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太平洋諸島フォーラム、日本外相との会談で福島原発の懸念に関する首相との会談に向けた第一歩を踏み出す

(2023年2月7日、スバ/東京、PIFS(PIF事務局)/PACNEWS)


16分

抄訳

次期フォーラム議長であるクック諸島のマーク・ブラウン首相は今週、フォーラム代表団を率いて東京に向かい、日本が計画している核処理排水(treated nuclear wastewater)の太平洋への排出の延期について、太平洋地域の首脳の懸念と要請を伝えていく予定である。
 
月曜日のPIFの発表によると、福島の廃水問題(Fukushima wastewater issue)について太平洋のメッセージを伝える最初の会合は、岸田文雄首相との会談につながる。
 
次期フォーラム議長として、マーク・ブラウン首相は、ヘンリー・プナ太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局長を伴って、林芳正外務大臣と会談した。
 
ブラウン首相は、日本が太平洋地域との関係強化を約束したPALM9の結果を再確認した。ブラウン首相は、PIFの独立した科学的評価データに基づき、海洋放出計画案について太平洋地域の懸念が継続していることを強調した。
 
首相と外相は、環境と人間の健康に害を及ぼさないことを保証することの重要性を確認した。ブラウン首相は、さらなる情報交換とすべての関係者の満足なしに放出が行われないことを保証する必要性をあらためて強調した。
 
ブラウン首相は、太平洋地域の首脳が次回開催する特別会合で、この件に関する報告を行うことを強調した。ブラウン首相は、この問題に対するPIFの現在の立場と、放出の科学的根拠とその意味するところに関する共通理解に向けて協力することの重要性を再確認した。
 
ブラウン首相と林外相は、特に日本とPIFの専門家の間でさらに集中的な対話が必要であること、放出に関する政治的決定を導くための科学とデータの重要性で合意した。
 
ブラウン首相は、外務大臣が「青い太平洋大陸のための2050年戦略」(the 2050 Strategy for the Blue Pacific Continent)に対する認識と強い支持を表明したことを歓迎した。その中には、ますます複雑化する地政学的・安全保障的環境における協力強化の必要性、前進する努力を加速する必要性、気候変動をもたらす温室効果ガスの排出削減(climate change emissions reductions)、2050年までにネットゼロへの移行、PALMプロセスによってもたらされるより密接な協力の機会などが含まれていた。
 
ブラウン首相とヘンリー・プナ事務局長は、日本政府が、気候変動に伴う海面上昇に直面した際の海域の保全に関する太平洋諸島フォーラム首脳宣言への支持を表明し、国連海洋法条約に基づく海域の恒久性を承認する予定であることに祝意を表明した。

 

コメント

今週から日本政府の招へいによりクック諸島のブラウン首相率いるPIF代表団が来日しています。昨日(2/6)は林外相との会談の他、西村経産相との会談も行われました。本記事はPIF事務局発のニュースになりますが、注目すべきは次期議長国クック諸島のブラウン首相が率いているとしている点で、事務局長よりも国家首脳の立場が上位にある点が読み取れます。
 
今回の招聘は日本が太平洋島嶼国側の声を大切にしていることを示すものであり、一連の会談等を通じて相手側の理解が進展するとともに、PIF事務局に対する日本側の理解が進むことが期待されます(PIFという地域枠組みとPIF事務局の使い分けが必要)。
 
今回の訪日に合わせて、PIF事務局は昨日(2/6)次のファクトシート(英語、日本語)を発表しています。
https://www.forumsec.org/2023/02/06/release-pif-fact-sheet-japanese-discharge-of-nuclear-wastewater/
 
日本語版の中身は次の通りです。
 
----- ここから
 
太平洋を安全で核のない青い海に保つためのフォーラムの関与について
 
◇要約
2011年、巨大津波が東京電力福島第一原発を襲い、破壊しました。この事故に伴って発生した高濃
度の放射性物質を含む汚染水 125万トンが、現在プラント内に保管されています。日本政府は、こ
の汚染水を処理したものを今年のうちに太平洋へ放出する意向を発表。安全性に問題はないと主張
しています。パシフィック・アイランズ・フォーラム(以下 PIF)の専門家による独自の評価として
は、日本政府が今まさに行おうとしている海洋放出は、太平洋に暮らす人々と海洋生態系にとって安
全であると判断するにはデータが不十分であると考えています。
 
太平洋が抱える懸念
地球の表面積の三分の一を占める太平洋。その太平洋を守るのはわたしたちだと思っています。
人々の健康と環境への影響に関する徹底したアセスメントを行うに足る十分なデータと情報が得ら
れたときに限り、汚染水の放出は選択肢となる ー それがわたしたちの見解です。
 
◇さらされているリスクとは
放射性物質による汚染拡大は、太平洋にとって紛れもなく深刻な脅威です。核汚染は、数世代に渡る
問題であり、核実験にさらされてきた歴史を持つマーシャル諸島共和国、フランス領ポリネシア、キ
リバスや周辺地域の住民にとっては、永久に元に戻すことのできない影響を暮らしに与えてきたも
のでした。
 
韓国、中国、ロシア、サウジアラビア、スペインといった国々も、この日本の計画に懸念を表明して
います。わたしたちは情報と確かさを求めています ー それは、福島の土地や生活の再生と復旧に取
り組み続けている日本の方々が求めている「情報と確かさ」と同じものなのです。
 
◇これまでの経緯
汚染水海洋放出の安全性についての考えを固めるため、PIF はこれまで繰り返し日本政府関係者と面会
し、わたしたちが求めている情報とデータへのアクセスを要求してきました。
原子力問題の国際的な専門家からなる独立したパネリスト(PIF の専門家)たちは、こうした不安を抱
える太平洋の国々を支援してきてくれました。彼らは、原子力発電の促進を目的としている国際原子力
機関(IAEA)の見解に加えて、独自の知見をわたしたちに与えてくれました。
PIF の専門家たちは、独立した、信用できるパネリストです。一方で、日本政府が行ったことは、ごく
わずかな限られたデータと情報の提供のみでした。
 
◇パシフィック・アイランズ・フォーラム(PIF)の専門家たち
この件について、わたしたちと協働している科学者・専門家たちは大きな懸念を示しています。彼らの
評価(下記)は、日本政府側から提供されたごく限られた情報に基づき、導かれたものです。
 ・ データの質と量が不十分であり、必要な構成要素を含んでおらず不完全で、一貫性もない。
   海への放出の必要性を判断するに足りない。
 ・ 貯水タンクの複雑さと巨大さという特性を考えると、これまでに行われたALPS処理水
   テスト量では、適切で十分な結果が得られない。
 ・ 貯水タンク内のごくわずかな一部分がサンプルとして抽出されている。また、ほとんどの
   ケースで、共有されているデータ内で抽出されているのが64の全放射性核種中たった9種
   のみである。
 ・ 東京電力による測定プロトコル/手順は統計的に欠陥のあるものであり、偏りがみられる。
 ・ 生態学的影響や生物濃縮に関する考察が著しく欠けており、予測されるリスクについての
   信頼に足る根拠が見当たらない。
 
◇パネリスト
ケン・ベッセラー博士:ウッズホール海洋研究所 研究主幹、海洋学者
 Dr. Ken Buesseler, Senior Scientist and Oceanographer at the Woods Hole Oceanographic Institution
アジュン・マクヒジャニ博士:エネルギー環境研究所 所長
 Dr. Arjun Makhijani, President of the Institute for Energy and Environmental Research
フェレンク・ダルノキヴェレス博士:ジェームス・マーティン・センター核不拡散研究所、
                ミドルベリー国際大学院モントレー校 招聘研究者、非常勤教授
 Dr. Ferenc (Jacob Rolf) Dalnoki-Veress, Scientist-in-Residence & Adjunct Professor at the James
 Martin Center for Nonproliferation Studies, Middlebury Institute of International Studies at Monterey
ロバート・H・リッチモンド博士:ハワイ大学マノア校ケワロ臨海実験所 研究教授、所長
 Dr. Robert H. Richmond, Research Professor and Director at the Kewalo Marine Laboratory in the
 University of Hawaii at Manoa
 
◇この先の道筋
日本はグローバルパートナーであり、領域・管轄・管理区域内での自らの行為が他国へ危害を及ぼさぬ
よう国際法の元に社会的義務を順守したいと望んでいることを、わたしたちはわかっています。
わたしたちの懸念に対して応えてもらえるよう、日本政府に引き続き呼びかけていく所存です。
また、この汚染水の海洋放出に緊急性はなく、汚染水の処理方法には他の選択肢も存在するという点を
指摘しておきます。
「国連海洋科学の10年(The United Nations Decade of Ocean Science)」において、次世代のた
めに海をまもることで、日本は国際社会にリーダーシップを示すことができるでしょう。
 
「すべての関係者が科学的手法を通して汚染水の海洋放出の安全性を立証するまで、それは
 実施されるべきではない ー 我々の地域のこの断固たる立場は変わることはありません」
                 パシフィック・アイランズ・フォーラム 委員長 ヘンリー・プナ
 
----------------------ここまで
 
個人的には、PIF事務局が本件を核実験や核廃棄物海洋投棄と同じように扱っているのではないかということ、PIF専門家パネルはIAEAや国際基準を超える立場にあるのかということ、韓国、中国、ロシアなどの国々に同調しているように見えるということ、これら3点が気になるところです。さらに、現在のプナ事務局長以下、PIF事務局が日本に対し強い態度を見せることでレガシーとなる何らかの成果を出し、加盟国に示したい、そのような考えが背後にあるように感じられます。
 
 
このようなPIF事務局の動きとは離れて、ミクロネシアのパニュエロ大統領は、先週木曜(2/2)に行われた岸田首相との首脳会談後の共同声明で、本件に関して、次のとおり発言しています。
「The People and Government of the Federated States of Micronesia appreciate Japan’s transparency and support on the issues that are important to our people. We were humbled and proud that the Japanese Ambassador residing in our Nation attended every COVID-19 Task Force meeting to keep us informed on how the Pandemic was impacting your country, which improved decision-making for policy makers in Micronesia. I am personally appreciative to Japan for its transparent and substantive briefings on the Advanced Liquid Processing System (ALPS)-treated water; our country is no longer fearful or concerned about this issue, and now has a deep trust in Japan’s intentions and technological capabilities in not harming our shared oceanic assets and resources.」
「(仮訳)ミクロネシア連邦の国民と政府は、私たちの国民にとって重要な問題に対する日本の透明性と支援に感謝している。私たちは、駐日大使がCOVID-19タスクフォースの会合に毎回出席し、パンデミックが貴国に与えている影響について常に情報を提供してくれたことを謙虚に受け止め、誇りに思っている。個人的には、日本が高度液体処理システム(ALPS)処理水について透明で実質的な説明をしてくれたことに感謝している。我が国はもはやこの問題に対して恐怖や懸念を抱いておらず、今では、我々が共有する海洋資産と資源に害を及ぼさないという日本の意図と技術力に深い信頼を寄せている。」
 
https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/ocn/fm/page3_003610.html
 
この8にあるとおり、道上駐ミクロネシア連邦特命全権大使が現地で粘り強く丁寧にわかりやすい説明を続けられたことが、この結果につながったと考えられます。
 
 
少しずれますが、昨日(2/6)、筆者がソロモン諸島政府にいる現地の友人とさまざまな課題についてやり取りする中で、本件に関し、「太平洋島嶼国は、日本が福島原発の廃棄物を北太平洋に投棄しようとしていることを認識している。太平洋島嶼国は、地域および国内のフォーラムで、これに対して一致団結して抗議していくことに留意してほしい。」と伝えられました。ソロモン諸島は昨年の国連総会においてミクロネシア連邦と共に懸念を表明した国です。
 
現地で広まっている情報により、その友人はALPS処理水の海洋放出を核廃棄物の海洋投棄と同じと認識しているようであり、南半球の他の国の友人からも似たような話が伝わってくることから考えても、これは広く現地の一般市民レベルに共有されている認識である可能性があります。これまで行われてきている政府間の情報共有に加えて、太平洋島嶼国各国メディアおよび地域メディアを通じた日本発の丁寧な情報発信が必要なタイミングなのかもしれません。
(塩澤英之主任研究員)

太平洋島嶼国事業
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