しかし、実際には、昨年(2021年)6月にパニュエロ大統領が米国主導の太平洋諸島首脳会議(Pacific Island Conference of Leaders, PICL)の議長に選ばれた時点で、すでに米国政府と同大統領の関係は強まっており、不安定化した地域情勢において、米国にはパニュエロ大統領に対する期待があったように思われます。また、ミクロネシア連邦は中国と国交を有するため、中国と太平洋島嶼国間の外交的やり取りに直接関与できる点でも重要でした。
さて、PICLというのは、太平洋地域機関評議会(CROP)機関の一つPIDP(Pacific Island Development Program)の枠組みで開催される首脳会議を指します。PIDPは米国により1980年に設置された米国主導の重要な地域枠組みで、ハワイのイーストウェストセンターに事務局があり、唯一北半球に事務局があるCROP機関といえます。しかし、2019年にはPIDP廃止の動きもあるなど、近年は、米国側にはあまり重視されていなかったように見えます。