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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

グアム、太平洋諸島フォーラム加盟へ

(2022年10月5日、PACIFIC ISLAND TIMES/PACNEWS)


18分

抄訳

ルー・レオン・ゲレロ・グアム知事が、グアムの太平洋諸島フォーラム(PIF)加盟申請を発表した。
 
月曜日の記者会見で、ゲレロ知事は「太平洋諸島フォーラムは、すべての太平洋諸島首脳による統一戦線と認識されている。フォーラムは結束の場であり、米国とともに太平洋諸島における我々の発言力を強化するものだ。」と述べた。
 
ゲレロ知事は先日、ワシントンDCで2日間にわたって開催されたジョー・バイデン大統領主催の米国太平洋島嶼国サミットから帰国したが、同サミットにより十数カ国の太平洋島嶼国の首脳らと交流を深めた。9月28日、29日に開催された初めての米国太平洋島嶼国に、知事は米国代表団の一員として参加した。
 
サミットの期間、参加者は、ブリンケン国務長官、ケリー気候担当大統領特使、ユン・コンパクト交渉担当大統領特使、キャンベル大統領副補佐官兼インド太平洋担当調整官、その他の政権幹部との会談を行った。
 
ゲレロ知事は、アデラップの知事公館での記者会見で、グアムが「世界のこの地域における重要なプレーヤーとして認識されている。」「私たちは、ここグアムで国家安全保障の中心的な役割を担っている。その結果、私が実際に国務長官のすぐ隣に座っていた最初のセッションで、私たちの知名度や重要性は、影響を受け、非常に認知されていた。」と述べた。
 
また、その席順が地域におけるグアムの役割を暗示しているとし、「この席は、米国の国家安全保障全体におけるグアムの地位と重要性、そして、連邦政府との素晴らしい関係を示すものだ。」「私たちは、私たち島嶼国(※island nations)にとって大きな影響力を持つ存在だと思われている。」と述べた。
 
同知事はさらに、PIFの18カ国には、さらに小さな島嶼国に加え、オーストラリアやニュージーランドが含まれていることを指摘し、アメリカ合衆国の領土としてPIF加盟地域になることは、グアムが他の太平洋島嶼国と対等な立場にあることを示すものであると述べた。
 
サミットの最後に、米国は「パシフィック・パートナーシップ戦略」を発表した。ホワイトハウスの声明によると、この戦略は、「太平洋諸島とのより広範で深い関わりを外交政策の優先事項」として高めるという米国のコミットメントを反映するものであるとのことだ。
 
その戦略には次の4つの目的が含まれる。
 
* 米国と太平洋諸島の強力なパートナーシップ
* 世界とつながった統一された太平洋島嶼地域
* 気候危機と他の21世紀の挑戦のために準備された強靭な太平洋島嶼地域
*力強く、繁栄する島の人々(※islanders)
 
この戦略には、米国がフォーラムに対する特使を任命することが含まれている。米国はまた、ソロモン諸島に大使館を開設し、キリバス、トンガ、その他の国々と大使館の開設について協議を開始することを約束した。
 
ホワイトハウスは、「常駐使節のギャップが残っている国に関し、我々は太平洋諸島にふさわしい外交的配慮を提供するため、施設の追加や創造的な解決策を追求する。」と述べている。
 
ホワイトハウスによると、目標を達成するための戦略に述べられている多くのポイントには、今年、フィジー、トンガ、サモア、バヌアツに、平和部隊(ピースコー)ボランティアの派遣再開が含まれている。米国は、将来的にこのプログラムを拡大する可能性を検討する。
 
ゲレロ知事は、「私は確かに(平和部隊の再開を)支持した。そして、すべての島嶼国首脳がそれを歓迎した。」
 
同知事によると、サミットには平和部隊のCEOも出席していたことに言及し、「彼らは、平和部隊の再建のために、約1000人の平和部隊(ボランティア)を派遣する準備ができている 。米国の人々がそうすることに対して非常に興奮していると感じている。必要以上の人数が集まる状況になるかもしれない 」と述べた。
 
ゲレロ知事はまた、米国が2020年に離脱した気候変動に関するパリ協定に復帰したことを、サミット参加者が歓迎したと述べた。
 
ホワイトハウスによると、バイデン氏はサミットで、「太平洋諸島の人々の生活を改善させる」プログラムに810百万米ドル(約1,200億円)を提供すると発表した。
 
このプログラムは主に、サミット参加者が「存亡」の危機と呼ぶ、気候変動の影響から守るためのプロジェクトであると、ゲレロ知事は述べた。
 
サミットに同行した同知事の軍事・地域問題担当最高顧問であるカーロッタ・レオン・ゲレロ氏によれば、そのプロジェクトには、低環礁地の水需要への対応、土地のかさ上げ、食料安全保障や農作物安全保障に対する支援が含まれるという。
 
また、同顧問は「米国はまた、この資金の一部を、早期警報システム、気象システムの強化、データの取得を支援する技術に充てることで、地方および連邦政府が自分たちに何がやってくるかを理解できるようになると話していた。」と述べた。

コメント

本年2月以降、米国の太平洋島嶼国および同地域への関与強化が進んでおり、9/28、29に米国ワシントンDCで開催された初の米国・太平洋島嶼国サミット(首脳会議)により、実行に移すための準備が整いました。
 
その中で、グアムのメディアPACIFIC ISLAND TIMESを引用しPACNEWSが配信した本記事の内容、すなわち、米国領であるグアムの太平洋諸島フォーラム(PIF)加盟の意向を明確にしたものですが、1. 米国・グアム関係、2. 協定に基づくPIF枠組み、3. PIFおよびPIF事務局への影響(ミクロネシア諸国脱退の動きの元の原因にもかかわるもの)、4. 日本の太平洋・島サミット(PALM)との関係に関して、興味深い点があります。
 
1. 米国・グアム関係
 グアムは、米領サモアと同様に、1946年以来、国連非自治地域リストに掲載されています。そのため、いずれかの段階で、パラオなどのような米国自由連合などを含む独立、北マリアナのようなコモンウェルス、ハワイのような米国の州など、その地位に関して住民が意思を示すことになると考えられます。
 現在は米国の領土(territory)という形にあり、国際機関などへの加盟については、詳しい方に修正していただければありがたいのですが、おそらく米国憲法第4章第3条第2項により、米国連邦政府の意思を超えることができません。今回、グアム知事がPIFへの加盟を明言したということは、米国連邦政府からゴーサインが出たということになります。すなわち、米国の意思と考えてよいでしょう。
 過去の話になりますが、2000年代後半、私がマーシャルに赴任していたころ、グアム政府関係者と話す機会がありました。その際、先方は「グアムには開発課題が多く、本当は日本などのODAの対象地になると良いのだが」とし、「マーシャル諸島がうらやましい」と話していました。PIF加盟により、PIFの枠組みを通じた地域への開発プロジェクト資金にアクセスできるのであれば、グアムは米領でありながら、独自の課題に取り組めるようになるのかもしれません。
 
2. 協定に基づくPIF枠組み
 協定というのは2000年の「PIF事務局設立協定(AGREEMENT ESTABLISHING THE PACIFIC ISLANDS FORUM SECRETARIAT」と2005年の「PIF設立協定(AGREEMENT ESTABLISHING THE PACIFIC ISLANDS FORUM)」のことで、後者が前者の改訂版になり、昨年8月にフィジーが批准したことで発効しました。
 PIFの枠組みにおける地位には、①加盟国・地域(Member)、②準加盟地域(Associate Member)、③オブザーバー(Observer)があります。日本、米国、中国など開発パートナーは、域外対話国(Forum Dialogue Partners)になります。
 メンバーシップについては、最近では2017年に仏領のニューカレドニアと仏領ポリネシアが加盟し、2022年7月にはキリバスが脱退しています(正式プロセス開始は2021年7月)。当時、2005年協定は発行していなかったため、いずれも2000年協定に基づいた手続きが行われました。
 ここで、2つの協定におけるメンバーシップについて確認してみます。
 2000年協定では、第1条「The Pacific Islands Forum」の「1. For the purposes of this Agreement, the Pacific Islands Forum comprises the Heads of Government of Australia, the Cook Islands, …..(省略)… and such other Heads of Government as may be admitted to the Forum membership with the approval of the Forum」とあるように、フォーラムの承認があれば、「政府首脳(Head of Government)」が加盟対象であると規定されています。
 2005年協定 については、同じく第1条「The Pacific Islands Forum」の「2. The Forum comprises … (省略)…; and such other states as may be admitted to Forum membership with the approval of the Forum Leaders and in accordance with Article XI.」とあり、「state」が加盟対象に変化しています。
 同じ2005年協定第1条ではさらに「3. Territories in the Pacific islands region may be admitted to associate membership of the Forum, if a request for associate membership is approved by the Forum Leaders. …(省略)」とあり、「territory」は準加盟と規定されています。
 さらにオブザーバーについては、「4. The Forum Leaders may as they see fit invite other territories, and intergovernmental organizations whose membership includes a significant number of Forum members, to be Forum observers. …(省略)…」
 1971年に設立されたPIFの1995年までの加盟国の歴史的過程を見れば、太平洋島嶼国が主権を確保し、独立国としての地位を勝ち取ったことでようやく正式に加盟が認められていました。明文化されていませんでしたが、PIFメンバーシップというのは独立国のステータスでもあったわけです。それが未独立地域の独立機運を支える面もありました。しかし、PIF事務局の財政難も背景にあり、2017年にまだ独立していないニューカレドニアと仏領ポリネシアの加盟が認められたことでその価値は変化しました。
 ただし、上記でわかるとおり、2017年時点では2005年協定は発効しておらず、「Heads of Government」が対象であったことから、この仏領2地域の加盟は問題はありません。一方で、現在発効している2005年協定においては、territoryとstateを明確に区別しており、領土である「territory」に対して、stateは「国家」あるいは十分に主権・自治権を有する地域を指すものと考えられます。
 今回の米国・太平洋島嶼国サミットでは、PIF加盟国・地域を対象としていたため、仏領2地域も招待され参加していましたが、ここには米領であるグアムの加盟を認めさせる狙いも含まれていたのかもしれません。しかし、繰り返しになりますが、現在の2005年協定では「Head fo Government」ではなく「state」が加盟対象であるため、反対する加盟国・地域があるとすれば、「state」の定義を追求することも考えられます。
 
3. PIFおよびPIF事務局への影響
 2019年に勃発したミクロネシア諸国のPIF脱退騒動の端緒は、2019年2月上旬に当時のテイラーPIF事務局長が、PIF事務局長の立場のままで、PIFが中国との関係を強化するといった発言をしたことにあります。これを受け、その数日後に開催されたミクロネシア大統領サミット(当時は5か国中4か国が台湾承認国)において、PIFにおいて①台湾を他の域外対話国と対等に扱うこと、②次の事務局長はミクロネシア地域から(台湾承認国からという認識)の2点を含む共同声明が出され、今年の7月まで、PIFの枠組みは不安定な状況が続きました。7月にキリバスが脱退してしまいましたが、初期の2つのポイントは直接の理由ではないと考えられます。
 一連の騒動の中で、私が何度か米国側に見解を伝えることができる機会があり、PIFについては、①日本は旧宗主国ではないため直接関与できないが米国は可能であること、②PIF事務局における中国の影響は強いこと(これは不正なことではなく、中国による積極的な貿易投資促進支援や奨学金などによるもの)、③ミクロネシア諸国が脱退すればPIFにおける台湾承認国はツバル1国となりいずれ中国に国交を変える可能性が高い、といった点を強調した記憶があります。
 今年の米国の積極的な働きかけにより、キリバスを除く(マーシャルも技術的に脱退状態だが)ミクロネシア諸国の脱退が回避され、すべて丸く収まっているように見えますが、事務局長の地位が安定したこと以外には、PIF事務局における課題(特に中台関係に関するもの)は残ったままです。
 今回、米領のグアムがPIFに加盟できれば、実質的には米国が加盟することになります。そうなると、例えば、PIF事務局における情報管理、加盟国の外交権への介入、台湾の扱い、事務局のマネージメントにまで目が入るようになることが期待されます。PIF事務局の職員は豪、NZおよび南半球の英連邦系の太平洋島嶼国出身者が占めているその状況も変わっていくかもしれません。これは、台湾承認国の米国自由連合国から事務局長が選ばれることよりもインパクトが強いとみることもできそうです。
 
4. 日本の太平洋・島サミット(PALM)との関係
 日本の太平洋・島サミット(PALM)は、1997年に日本・PIF首脳会議として始まりました。そのため、PIF事務局がPALMの島嶼国側事務局として様々なプロセスに関与するようになりましたが、PIF加盟国が対象ということで、現在では太平洋島嶼国14か国に加え、豪州、NZ、仏領2地域が参加しています。
 しかし、豪州、NZは言わずもがな、仏領2地域は一人当たりGDPも高く、フランスであり、EUメンバーでもあり、ODAの対象ではありません。太平洋島嶼国が抱える様々な課題、特に開発課題に関する議論については、本来太平洋島嶼国14か国と日本が直接対話することが有効だと考えられますが、歴史的背景もあり、PIF加盟国・地域がPALMの対象のままです。
 7月にキリバスが脱退したことに加え、米領のグアムが正式メンバーになるとすれば、日本のPALMの構造を変える必要性が関係者間で認識されることになるでしょう。日本にとって大切なキリバスのPALMへの参加は重要であり、他方、米国、フランス、豪、NZ、EUを日本と太平洋島嶼国14か国との対話に含むことが有効だとは思えません。
 これまで、私は発表してきたものでは、日本・太平洋島嶼国14か国会議、日本・開発パートナー(米豪NZ印など)会議、非公開の安全保障会議(クアッド、NZ、パラオなど)によるPALMの重層化を含んでいましたが、これに日本・地域機関会議を加える必要性があるかもしれません(開発パートナーはドナー側であり、地域機関はドナーからの支援を受ける側といった違いがある)。
 
さて、2005年協定に基づけば、グアムの加盟は例外的に見えますが、あるいはグアムが「state」の地位にあることを認めることになるように見えますが、これが実現すれば、上記3.、4.のような影響が考えられます。今後の動きが注目されます。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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