジー、サモア、クック、ナウル、トンガと豪、NZにより設立された背景にはフランスの核実験に対する抗議がありました。
 
特にラロトンガ条約締約国では、核(原子力)を利用している国々とは核に関する認識が根本的に異なる可能性があります。それは、AUKUSの下で豪州が原子力潜水艦を導入するという話に対する反応からも見て取ることができます。ラロトンガ条約締約国の領域では原子力の利用は認めないという考え方があるようです。
 
その観点からいえば、ラロトンガ条約締約国(すべてのPIF加盟国ではない)が懸念する彼らの海域への影響について、これがないことを示すことは、彼らの反対根拠の1つを解消することになるかもしれません。
 
地域には、PIFという地域枠組みと主権国家としての太平洋島嶼国14カ国があり、PIF事務局は首脳の決定事項(コミュニケなど)に基づいて、加盟国が政治判断を行うための情報を提供する立場にあります。今後、それぞれの太平洋島嶼国は、PIF事務局によるPIF専門家パネルのフィルターを通した情報や助言と、日本政府による情報などに基づき、政治判断をしていくことになるでしょう。
 
 
さて、本件に関する一連の動きを俯瞰すると、PIF事務局がどのように太平洋島嶼国各国の政府に影響を与え、太平洋島嶼国各国がどのようにPIF事務局を利用しているのか、どの国に外部勢力の影響が強いのか、どのように現地メディアが影響を与えているのかが見えてきます。そのため、この一連の出来事は、今後、本件に限らず、日本の太平洋島嶼国およびその地域との戦略的な関わり方にとって有用な事例になる可能性があります。
 
日本が安全な処理水を海洋放出を開始した後に想定される影響については、別の機会にコメントさせていただきますが、一点、個人的な見解として、日本側に明らかな誤りがないことを前提に、太平洋島嶼国側が理不尽な対応を続けていけば、日本における太平洋島嶼国に対する感情に悪い影響が及ぶ可能性があることを太平洋島嶼国側関係者に伝え始めています。
 
次のブレーキングニュース記事では、3月13日以降の本件に関するPACNEWS記事(タイトルのみ)一覧を紹介します。

 
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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