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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

サモアの首相、太平洋は自国の安全保障問題に対処できる

(2022年6月20日、ウェリントン、REUTERS/PACNEWS)


抄訳

サモアのフィアメ・ナオミ・マタアファ首相は金曜日(6/17)、太平洋の安全保障問題は地域諸国によって対処することができ、またそうすべきだと述べるとともに、中国の大きさは魅力的な経済パートナーとしていると付け加えた。
 
太平洋地域における中国の影響力拡大と太平洋の小島嶼国における軍事化の可能性は、隣国の豪州やニュージーランド、そして同盟国である米国に懸念を抱かせている。
 
ニュージーランドを公式訪問中のマタアファ首相は、ロイターに対し、「誰もが中国に関心を持っている-彼らは購買力などにおいて、巨大な市場だ。」と述べた。
 
中国の地域的影響力の増大は、今年ソロモン諸島と安全保障条約を締結したことで注目された。また、最近では、太平洋地域のほぼ12カ国(※元記事ママ)と警察、安全保障、データ通信に関する地域協力協定を締結するよう働きかけている。
 
太平洋島嶼諸国首脳は、先月、中国外相とこの計画について話し合ったものの、まだ合意には至っていない。
 
マタアファ首相は、これまでの地域協定(※regional agreements)を引き合いに出しながら、「我々は、地域としては、すでに存在する協定のより広い文脈で(安全保障の)問題に対処する必要がある」と述べた。
 
マタアファ首相はさらに、7月に開催される太平洋諸島フォーラム首脳会議では、各国が域外に支援を求める必要性を感じないよう、安全保障に関してさらなる取り組みが必要であるかどうかを議論することになるとし、「リーダーたちが集まったときに、ソロモン諸島に対して、『私たちは十分ではなかったのか?すでに導入されている規定では不十分だったのだろうか?』と問うことはフェアなことだ。」「ソロモン諸島だけでなく、他の太平洋島嶼国でも発生する可能性があるからだ。」と述べた。
 
このフォーラムは、太平洋の3つの文化的・地理的グループであるミクロネシア、メラネシア、ポリネシア、およびオーストラリアとニュージーランドの18の島嶼国(※18 island nations)をグループ化している。多くの国が北京を承認している一方で、台湾と国交のある国もある。
 
マタアファ首相は、中国の提案が二国間協定であったとしても、サモアはそれが自国とそのパートナーにもたらす利益をさらに検討したいと思っただろうと述べ、また、昨年の(サモアの)選挙以来、より透明性を確保するために優先事項を概説するために、政府はドナー国とのラウンドテーブル政策を採用していると述べた。
 
オーストラリアとニュージーランドは、伝統的に島嶼国の安全保障と援助の主要パートナーであり、必要に応じて開発援助や災害援助、軍事支援を行ってきた。
 
マタアファ首相は、この地域では大国間の競争が高まっていることを理解しているが、中国は外交的、経済的パートナーとして長い間存在感を示してきたと述べ、一方で、「私が好まないのは、話の中に人種差別の要素があることだ」と付け加えた。
 
また、マタアファ首相は、この地域はもはや「青い太平洋」の一部ではなく、もっと大きなインド太平洋の中に組み入れられ、より大きな発言力を持つ必要があると述べた。
 
さらに、マタアファ首相は「アメリカは今、本質的に戻ってくることを望んでいる」と述べ、多くの人が国から無視されていると感じていた年月を経て、アメリカがこの地域に新たな関心を寄せていることに言及し、「そして、そのことがオーストラリアとニュージーランドの役割と機能を高めているのだと思う。」と述べた。
 
例えば、昨年発表されたオーストラリア、イギリス、アメリカを含む安全保障グループ「AUKUS」の創設について、南太平洋諸国は相談を受けておらず、事前協議が行われるべきだったとマタアファ首相は述べた。
 
またマタアファ首相は、特に北太平洋諸国がPIF脱退を表明した後(※after northern Pacific countries had threatened to leave the grouping)に開かれる7月の太平洋諸島フォーラム会議は、首脳が対面で参加する予定であり、世界に統一した声を発する鍵となるだろうと述べた。
 
さらにマタアファ首相は、地政学的な懸念とは別に、この地域はCOVID-19からの回復や広範な保健医療問題、気候変動などより大きな課題に直面していることや、海面上昇や海岸線の浸食のほか自然災害も多くなったとし、「自然災害は、この地域の発展の軌道において非常に大きな影響を与える要素となった。(発展が)数歩進んだところで、サイクロンに見舞われ、発展の歩みが逆転してしまう。」と述べた。
 
太平洋島嶼国が縮小あるいは消滅するという現実に直面するなど、気候変動は、主権に非常に大きな影響を及ぼしている。
 
マタアファ首相は、「我々の陸域面積は小さく、国の中で別の土地に移動する贅沢ができない。」と述べた。

コメント

中国ソロモン諸島安保協定、5月下旬から6月上旬に行われた中国王毅外相の地域訪問および地域協定締結の動きにより、太平洋島嶼地域では旧宗主国を巻き込む騒擾が発生しました。本記事は、そのような大国のせめぎ合いの中、NZ訪問中であったマタアファ・サモア首相の発言を報じています。
 
サモアのマタアファ首相の認識として、次の点が注目されます。
(1)安全保障は伝統的に米国、豪州、ニュージーランドが担っていること。
(2)ソロモン諸島に対し何故中国と安保協定を結んだのか問う意向があること。
(3)中国は太平洋島嶼国にとって長年にわたる外交的、経済的パートナーであること。
(4)中国の行動に関する論争の中に人種差別の要素が含まれていること。
(5)気候変動が太平洋島嶼国の存続にかかわる脅威であること。
 
(1)については、地域秩序を構成する要素の1つで、最も根幹部分にある戦後から続く伝統的安全保障枠組みを意味します。この枠組みでは、北半球が米国による戦後の共産主義の拡大に対する防衛という考え方を根底とする軍事・防衛であるのに対して、南半球は豪・NZを中心とする各国・地域の安定(政治、災害など)を対象とするなどの違いがありました。今回の中国の動向は、この伝統的安全保障枠組みの変更を試みた形となりました。
 
(2)については、30年にわたり豪州・NZと太平洋島嶼諸国が太平洋諸島フォーラム(PIF)の枠組みを通じて積み上げてきた地域安全保障協力関係がありますが、ソロモン諸島はこれに中国と共に変更を試みました。本年7月11日から14日にフィジーのスバ市で開催される第51回PIF首脳会議(サミット)の期間に、ソロモン諸島は何が不満だったのか真意を問うことになります。
 
太平洋島嶼地域の安全保障枠組みの歴史にはソロモン情勢が深く関わってきました。
 
1992年 ホニアラ宣言 (法執行協力、越境犯罪対策、武器取引禁止など)(PIFサミット)
     ニウエ条約(Niue Treaty):違法漁船取り締まり
1994年 豪・ソロモン諸島開発協力MOU締結(二国間覚書)
1997年 アイトゥタキ宣言(地域安全保障協力)(PIFサミット)
1998年 ソロモン諸島部族紛争勃発
2000年10月15日 ソロモン諸島部族紛争に関するタウンズビル和平合意(ソガバレ首相1期目)
2000年10月29日 ビケタワ宣言(地域安全保障協力)(PIFサミット)(ソガバレ首相1期目)
2003年7月 RAMSI(ソロモン諸島地域支援ミッション)協定(RAMSI Ageement) 
              ・2000年ビケタワ宣言に基づき、ソロモン政府が支援要請したもの。
                ・RAMSI派遣に係る取り決め
 
   2006年4月 ホニアラで暴動(対政治腐敗:リニ政権)・チャイナタウン被害
   2006年9月 ソガバレ首相(2期目)、豪高等弁務官追放(モティ司法長官を守る)
   2006年10月 ソガバレ内閣不信任決議否決⇒ソガバレ首相、RAMSIから豪追放図る
         RAMSIの豪部隊、首相の身柄確保狙い官邸襲撃(首相不在だった)
   2007年  豪人のキャッスルズ警察庁長官追放
   2007年12月 ソガバレ内閣不信任決議可決
   2008年 ソガバレ野党党首「1994MOUにより豪人警察長官を受け入れも、同人は豪政府に所属し
       たまま。これは国の安全保障と安定に対する脅威」
      (2008年2月20日付、Solomon Times紙)
   2013年5月 ソガバレ前首相(当時)、フィジー暫定政権(当時)との対話を目的とするメラネシ
        アン・スピアヘッドグループ(MSG)有識者グループとして、フィジー訪問。
 
2017年6月 RAMSI撤収(RAMSI協定終了)
2017年8月 豪・ソロモン諸島二国間安保協定(ポストRAMSI協定)
2018年9月 ボイ宣言(地域安全保障協力)(PIFサミット)(ビケタワ・プラス)
 
2019年4月 ソガバレ首相選出(4期目)、ホニアラで暴動発生(反ソガバレ政権)
2019年9月 ソガバレ首相主導、台湾から中国に国交切り替え
2021年11月 ホニアラで暴動発生(ソガバレ政権対マライタ州住民/中台関係)
2022年4月 中国・ソロモン諸島安保協力協定
 
このように、PIFの枠組みでは、当時のソロモン諸島情勢を背景に地域安保協力を可能とするビケタワ宣言(2000年)が合意され、RAMSI撤収後(2017年、ソロモン情勢が収まった後)、次の段階として新領域を含むビケタワプラス、ボイ宣言(2018年)がまとめられました。
 
ソロモン諸島と豪州の関係では、タウンズビル和平合意(2000年)があり、ビケタワ宣言に基づくRAMSI協定(2003年)が結ばれ、RAMSI撤収後、豪・ソロモン諸島二国間安保協定が結ばれました。
 
この二国間協定の正式名は「Agreement between the Government of Australia and the Government of Solomon Islands Concerning the Basis for Deployment of Police, Armed Forces, and other Personnel to Solomon Islands」であり、RAMSI撤収後に、ソロモン諸島で治安不安定化等の事象が発生した場合、RAMSIに代わり豪州が警察、機動隊、軍などを派遣し、どの部隊の活動に係る第3国の関与についても(ソロモン諸島政府の合意の下)豪州が指揮するという取り決めとなっています。
 
中国・ソロモン諸島安保協定は明らかになっていませんが、3月にリークされた案では、ソロモン諸島政府の要請によるとしつつも、在留中国人や中国によるプロジェクトの保護や、ソロモン諸島に対する人道支援などを目的として、中国が警察、機動隊、軍を派遣できるものとなっていました。ソロモン諸島の国内法を遵守することが前提にありますが、武器を持ち込み使用もできることから、域外国による地域秩序への直接的な関与として地域秩序に変化をもたらすものとみなすことができます。さらに同案では、秘密保持条項があり、両国間の同意なしには内容を公開することはなく、記者会見における発言も両国の同意が必要であるとされています。

なお、これはRAMSIに代わる豪州主導の治安維持部隊派遣には関わらないため、上記の豪・ソロモン諸島二国間安保協定の第三国規定の対象にならないと考えられます。
 
(4)については、筆者もバヌアツやパラオなどいくつかの太平洋島嶼国でフィアメ首相が発言したような話を耳にしたことがあります。中国は25年以上にわたる活動により、先進国とは異なる南南協力を行う開発パートナーとして、また貿易・投資・観光における民間の経済活動を推進してきたことで重要な経済パートナーとして、地位を築いてきました。そのため、現在では多くの太平洋島嶼国で中国は友人の一人とされています(ただし、安全保障は含まない)。このような中で、中国あるいは中国人が行う活動だからといって、明確な根拠もなく批判することは、かえって太平洋島嶼国側から反発を受け、発言した側が立場を落とすリスクがあります。
 
昨今の地域情勢について旧宗主国を含む先進国や中国側の視点が多く報じられた中、本記事は、サモア首相の発言ではありますが、太平洋島嶼国側の視点を報じたものとして価値があります。
(塩澤英之主任研究員)
地域情勢に御関心がありましたら、下記をご参照ください。
1. 海洋白書2022 第4章第2節「PALM9と太平洋島嶼国のガバナンス」(pdfのp.39-45)
2. 塩澤主任研究員と黒崎東海大学准教授による非公式ウェビナー「クロシオブエブエナート」(動画はこちら)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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