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我々はビッグボーイズを遊ばせておく:
プナPIF事務局長
(2022年6月7日、スバ、FBC NEWS/PACNEWS)
抄訳
太平洋島嶼諸国の首脳たちは、この地域が中国、豪州、米国などの強力な国々によるパワープレイのための戦略的空間として利用されていることを認識している。
世界の指導者たちの間では、このプロセスでこの地域が得るものは何もないという話になっているが、クック諸島のマーク・ブラウン首相は、地域のリーダーたちは何が起きているのか知っており、完全にコントロールできていると考えているとし、「太平洋地域は地政学的競争の温床であり、太平洋地域の運命は脅かされており、我々は国際的な地政学と世界経済の壮大なゲームの駒に過ぎないと、多くの部外者から聞かされている。しかし、私はこのような見方に反対であり、我々の歴史がそうでないことを物語っている。」と述べた。
ヘンリー・プナ太平洋諸島フォーラム事務局長は、開発への関心がこの地域に移ってきたことに興奮しているとし、「その通り(yeah)、我々はビッグボーイズ(大物たち)を遊ばせておくが、我々は自分たちが何を望んでいるのか、そして、私たちの連帯と団結を維持が重要であることを理解しており、特にこの数日間の話し合いで、それらが実現するのを見ていたい」と述べた。
さらにプナ事務局長はプナは、今こそ人と人とのつながりを強化し、この地域に対する関心の高まりを利用し、この地域が提供する機会を共有する時であるとし、「我々は団結し、強くあり続け、我々にとって何が良いことであるのかを決めようとする人たちを押し返さなければならない」と述べた。
ほとんどの太平洋諸島フォーラム加盟国首脳が、今週「タラノア(対話)」セッションのためにスバに滞在中である。
(訳:塩澤英之)
コメント
現在、フィジーではミクロネシア諸国の脱退問題や中国ソロモン諸島安保協定締結がもたらした地域の騒擾への対応、PIF改革などをテーマとするPIF首脳の対話のため、豪州の尽力もあり多くの太平洋島嶼諸国首脳がフィジーの首都スバに集結しています。本記事は、その現地の雰囲気の一端をうかがわせるものです。
太平洋島嶼諸国に密接に関わって来た方々には、太平洋島嶼諸国は小さいが、自己判断できず大国に翻弄されるような国々などではなく、強かだという印象を持つ方が少なくありません。そこには歴史的背景と彼らのプライドが関係しています。
現在の太平洋島嶼諸国の多くは19世紀に欧米諸国の植民地や保護領となりました。第一次世界大戦後のベルサイユ体制を経て、第二次世界大戦では戦場となり、戦後の冷戦時代には核実験場となった地域もあるなど、人々には大国に利用され、翻弄されてきたという感情が残っています。
脱植民地化の観点からみれば、第二次世界大戦後、現在の太平洋島嶼諸国は米国、英国、豪州、NZ、フランスを施政権者とする信託統治領や戦前からの海外領土となり、1960年の国連植民地独立付与宣言を経て、1962年の西サモア(現在のサモア独立国)以降、それぞれ独立を実現し、主権を確保してきた歴史があります。
学術的に認められているものではありませんが、私はその太平洋島嶼諸国の脱植民地化プロセスを次のように整理しています。
1.独立期:1962年のサモアから1994年のパラオまで
2.基盤構築期:1990年代から2000年代半ばまで
3.自立期:2000年代半ばから2010年代まで
4.自国優先主義の時代:2020年以降
独立期においては、南半球の英連邦諸国の独立に比べて、米国にとっての戦略的信託統治領(1950、フォスター・ダレスの「War or Peace」では、共産主義に対する戦略的地域と位置付けている)、正式には太平洋諸島信託統治領(TTPI)の独立が遅れました。戦略的信託統治領は、第一次世界大戦後に赤道以北の旧ドイツ領を日本が国際連盟の下で委任統治していた旧南洋群島であり、このベルサイユ体制が太平洋島嶼地域の赤道を挟んだ北と南の違いのもととなっています。
戦略的信託統治領は、1978年に北マリアナが米国への帰属を選択し、パラオ(1994)、マーシャル(1986)、ミクロネシア連邦(1986)がそれぞれ独立を選択しました。その際、米国は地域の戦略的重要性から、安全保障と防衛の権限と責務を米国に残す形を狙い、米国自由連合盟約(コンパクト)に基づく米国自由連合国として独立を認めた形となりました(それぞれ独立=コンパクト締結前の1980年前後に、自治政府樹立、自主憲法の制定を行っています)。
米国自由連合国を含む現在の太平洋島嶼諸国は、戦後、国連の未自治地域リストに掲載され、国連の庇護の下で独立を実現してきた側面もあるため、現在も国連との関係を重視しています。
基盤構築期とは、太平洋島嶼諸国は独立したものの人材面も経済・財政面での自立も困難であったことから、旧宗主国を中心とする支援を受けつつ、人材開発、経済開発を進めていた時期を指します。1971年に作られた太平洋諸島フォーラムという地域枠組みはその過程で設立されたと見ることもできます。
自立期は、米豪NZや日本など先進国が、援助疲れや世界金融危機により、太平洋島嶼諸国への関心を低下させていた時期でもあります。その時期、米国と米国自由連合国には感情的な乖離が生じていました。一方、太平洋島嶼諸国は強かに、旧宗主国や日本など先進国以外の選択肢を探し、また経済資源の探求を活発化させます。例えば、ナウル協定締約国グループ(8カ国1地域)による取り組みにより、入漁料収入を4倍以上に高めることに成功し、EEZの漁業主権を漁業国から沿岸国に取り戻しました(ソロモン諸島のトランスフォーム博士は、ツナ外交とよぶ)。ナウルは豪州の難民希求者センター設置や滞在ビザ費改定により財政を安定化させ、フィジーは2006年無血クーデターから始まる国家改革の成功により国際社会における地位を高め、豪州やNZと対抗しても自立できることを示しました。また、中国が先進国とは異なる新たな開発パートナーとして認識されるようになりました。
地域の結束も強まり、太平洋ブロックとして国際社会に影響を見せ始めた時期でもあり、気候変動を地域の安全保障上、唯一最大の脅威と定義づけた時期でもあります(例えば、2018年ボイ宣言)。
一方で、旧宗主国、日本、中国は地域への関与を強化していきました。2014年の習近平国家主席のフィジー訪問で一帯一路構想に基づく南南協力強化が進み、2016年に豪州がステッピングアップ政策、2017年に米国が自由で開かれたインド太平洋戦略、2018年にNZがパシフィックリセット政策、英国がコモンウェルスサミットで太平洋島嶼地域への外交的関与拡大表明、日本が第8回太平洋・島サミットに自由で開かれたインド太平洋構想を反映、といった動きがありました。
このように2010年代には、既に中国と旧宗主国・日本のせめぎ合いは始まっており、太平洋島嶼諸国側は大国間の地政学的争いには巻き込まれないとしつつも、太平洋島嶼諸国や地域機関は課題解決にどのように繋がるか強かに情勢を把握していたと考えられます。
現在は、4.の時期にあり、コロナ禍や自国の経済・財政問題の深刻化により、地域結束よりも当然ながら自国の存続と安定が優先されています。
このような歴史的流れの中で、中国は既に確立した先進国とは異なる代替的開発パートナーの地位をさらに発展させ、さらに、米豪NZが担ってきた地域秩序構造の最も根幹にある戦後秩序「伝統的安全保障枠組み」にチャレンジしたのが最近数カ月の動向といえます。
米豪NZは開発援助や経済成長に係る活動については基本的に介入しませんが、「伝統的安全保障枠組み」は戦後秩序そのものであり、いわゆるレッドラインの一つでもあるため、緊張が高まりました。
太平洋島嶼諸国側から見れば、中国の動向の結果、米豪NZ日本が太平洋島嶼諸国の声を真剣に聞き、気候変動を含めた関係強化を進めることになるなど、一連のビッグボーイズの争いにより大きな果実を得たといえます。
(塩澤英之主任研究員)
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