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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

日本、放射性廃液処理水を太平洋に投棄する計画をめぐり、来月に太平洋地域のハイレベル代表団との会談を申し入れ

(2023年1月18日、スバ、PACNEWS)


16分

抄訳

マケレタ・コマイ PACNEWS記者
 
放射性廃液の処理水を太平洋に放出する予定から1ヶ月、日本は太平洋諸島フォーラム(PIF)のハイレベル代表団に会うことを申し出、このプロセスが太平洋の人々の環境と健康にとって安全であることを保証しようとしている。
 
太平洋諸島フォーラムのヘンリー・プナ事務局長は、「岸田文雄首相が、早ければ2月7日に日本で太平洋諸島フォーラムの代表団と会談することに合意したことをご報告する。」
 
「これは私にとって、日本が現段階でも、ここ太平洋の我々と有意義な関わりを持とうとしていることの表れだ」と明かした。
 
PIFの専門家パネルが、福島第一原発の所有者である東京電力による「不十分、不完全、矛盾、偏ったデータ」の発見を明らかにしたことで、太平洋のリーダーたちとの会談の申し出があった。 専門家委員会は、太平洋地域の首脳が意思決定の指針となる検証可能な科学的証拠を提供されるまで、放出日の中止を勧告している。
 
専門家の一人、フェレンツ・ダルノキ・ヴェレス博士は、東京電力の4.3年にわたるデータを分析した結果、処理水に何が含まれているかを完全に判断することはできないことを明らかにした。
 
「水の中に何が入っているのか、本当のところはわからない。」
「東京電力のサンプルの中には、不十分なもの、不完全なもの、時には一貫性のないもの、さらには偏ったものがあることがわかった。」
「不完全とは、サンプルから関連データが欠落していること、あるいは重要な情報が分析に含まれていないことを意味する。不十分とは、完全な分析を行うための十分な情報が収集されていないことを示す大きなギャップのことで、矛盾とは、データの不一致のことである。」と、ダルノキ・ヴェレス博士は、東京電力福島第一原子力発電所から収集したデータから得られた知見に関する公開セミナーで、データの形式と質の両方に深刻な問題があったことを明らかにし、東京電力から関連データのサンプルが提供されていないため、専門家によるタンクの中身を測定することが困難になっていると指摘した。

プナ事務局長は、東京電力が調査結果で提起された懸念に対応するために専門家パネルと面会することを保証した。
 
プナ事務局長は、「専門家パネルが東京電力に要求しているすべての情報を提供しない限り、意味をなさないため、専門家会合が開催されないことを日本側に伝えたと述べた。
 
日本の原子力規制庁は、2011年3月の震災後、福島原子力発電所に貯蔵されていた汚染水の投棄にゴーサインを出した。原子力規制庁は、トリチウム同位体が残存しているにもかかわらず、すでに除染プロセスを経たこの水の排出は、海洋生態系や人々の健康に危険を及ぼすものではないとしている。
 
多核種除去設備(ALPS)で処理された水は、ほぼすべての放射性物質を除去し、現在最大容量に達している1000個のタンクに貯蔵されている。
 
太平洋諸島フォーラムは、PALMプロセスを通じて日本政府に働きかけ、首脳陣の懸念を払拭していく予定だ。
 
「この問題に対処するのは容易ではない。現実には、ここブルー・パシフィックにおいて、日本は私たちにとって長年のパートナーだ。日本と私たちの関係は、日本の首相が2年ごと(※ママ)に私たち太平洋地域の首脳と会う、太平洋島嶼国首脳会議(PALM)プロセスの下で確立されてきた。前回の会合は2021年7月のPALM9で、未処理水の放出問題が私たちの首脳によって提起された。」
 
「この問題に対処するためには、国際的な協議、国際法、そして検証可能な科学的証拠と評価を用いて前進する必要があると、日本の首相と我々の首脳がその会合で行った非常に明確なコミットメントを私は想起している。」
 
「日本だけでなく、ここ太平洋の私たちにとっても正しい決断をするために、科学的な証拠に導かれるように、私たちのリーダーが2019年(※ママ)にその合意に従ってこのパネルを設置したのはそのためだと信じている。」とプナ事務局長は述べた。
 
昨年3月、太平洋諸島フォーラムは、原子力発電所の核処理水を太平洋に放出する意図を持つ日本との協議において、太平洋諸国を支援するために、世界的な専門家からなる独立パネルを任命した。
 
独立専門家パネルは、ウッズホール海洋研究所の上級科学者兼海洋学者のケン・ベッセラー博士、エネルギー・環境研究所のアルジュン・マキジャニ所長、アデレード大学放射線研究センターのアンソニー・フッカー所長、ミドルベリー国際大学院ジェームズ・マーティン不拡散研究センターのフェレンツ・ダルノキ・ヴェレス非常勤教授、ハワイ大学のロバート・リッチモンド研究教授で構成されている。

コメント

昨年末以来、PACNEWSではALPS処理水に関する多くの記事が発信されています。今回は、その中でもPACNEWSの編集者であるマケレタ・コマイさんの署名記事を紹介させていただきました。12月初旬にマケレタさんとスバでお会いし、意見交換をした際、日本からの情報で最も求められているのはALPS処理水に関するものだと話していました。
 
筆者からは、「日本は情報を出しているし、独断ではなくIAEAに調査を依頼し、さらに国際基準よりもより厳しい基準で処理をしている」と伝えましたが、マケレタさんは、「政府間では情報が伝えられているとしても住民レベルには伝わっていない。ゆえに住民には恐怖感がある。」「日本が住民に対し情報発信をするのであれば、PACNEWSは協力する。」「また、太平洋島嶼国の首脳を福島の現場に連れていくことで、安心感を与えることができるのではないか。」と話していました。
 
今回の記事では、PIF事務局が動いているものの、メンバーである太平洋島嶼国、豪州、NZ、仏領2地域の顔が見えないことと、プナ事務局長の発言に正確性が欠けることが気になります。プナ事務局長は、発言の中で太平洋・島サミットを2年毎に開催しているとし(正確には3年毎)、2019年の合意に基づきとしています(正確には2021年)。
 
さらにプナ事務局長は「この問題に対処するためには、国際的な協議、国際法、そして検証可能な科学的証拠と評価を用いて前進する必要があると、日本の首相と我々の首脳がその会合で行った非常に明確なコミットメントを私は想起している。」と述べていますが、日本が進めているのはまさにこの約束どおりの取り組みであり、まるで日本が嘘をついているといったような態度は容認できません。
 
別の記事では、PIF事務局は、日本を1989年に作られた域外対話国として米国とともに最初に認定された国の一つとし、このままでは日本を域外対話国のステータスから外すという脅しともとれる発言をしています。実際には、ステータス認定についてPIF事務局およびPIF事務局長には権限はなく、あくまでも加盟国首脳の合意に基づくものであり、この発言はPIF事務局としての立場を超えているため、日本は加盟国に対し真意を問うべき事案だと思います。
 
個人的には、日本は太平洋島嶼国各国と二国間関係を有し、承認国争いをしている国でもないので、外されることに大きな問題はないと考えています。筆者としては、すでに20か国を超えた域外対話国の一つとしてしか扱われていない現状では、むしろ外れたうえで、PALMプロセスがPIFにとって日本と対話できる唯一のチャンネルとした方が良いとさえ考えています。域外対話国から外れれば、PIF事務局に毎年支払っている拠出金も負担する必要がなくなります。
 
さて、専門家パネルについてですが、メンバーはそれぞれ真摯に研究されている科学者です。しかし、日本が国際基準に基づいて取り組んでいるため、専門家パネルが国際基準をどのようにとらえているのかが気になるところです。
 
先般フィジーで開かれたPIF専門家パネルによる一般セミナーでは、核実験の歴史に絡めてALPS処理水の話をしており、かなり意図的なものを感じました。PIF事務局側は「核廃棄物投棄」という視点、日本側は他の原子力施設と同様な原子力施設からの排水という視点にあると考えられ、根本的な立ち位置が異なるようです。
 
 
最後に、今回の記事以外の今月PACNEWSで報じられた関連記事の概要を下記のとおり、紹介します。
 
1. 'Please stop' – Pacific pleads with Japan over nuclear waste release(2023年1月16日、スバ、STUFF NZ/PACNEWS)
太平洋諸島フォーラムと米国海洋研究所協会(U.S National Association of Marine Laboratories)は、日本が福島原発の放射性廃液を処理し太平洋に放出する計画に懸念を表明した。プナ事務局長は、放出に関して日本が透明性とコミュニケーションを欠いていると批判し、その影響に警告を発した。同協会は、日本が主張する安全性を裏付ける十分かつ正確な科学的データの採用を要請した。国際原子力機関(IAEA)は報告書を発表し、日本に対し、排水処理についてオープンで透明性が高く、科学的根拠に基づいた安全なアプローチを採用するよう求めた。日本の廃水放出計画は、汚染への恐れや環境や人体への影響への不安から、反対意見にさらされてきた。

2. Japan eyes delay of Fukushima plant water release(2023年1月16日、スバ、AP NEWS/PACNEWS)
東京電力と日本政府は、廃炉の妨げとなるタンク貯蔵と漏出の潜在的リスクのため、2023年に福島からの放射性廃液の処理水を海に放出する予定である。この水は希釈され、建設後に海底トンネルを通って送られる予定である。この計画は、環境や健康への懸念から反対意見に直面しているが、政府と東京電力は、影響は最小限であり、日本は安全性と透明性のためにIAEAと協力していると発表している。
 
3. Japan's govt could delay release of radioactive water into the Pacific(2023年1月17日、ウェリントン、RNZ PACIFIC/PACNEWS)
日本は福島原発の放射性廃液の処理水を海に放出することを検討しており、太平洋諸国、中国、韓国、漁民、活動家の間に懸念が広がっている。放出は、原発に貯蔵されている100万トン以上の放射能汚染水を処理するために必要だが、トリチウムを含む放射性核種は低レベルに低下している。政府と東京電力は、環境と健康への影響は最小限であると主張しているが、科学者はトリチウムや他の放射性核種への長期的な被ばくを懸念している。日本はIAEAと協力して安全性と透明性の向上に努めており、1月末には報告書を発表するためにチームが訪問する予定だ。
 
4. Pacific Islands urge Japan to delay release of Fukushima waste over contamination fears(2023年1月19日、スバ、REUTERS/PACNEWS)
17の島国からなる(※ママ)太平洋諸島フォーラム(PIF)は、日本が福島原発の廃液を処理した上で海に放出する計画に反対している。プナPIF事務局長は、すべての関係者が安全であることを確認するまでは、放流を行うべきではないと述べた。ウッズホール海洋研究所のケン・ベッセラー博士は、放出された放射能が海流や潮流に乗って移動し、魚を汚染する危険性があると警告した。日本政府は行動計画を修正し、国際原子力機関(IAEA)と協力して安全性、透明性、放出計画への理解を深めるとともに、より多くの情報と安全への懸念を和らげる努力の必要性を認めている。
 
5. IAEA says Fukushima water release to follow safety standards(2023年1月23日、東京、AP NEWS/PACNEWS)
国連タスクフォースの責任者であるグスタボ・カルーソ氏は、日本の規制当局が福島原発の放射能処理水を海に放出する計画について、国際的な安全基準に従うことを約束すると述べている。オーストラリアとニュージーランドを含む太平洋諸島フォーラムは懸念を表明し、日本に対して計画の中止を要請している。米国海洋研究所協会は、十分かつ正確なデータがないことを理由に、この計画に反対している。放出は春か夏に始まり、数十年続くと予想されている。IAEAは、この放出が国際基準に適合しているかどうかを審査している。汚染水にはトリチウムやその他の放射性核種が含まれているが、日本政府と原発運営会社の東京電力は、さらに処理をして海水で希釈すれば安全になると発表している。一部の科学者や地元の漁業関係者、中国や韓国を含む近隣諸国は、潜在的な健康リスクについて懸念を表明している。タスクフォースは3ヶ月以内に報告書を発表し、今年の第2四半期に再び日本を訪問する予定だ。
 
6. Japan revises plan to release treated nuclear water into Pacific Ocean(2023年1月26日、東京、STUFF NZ/PACNEWS)
日本は、福島第一原子力発電所から排出される、処理済みではあるが放射能を含んだ廃水を太平洋に放出する計画を進めている。政府と東京電力は2021年4月にこの計画を発表したが、汚染の恐れを理由に国家首脳や活動家、地元住民の反対にあった。廃水は2011年の福島原発事故後に集められたもので、タンクに貯蔵されているため、廃炉作業の妨げになっている。放出は 「今年の春か夏ごろ 」に計画されている。ニュージーランドを含む太平洋地域の国家首脳たちは、安全性への懸念から延期を要求している。一方、日本は処理と海水による希釈の後、環境への影響は「無視できる」だろうと述べている。日本はIAEAと協力して、安全性、透明性、放出計画への理解を深めている。IAEAのチームは来週日本を訪れ、会談と視察を行い、IAEAは放出が始まる前に調査結果を発表する予定である。

 
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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