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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

米国とマーシャル、年内にコンパクト改定交渉完了を目指す

(2022年6月20日、マジュロ、MARIANAS VARIETY/PACNEWS)


抄訳

米国とマーシャル諸島の首脳は先週行われた第1回目の交渉を終えた後、今年末までに経済・安全保障条約の条項を更新するための交渉を完了させたいと述べた。
 
米国は、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、パラオ共和国との自由連合協定に基づく資金提供パッケージの延長を、太平洋島嶼地域における中国の外交的影響力拡大に対するリスクヘッジとして考えている。この3つの島嶼国は、米国本土よりも広い北太平洋地域を占めている。
 
両国の交渉責任者は金曜日(6/17)、共同声明で、早期のマイルストーンを目指すと述べた。それは、米国の会計年度が終了する9月30日までに覚書に署名することであり、この覚書案の内容の詳細は発表されていないが、今年のマーシャル諸島の国家予算の40%以上を占める現行の資金供与や連邦政府プログラム支援に支障が出ないようにするための動きと見られている。
 
マーシャル諸島およびミクロネシア連邦との現在の自由連合協定における20年間の資金援助協定は、2023年末に期限切れとなります。マーシャル諸島の指導者たちは、米国の資金援助の延長に加えて、クワジェリン・ミサイル発射場での問題への対処、高い放射線量により島を居住不能にし多くの島民に健康被害を与え続けている核実験の遺産の解決、気候への適応と緩和策を協定に取り入れるための米国支援を求めている。
 
バイデン大統領のコンパクト交渉担当特使であるジョセフ・ユン大使は、マーシャル諸島で第1回目の交渉が行われている水曜日(6/15)に、「やるべきことはたくさんあるが、我々の交渉はタイムリーに、全員にとって良い結果で完了すると楽観視している」と述べた。
 
マーシャル諸島のキトラン・カブア外相は、自国の交渉団を率いて、交渉の環境を「親密」「友好的」という言葉で表現している。マーシャル諸島は、第二次世界大戦直後から1986年の第一次自由連合協定発効まで、米国が施政権を有する国連信託統治領であった。マーシャル諸島は独立国であり、国連加盟国であるが、この協定により、予防接種から郵便事業に至るまで、米国の連邦プログラムを利用し、継続的に資金援助を受ける代わりに、米国に防衛の権限を与えている。
 
ケネス・ケリー国会議長は、マーシャル諸島の交渉チームのメンバーでありながら、同国の新型コロナウイルス防止入国要件に従って検疫を受けているため先週の会談には参加しなかったが、先月ワシントンDCでユン大使と行ったいくつかの会合に基づき、交渉について楽観的であるとし、先週末、クワジェリン基地の検疫室から電話で、「早急に協議をまとめるという大使の見解に賛成だ」「私はワシントンで大使に、もし米国政府が重要な課題に取り組むならば、明日にでも調印する、と伝えたのだ」と述べた。
 
さらに同議長は、ワシントンの政治環境は、島嶼国との緊密な関係を維持する一環として、マーシャル諸島のニーズへの対応を支持しているとし、「私は交渉について非常に楽観的だと感じている」「今年末の期限までに(マーシャル諸島が求める)すべての主要な柱に対処できない場合、少なくともそれらの問題に対処することに合意する覚書を結ぶ」と述べた。
 
カブア外相とユン大使は、6月14日から16日にかけてクワジェリン環礁の米軍基地内で会談し、自由連合協定に関する初の直接交渉を行った。
 
カブア外相とユン大使は金曜日(6/17)に発表した共同声明で、連邦プログラムを含むコンパクト資金援助を2023年以降も継続することの重要性を確認した。マーシャル諸島では、今年度予算242百万米ドルのうち、教育、保健、その他の活動に対するコンパクト資金供与と連邦プログラムによるものが100百万米ドルを超えている。
 
ユン大使は、誠実な交渉が続いている限りマーシャル諸島に対する米国の資金提供の継続を支持するとの意思を確認した。
 
カブア外相とユン大使は「前向きな議論を行った」とし、「2022年9月末までにワシントンDCでのマーシャル諸島と米国による覚書への署名を目指す」と述べ、秋の終わりから冬の初めまでにコンパクト交渉を完了する目標を明らかにした。
 
次回の直接対話は、7月下旬にワシントンDCで開催される予定だ。

コメント

マーシャル諸島とミクロネシア連邦は1986年に、パラオは1994年に、それぞれ米国と自由連合盟約(コンパクト)を締結し、独立しました。それぞれ細部は異なりますが、コンパクトは統治(ビザ免除規定や米領内での準市民扱いなど)、経済(経済協力・財政支援含む)、安全保障・防衛(米国が責務と権限を有する)、一般規定からなる点は共通しています。また、米国側の担当は国務省(外務省)ではなく内務省であり、核実験の賠償の一つである4環礁(エネウェタック、ビキニ、ロンゲラップ、ウトリック)出身者への食糧供給は農務省が行っています。
 
マーシャル諸島とミクロネシア連邦については、締結から15年後(+2年間延長規定有)に改定される取り決めがあり、2003年に2023年までを期限として改定されており、現在次のコンパクトに向けた交渉が行われています。パラオについては、1994年の発効から50年間の期限が設けられており、経済関連部分の改訂が15年毎に行われることになっており、2024年までに部分改定が行われます。前回のコンパクト改定では、3カ国とも現在のコンパクトをもって(パラオは2024年までの経済項目をもって)経済援助を終えることが合意されたことが注目されました。
 
前回の改定後、筆者は現地(マーシャル)で交渉に関わった方々や政府要人と話す機会が多くありました。最初のコンパクトでは米国が経済援助資金を現地政府に供与し現地政府が自由に使えるようにした結果、期待したような使用がされず、政治腐敗も生じたためことから、現在の改定コンパクトでは予算作成も使用も米国側が管理する形となったようです。例えば使用については、マーシャル政府側から米国政府側に四半期ごとに報告し、予算を執行できずに返還することもありました。また、年間の経済援助総額は変わらなくとも(実際には年3%前後のインフレ調整がある)、毎年50万ドルずつ差し引かれ(1年目が50万ドル、2年目が100万ドル、3年目が150万ドル、など)、差し引いた分がコンパクト信託基金に投入されていきました。改定コンパクト終了後にその500億円を超えるとみられる信託基金の運用益が国の歳入源の一つになるというものでした。当時の駐マーシャル米国大使は、これによりマーシャルの自立を促すといった話がありました。一方、コンパクトがある限り、米国自由連合国の国民は米国の準市民として扱われ、連邦プログラムの対象となることから、年間10億円以上のプログラムが継続されることになります。
 
これに対し、当時、現地(マーシャル)では米国が冷たくなったとか、マーシャルを手放そうとしているといったことを話す人も現れ始め、自ら財源を開発するとして、例えばナウル協定締約国グループの取り組みを始めたり(2003年当時の入漁料収入は400万ドル程度だったものが、2015年には10倍前後になった)、中国民間との経済関係を模索するといった動きが現れるようになりました。
 
その他にも、マーシャルについては、クワジェリン基地の借地料問題、177条項といわれる核実験に関する賠償問題があり、今回もこの2点はマーシャル側にとって重要な交渉カードとなっています。ケネス・ケリー議長は核実験が行われていたロンゲラップ出身であり、まだ議員になる以前から、補償の対象となる国民を上記の4環礁から10に増やすべきと主張し続けています。クワジェリン基地の借地料についても、故イマタ・カブア大酋長・元大統領を中心に米国政府に強く対応していたことがあり、その兄弟であるマイク・カブア大酋長・議員の孫であるキトラン・カブア氏がこのタイミングで外務大臣に就任し、コンパクト改定交渉に直接関わっていることは興味深い動きといえます。クワジェリン基地に関してはコンパクトの付属協定の1つとしてMUORA(the Military Use and Operating Rights Agreement)が結ばれており、米国は2066年まで同基地を使用できることとなっています(20年の延長オプション付)。
 
最初のコンパクトではクワジェリン基地の借地料年10数億円が毎年大酋長に直接送金され(イマタ・カブア氏は年3百万ドルという話があった)、その他の土地権利者はお金が必要な時に大酋長に頼み、大酋長が直接お金を渡す(小切手が多い)仕組みで、その金額は大酋長の意向できる形でした。ところが、現在の改定コンパクトでは借地料は一旦マーシャル政府の国庫に入り、マーシャル政府が地権者に対し正当な金額の小切手を渡す仕組みに変わり、これに対して大酋長が憤慨していました。そのため、キャステン・ネムラ前外務大臣は、2007年当時、米国から帰国し、ノート政権下で官房長官に就任、マーシャル政府側(米国との取り決めを遵守)に立つネムラ氏はイマタ・カブア大酋長による批判を受ける立場にありました。今回の改定交渉本格化を前に、ネムラ氏が外務大臣から解任され、キトラン・カブア氏を就任させたことは、象徴的な出来事に見えます。
 
これら2つの他にも、マーシャル側は気候変動を安全保障上の脅威としてとらえています。コンパクトにおいては、マーシャルに対する安全保障上の脅威に対して、米国は責務と権限を有します。したがって、気候変動を安全保障上の脅威と定義づけられれば、米国は何らかの対応をしなければなりません。これもマーシャル側にとって交渉カードの1つとなります。
 
前回の改定交渉当時(2001年前後)のように中国の影響力拡大がなく、米国が中国を太平洋における安全保障上の脅威と認識していなければ、経済援助は計画どおり終了し、二国間開発援助と連邦プログラムなど政府財政に直接関わらない形となった可能性があり、マーシャル側が主張するクワジェリン基地の借地料増額も、核賠償拡大も、気候変動も、米国側に十分に聞き入れられなかった可能性があります。このことを踏まえれば、現在の地域情勢は、マーシャルにとっては追い風といえるかもしれません。
 
トランプ政権時代には、安全保障上の観点から2020年末までに交渉をまとめたいといった話もありましたが、バイデン政権後、1年ほど改定交渉が止まっていました。米国と米国自由連合国の関係に変化があるのではないかとの不安の声もありましたが、米国議会が後押しをし、急速に動きが進んでいます。少なくとも本年9月末にはMOUが結ばれ、順調にいけば年末には交渉がまとまる可能性があるということで、太平洋地域とりわけ北西部太平洋地域の安全保障上の観点からも重要な進展といえます。
(塩澤英之主任研究員)
米国コンパクトについては、東海大の黒崎准教授との非公式ウェビナー「クロシオブエブエナート」でも取り上げています(2022年6月18日、2022年6月27日)。

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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