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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

PNGウォン漁業大臣、核廃水の太平洋への排出に反対

(2023年3月6日、ポートモレスビー、POST COURIER / PACNEWS)


抄訳

パプアニューギニアのジェルタ・ウォン漁業海洋資源大臣は、日本に対し、機能していない福島原子力発電所(the disabled Fukushima nuclear power plant)から100万トン以上の放射性廃水を太平洋に放出する計画(plans to dump more than one million tonnes of radioactive waste water into the Pacific Ocean)を中止するよう要請している。
 
ウォン大臣は、太平洋諸島の人々の生命や、世界中の魚やその他の海産物の消費者の健康に対するリスクが高すぎるため、核廃水の排出(the discharge of the nuclear waste water)を進めてはいけないとし、「太平洋島嶼国は日本と親密な友好国であり、核分裂生成物(nuclear fission products)が海中に拡散することを受け入れることはできないと、私たちは共に敬意を持って伝える。」「この核廃水が生態系や食物連鎖に入り込み、人々を汚染し、太平洋の漁業に害を及ぼすことは疑いようがない。」「この核廃水が排出されれば、今後何十年にもわたって人々に害を与える『太平洋のチェルノブイリ』となる。」「日本は、広島と長崎の原爆投下(the Hiroshima and Nagasaki atomic explosions)の後、何十年にもわたって何千人もの日本人を殺傷し続けた残留放射性物質による人体への害を、他の国よりもよく知っている。」と述べた。
 
また、ウォン氏は、核廃水がある程度処理されているだろうことは理解できるものの、汚染された核施設を所有する東京電力(TEPCO)でさえ、そのリスクを確認しているとし、「2018年に東京電力は、フィルター処理が完璧ではなく、重放射性元素(heavy radioactive elements)すべてを完全には除去できていないことを認めた。」「東京電力も、国連国際原子力機関(IAEA)も、貯蔵された福島の廃水の約70%が、まだ元の核分裂核を持っている可能性があることに同意している。」「私たちは、100万トン以上の核廃液が海流に沿って流れ、筋肉、骨、甲状腺の人間の細胞の突然変異を引き起こし、将来の世代に癌や先天性欠損症をもたらすという話をしているのだ。」「放射性廃棄物の海への放出(The release of radioactive waste into the ocean)は、太平洋の人々にとって容認できるものではない。」と述べた。

 

コメント

ウォン大臣の発言がどのような場でどのような経緯をもって行われたかが不明ですが、この発言はまさに筆者がソロモン諸島政府の高官から直接伝えられた考えと同様であり、PNGの漁業大臣には正確な情報が伝わっていないことがわかります。十分に処理されているか否かの判断は国際基準に基づくものですが、おそらくウォン大臣は現在のALPS装置の能力や処理水について情報がなく(あるいは認識しておらず)、日本が核廃棄物を海洋投棄するとして発言しています。
 
この記事で述べられている内容は、先月(2月)のクック諸島のブラウン首相率いるPIF代表団の訪日、PIF特別首脳リトリート以前の情報のものであり、おそらく太平洋島嶼国各国において情報伝達・情報理解がまだら模様になっていることが考えられます。
 
筆者の経験では、太平洋島嶼国では(太平洋島嶼国に限らないが)、最上位者に情報を伝えたからといってそれが全体に伝わらないことも少なくありません。例えば、大使から現地首脳に伝えれば国と国の関係では公式に情報を伝えたことになり記録にも残りますが、実効性を考えれば、さまざまなレベルでそれぞれの担当者がブレずに一貫して何度も何度も何度も同じ情報を伝えていく必要があります。
 
次いで、関連記事を紹介します。
 
 
----(ここから)----
フィジー、日本の核汚染廃水放出(discharge nuclear-contaminated wastewater)計画に厳戒態勢を敷く(2023年3月6日、スバ、XINHUA(新華社)/PACNEWS)
 
フィジーのマノア・カミカミザ首相代行は金曜(3/3)、日本が福島原発の核汚染水を太平洋に放出する(discharge the Fukushima nuclear-contaminated wastewater into the Pacific Ocean)計画を立ててから、フィジーは非常に高い警戒態勢をとっていると語った。
 
カミカミザ首相代行は、もしALPS(Advanced Liquid Processing System)処理水がそれほど安全であるなら、なぜ日本では製造業や農業などの別の目的に再利用しないのかという疑問を述べた。
 
また、首相代行は、太平洋の健康はフィジー人にとって極めて重要で、太平洋は多くの人々の生活の源であり、世界で唯一健全なマグロの資源を保有している、太平洋諸島フォーラム(PIF)の2050年戦略では、海洋と人々の保全、保護、安全を重視していると強調した。
 
さらに、首相代行は、PIFの退任する議長国として、フィジーは、日本政府が計画しているALPS処理水の放出は科学とデータによって導かれるべきであるとする先月のナンディでのPIF首脳の決定を支持するとし、日本が計画している放出は、太平洋全域に越境的な影響を及ぼすものであり、放出を進める前に、その影響について共通の理解を得ることが重要であることを指摘した。
 
カミカミザ首相代行は、PIFは、この複雑な問題についてメンバーに助言し、この問題に関する日本の立場に関するデータと情報を検討するために、独立した科学専門家パネルを設置したと述べ、簡単に言えば、専門家は、共有されているデータと情報に基づいて、日本政府や国際原子力機関(IAEA)と同じ結論に達することができなかったと付け加えた。
 
PIFは日本に対し、事故を起こした福島第一原子力発電所によって汚染された廃水の太平洋への放出(discharge of wastewater contaminated by the wrecked Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant into the Pacific Ocean)を延期するよう求めている。
 
日本政府は1月、物議を醸している放射性廃水の太平洋への放出計画は、春か夏に開始すると発表した。
 
太平洋地域はすべての関係者が安全であると確認するまでは放出しないことを堅持していると強調する一方で、PIFのヘンリー・プナ事務局長は、日本が放出を進めないことが太平洋にとって絶対に重要であると最近述べている。
 
プナ氏は、PIFが他の手によって再び大きな核汚染災害へと導くあるいは誤解させるような行動を阻止しなければならないと警告した。
 
---(ここまで)------
 
中国の新華社通信は10年ほど前からスバに支局を設置しています。
 
この2つ目の記事からは、次の3点が注目されます。
・ALPS処理水の海洋放出以外の利用方法
・科学とデータに対するPIF専門家パネルの国際基準(日本・IAEA)への挑戦
・プナPIF事務局長発言と加盟国首脳
 
なぜ、ALPS処理水を製造業や農業に使用しないのかという点については、PIF専門家パネルも指摘していますが、日本側からは海洋での希釈というのが最終処理方法の一つとされているという話や、すでに製造業や農業に使用する水はあるという話を聞いたことがあります。海洋放出反対如何に関わらず、今後もこのような指摘が出るはずなので、日本側として一貫した説明が必要になると思われます。
 
首脳が政治判断するための科学とデータについてですが、PIF専門家パネルは国際基準に否定的であるため、PIF首脳が「PIF専門家パネルの基準」を主張し続ける限り問題解決は難しい状況です。場合によっては、IAEAとPIF(事務局・専門家パネル)の対立となり、PIF加盟国の中にあるIAEA加盟国と非加盟国の間の対立に発展する可能性もあるかもしれません。
 
プナ事務局長の発言については、「最近」が先日の首脳リトリートの前なのか後なのかで意味が変わってきますが、仮に後の発言であるとすれば、リトリートにおける首脳合意をかき回す内容であり、PIF首脳の意思を超えた発言として今後、PIF加盟国から不満が出ることも考えられます。
 
PIFの枠組みで進められ1986年に発効した南太平洋非核地帯条約(ラロトンガ条約)では、11太平洋島嶼国・豪州・NZが当事国となっていますが、当時まだ独立していなかった米国自由連合国(パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島)は現在も加盟していません。こういった背景が影響しているのか不明ですが、今回の件についても、南半球の国々と北半球の米国自由連合国の間には認識の違いがあるようです。
 
日本側は一貫した姿勢で、現地メディアも活用しながら、さまざまなレベルで正確な情報を繰り返し伝えていく必要があると考えられます。

過去、1981年の日本の核廃棄物海洋投棄計画問題については日本とPIF枠組みの対話強化に繋がり、1990年代のMOX燃料輸送への懸念については10億円の民間出資基金が設置される(当時は、事故発生時の初期費用の備えであり、運用益はPIF事務局と相談し人材育成を行うことを目的とされていた)という落としどころがありました。

仮に今回の件について太平洋島嶼国側が何らかの落としどころを求めているのであれば、現在の太平洋島嶼国に響く言葉であるユース、人材育成、海洋教育も意識し、将来にわたる太平洋島嶼国自身による海洋環境モニタリングのための人材育成を(留学生や研修員など既存のスキームを活用するなどして)実施することが歓迎されるかもしれません。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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