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プラサド国民連合党(NFP)党首、人民連合党(PAP)とフィジーを導けると主張

(2022年11月25日、スバ、FBC NEWS/PACNEWS)


抄訳

フィジーの国民連合党(NFP)党首のビーマン・プラサド教授は、自分とシチベニ・ランブカが最高の代替的指導者であると述べた。
 
彼は、彼らがフィジー経済を立て直すことができ、彼らの持つスキルで、保健医療体制を改善し、生活費を削減し、他の開発を実施することができると共同で主張している。
 
フィジー西部地区ラキラキにおけるNFP支持者を前にした演説で、プラサドはフィジー・ファースト党のボレンゲ・バイニマラマ党首とアイヤズ・サイエド=カイユム書記長がフィジー人の間に恐怖と混乱を広げているとあらためて主張し、「この国の人々は臆病者ではなく、彼らに脅かされてはいない。」と述べた。
 
プラサドはさらに、このフィジー・ファースト党の2人のリーダーは、人々が政権交代を望んでおり、12月14日以降、NFPとPAPの政権が樹立されることを認識しているため、このような行動をとっているのだと主張した。
 
プラサドはまた、出席者に対し、もし自分たちが政権を取ったとしても、社会福祉や無料バス代などの援助は打ち切られることはないと語った。
 
人民連合党のシチベニ・ランブカ党首は、74歳にもかかわらず、フィジーを導きたいという強烈な願望があり、バイニマラマとサイエド=カイユムが示した恐怖心を煽る戦術には動じないとし、「民主主義の良いところは、フィジーの新体制では4年に1度、誰を政府にしたいかを選ぶ力が国民にあることだ」と述べた。
 
一方、フィジー・ファースト党のボレンゲ・バイニマラマ党首は、破棄された1997年憲法を役に立たない文書と評し、シチベニ・ラブカPAP党首とプラサドNFP党首が、この選挙期間中、破棄された同憲法の内容を自慢して回っていると主張している。
 
バイニマラマ党首は、これは、1997年憲法は、NFPの故ジャイ・ラム・レディ党首とランブカによって編纂されたからだとし、「1997年憲法は人種差別を助長し、1997年のような総選挙が行われるたびにそれが明らかになった。4つの列があり、1つは先住民系フィジー人、2つ目はインド系フィジー人、もう1つは欧州系の混血といったように。当時は人種差別が盛んだったが、今はその状況は変化した」と述べた。
 
バイニマラマは、ランブカが削除された文書によってモミとデナラウ島の土地を貸し出す権利が与えられたと述べることにより、自分自身を正当化しようとしていると主張している。
 
また、昨夜ラミの住民に対する演説において、バイニマラマは、政党指導者が現在、政府が国家債務の返済に苦しんでいると言ってフィジー人を惑わせていることを強調し、選挙集会で、フィジー国民は自分たちの子供や孫が責任を負うと言われてきたと主張する。
 
政府指導者(バイニマラマ)は、フィジーの国家債務は適切に管理されており、フィジーファースト党でさえ、以前の政府が積み上げたSVT(Soquosoqo ni Vakavulewa ni Taukei)などの債務の返済に取り組んでいると述べた。
(訳:塩澤英之主任研究員)

コメント

本年12月14日、フィジーで51議席を争う全国比例代表制による総選挙が行われます。
 
最新の国勢調査では人種の違いを出していませんが、フィジーは人口約90万人のところ、おおむね50%強が先住民系(イタウケイ)、40%前後がインド系、他にアジア系、欧州系、ロトゥマの人々、英領時代に労働者として移住させられたソロモン諸島人など他の太平洋島嶼国をルーツに持つ人々などで構成されています。
 
記事にあるランブカ元首相は、かつて軍司令官時代の1987年に2度、インド系フィジー人政権の転覆を目的としたクーデターを起こしました。2000年の民間人スペイトによるインド系政権打倒を目的としたクーデターでも、背後でランブカ元首相が関係していたというのが現地では公然の秘密となっています(武器の調達や訓練、クーデター時の作戦等による)。ランブカ元首相は先住民系フィジー人、とりわけ高位の伝統的首長などによるエリート層の権利を守るために動いていたという話もあります。かたや、バイニマラマ首相は軍司令官としてスペイトのクーデターをおさめ、自身に対する暗殺未遂事件を乗り越え、2006年の無血クーデターを経て現在に至ります。このスペイトのクーデターの時期には、海軍出身のバイニマラマ首相と陸軍出身のランブカ元首相の複雑な関係が始まっていたとみることもできます。
 
さて、今回の記事にあるように、ランブカ首相時代に公布された1997年憲法の下では人種別に議席が割り当てられていましたが、現政権が暫定政権にある時代に公布された2013年憲法では、すべての市民がフィジー人であるとしています。現政権は、2006年12月の無血クーデターから始まっていますが(※2006年12月クーデター~暫定政府、2013年9月新憲法制定、2014年9月新憲法による総選挙で民政復帰~正式政権)、変化が激しい世界情勢の中で、国内対立ではなく、出自を問わず同じフィジー人として結束し国を発展させていこうという意思が根底にあり、多民族国家への改革を進めてきました。一方で、土地や沿岸漁業権に関する先住民系フィジー人の権利を変えようとする試みに対して先住民系から非難されることもあります。
 
例えば、フィジーの先住民系の土地(他には国有地や売買可能の土地が少ない割合で存在する)は個人ではなくマタンガリといわれる士族(クラン)の枠組みによる共同所有となっています。その氏族の人は生まれた時から土地の権利を持つことになっています。例えば、海外の企業などに土地を貸す場合、バイニマラマ政権以前は、その氏族の長などに借地料が支払われ、その氏族の長が他の士族の人々にお金を配るということが行われていたといいます。バイニマラマ政権の改革では、iTaukei Land Trust Board(TLTB)という政府機関が仲介する立場となり、赤ちゃんや未成年者の区別なく、土地の権利者すべてに口座を開設し、借地料を均等に入金するということが行われるようになりました。これにより士族の長の権威は落ちますが、士族全員が正当な権利が守られたとも言えます。先住民系の中ではこれを批判する人もいれば、批判しながらも心では称賛しているという人々も現れるようになりました。
 
また、かつてフィジーでは伝統的首長によるGreat Council of Chiefs(GCC、伝統的首長大評議会)というものが、実質的に選挙によって選ばれた議員による議会の上位に位置付けられていましたが、新憲法の下で廃止されました。伝統的権威と現代社会の分離を意図したものと考えられています。さまざまな議論がありますが、政府ポストにおいても基本的に実力主義であり、インド系だけでなく、先住民系フィジー人の平民も、実力があればポストを獲得できるようになりました。さらに、コロナ前までは税制改革、内需拡大、海外からの投資促進を含む経済財政改革、外交関係の多様化に成功し、2013年頃からは年3.5%を超える経済成長を達成してきました。これは先住民系(野党支持者が多い)の平民の生活改善にもつながっていました。
 
今回の選挙で注目されるのは与党フィジーファースト党、野党の社会民主自由党(ソデルパ)、人民連合党(PAP)、国民連合党(NFP)となります。ランブカ元首相は前回選挙でソデルパに合流し同党は躍進しましたが、内部対立により昨年ランブカ元首相が離党し新たにPAPを設立した経緯があります。前々回の2014年の選挙前もソデルパにはランブカ元首相を合流させるか否かの議論がありましたが、当時ソデルパ幹部は私に対し「諸刃の剣」といい、「多くの得票が期待できる一方で危険だ」と話していたことがありました。2018年にはランブカ元首相はソデルパに合流し、同党は躍進したものの予想通り内部分裂しました。
 
忘れてはならないのは、現在の選挙制度は政党政治を意図しているため、有権者数約60万人に対して、投票数の5%を獲得しなければ議席が割り当てられないという点です。これにより小政党や個人は、1~2議席獲得できる票を得た場合でも、閾値により切られてしまうことがあります。
 
これは私の感覚的な見立てとなりますが、フィジーファースト党支持層はインド系ビジネス層の9割以上、他のインド系市民の6割~7割、先住民系の1~2割、イスラム教徒のフィジー人であり、ソデルパは穏健な先住民系の7~8割程度、NFPはインテリ層のインド系と先住民系や他の民族、PAPはより保守的な先住民系のほとんどが支持層となります。地域で言えば、北部(先住民系多数)と東部(先住民系多数、人口少ない)がソデルパとPAPが優位、西部(インド系が多く、先住民系とインド系が融和的)がフィジーファースト優位、中央(人口が多い都市部)はフィジーファーストと、ソデルパ+PAP+NFPが半々で分け合う形と考えられます。
 
比例代表制であることから、カリスマがいれば多くの票が所属政党に流れ、議席が配分されます。これも感覚的ですが、今回の選挙で有権者の8割(約50万票)が投票した場合、フィジーファースト党のバイニマラマ首相が25万票前後、ランブカ元首相が15万票前後、フィジーファースト党のサイエド=カイユム氏が1~2万票の得票が見込まれ、過半数26議席に対して、フィジーファースト党22~27、PAP13~18、NFP2~3、ソデルパ5~10程度が想定されます。現憲法下では、議会与党のリーダーが首相になるため、第1党となるであろうフィジーファースト党のバイニマラマ首相、第2党となるであろうランブカ元首相が首相候補と考えられます。
 
一方で、今回の選挙では長期政権に対する変化を求める声もあるため、フィジーファースト党が単独過半数を獲得できない可能性があります。しかしながら、ソデルパが持つ支持層を分け合った形のPAPとソデルパがそれぞれ単独過半数を獲得することも考えられず、その場合(フィジーファースト党が過半数を獲得できない場合)、どのような連立政権が組まれるのかが注目されています。
 
今回の記事では、NFPとPAPが共闘することを示していますが、両党だけで過半数は難しいでしょう。他方、袂を分かったランブカ元首相のPAPとソデルパが共闘するとは考えにくいところです。3党が共闘できたとしても、高い確率で内部分裂し、フィジー政治は混乱する可能性があります。
 
フィジーファースト党から見た場合、かつて対立した相手であったソデルパですが、温厚な先住民系が支持者に多いことから、3党の中では最も組みやすい相手かもしれません。あるいは女性票を集める優秀な個人や小政党が1~2議席獲得し、キャスティングボードを握るといった展開も想定されます。
 
フィジーファースト党が単独過半数を取るためには、インド系住民の離反をどれだけ抑えることができ、先住民系住民の特に平民の人々の支持をどれだけ得られるかにかかっています。

どの政党が政権を握るとしても外交の方向性は大きく変わらないと考えられますが、結果次第で、フィジー内政や国内経済という観点からは不安定期に転じる可能性もあり、ひいては太平洋島嶼地域の安定にも影響がおよぶ可能性があります。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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