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中国外相フィジー訪問
(2022年5月27日、スバ、フィジー政府/PACNEWS)
10分
抄訳
王毅・中華人民共和国国務委員兼外交部長は、5月28日(土)から5月31日(火)までフィジーを訪問する予定だ。
王国務委員にとって、2018年に続き2度目のフィジー訪問となる。
王国務委員は、今週フィジーとその周辺地域を21名の代表団を伴って公式訪問する予定だ。
今回の訪問では、フィジーのラトゥ・ウィリアメ・カトニベレ大統領を表敬訪問し、フランク・バイニマラマ首相と現在の協力分野と将来の協力の機会について会談し、バイニマラマ首相は王国務委員とともに、(滞在中に開催される)第2回中国・太平洋島嶼国外相会議の共同議長を務める予定である。
王国務委員のフィジー訪問は、フィジーと中国の47年にわたる友好関係、そして1975年に正式に設立された永続的なパートナーシップを強化するものだ。
両国は長年にわたり相互理解と協力に基づく二国間関係を築いており、ハイレベルの相互訪問を含め関係を強化し続けている。
中国のフィジーへの支援は、保健、農業、インフラ、貿易・投資、人と人との交流、スポーツ、教育など、さまざまな分野で行われている。
王国務委員は、フィジー訪問を楽しみにしていると述べた。彼は、中国とフィジーの友好協力は両国の基本的かつ長期的な利益に合致するものだと考えている。
今回の訪問は、相互信頼を高め、各分野の協力をより高いレベルまで推進し、中国・フィジー関係の長期的な発展に新たな弾みをつけることになるだろう。
また、王国務委員は、第2回中国・太平洋島嶼国外相会議が中国と太平洋島嶼国の関係強化に重要な役割を果たすと期待している。
(訳:塩澤英之主任研究員)
コメント
本記事は、フィジー政府の公式リリースをPACNEWSが引用し報じたもので、ニュアンスを保つためできるだけ直訳しました。
フィジーと中国の関係は、2006年11月のバイニマラマ軍司令官(当時)による無血クーデター後、暫定軍事政権に対する豪州、NZを中心とした先進国の制裁の期間に深まりました。フィジー政府側の戦略、政策も功を奏し、2013年~2014年頃にはフィジーは豪州・NZとケンカしながらも、経済成長や国の発展を実現できることを証明しました。その背景には、フィジー政府が進めた外交関係の多角化や国連枠組みにおける地位向上があり、経済協力面では中国の存在がこれを支えました。
一方、フィジーは2014年9月の総選挙で民政復帰を果たすと、豪州、NZをはじめとする先進国や世銀、アジア加発銀行などとの関係も回復させ、「中国は真の友人」としつつも、中国依存にならないように上手く国を運営しています。フィジー政府の人々は世界で中国がどのような支援を行っているのか、どのような立場にあるのかをよく知っています。
例えば、フィジーにとって台湾は大切な開発パートナーであり、台湾ICDF(日本のJICAにあたる)が農業や保健医療分野の支援を行っています。さらにフィジーは独立国家として、民主主義、人権保護、法の支配を支持しており、その点は与党も野党も変わりません。
他方、ソロモン諸島はフィジーを中国との関係強化と経済発展のモデルケースと捉えている節があります。ソロモン諸島は90年代末から続いた部族紛争、その後の豪軍を中心とするPIF加盟国の軍・警察による地域支援ミッションRAMSI(2003-2017)の駐留により、その人口規模や天然資源の割に経済発展が他の太平洋島嶼国よりも遅れました。さらに、ソガワレ首相はフィジーの豪州と戦う姿勢を見ています。ただし、ソロモン諸島政府は、バイニマラマ政権のような元軍人らによる仕事人気質や責任感、インド系フィジー人やその人々と対等にやり取りできるレベルの先住民系フィジー人の存在などさまざまなレベルで綿密に交渉し物事を進めていく人材が不足しているため、フィジーのようになることは難しいでしょう。その点から言えば、バヌアツはバヌアツでかなり強かな国ですが、他部族国家であり、中央政府と地方の関係性などを踏まえると、ソロモン諸島はフィジーよりもバヌアツに国の空気感が似ているかもしれません。
日本を含め、太平洋島嶼国以外のメディアには、太平洋島嶼国が中国の言いなりになるかのような視点で報じているケースが少なくありませんが、現地で生活し、何百回の交渉や対話を行ってきた経験からは、太平洋島嶼国はそれほど単純ではありません。
今回の王毅外相の訪問で、経済面や開発協力が約束された場合、島嶼国側はいつそれが実行に移され、約束通りの利益が現地にもたらされるか否かを精査していきます。さらに、支援要求は留まることを知らず、いつまでも続いていきます。そして、現地に不満が高まれば、見えないところで状況が変化していきます。現地に駐在している中国人外交官は、その現実を理解していることでしょう。中国の現在の高揚した関与姿勢をいつまで維持できるのか気になるところです。
例えば、台湾はある台湾承認国(当時)から台湾に研修員を招聘した際、その研修員は台湾の受け入れ担当者に対し中国との関係をちらつかせながら、「小遣いがないから援助してくれ。わかってるよな。」といった要望を出し、プレッシャーをかけ、その担当者は自腹で何万円も負担するということが起こっていました。
話しを戻せば、今回の王毅外相のフィジー訪問は、中国がどれだけの支援を地域全体にあるいは各国に約束するのか、実際に実行するのか、トンガなど各国が抱える債務に対して債務免除や返還猶予期間の延長などについて議論されると考えられます。さらに、メディアで話題になっている安全保障についてですが、太平洋島嶼国側の安全保障は気候変動への適応(防災・インフラ整備など)や緩和(排出ガス削減など)であり、中国が気候変動に対してどれだけ本気で対応しようとしているか、島嶼国側は注目しているでしょう。
ちなみに、ソロモンの安保協定により、中国軍艦船寄港ができる点が話題の一つになっているようですが、例えば、1998年に台湾から中国に国交を切り替えたトンガでは、2010年に初めて中国軍艦船が寄港し(2隻、約500名)、その後も訓練船や病院船が寄港してきています。その際、仏領ポリネシア、ニュージーランド、フィジー、ニューカレドニア、豪州にも寄港しており、レーダー船などは10年も前からフィジーに寄港しています。安保協定により初めて南太平洋に寄港するということではなく、国交が結ばれたので寄港できる土地が増えたということでしょう。軍事施設の建設などとはレベルが異なります。
キリバスに関しては、厳しいコロナ対応をしている中、政府が住民に知らせず4時間だけ王毅外相の訪問を受けたことに対し住民に不満があり(中国云々ではなく、例外措置を取られたことに対するもの)、それは中国政府側がキリバス政府側に強要したものであるとの報道もありました(Kiribati 'forced' to allow China visit says journalist(5月27日、タラワ、RNZ PACIFIC/PACNEWS))。
現在、フィジーが議長国を務めているPIFの枠組みでは、地域結束強化のために6月に事務局長職を含め、何らかの改革が発表される予定になっています。
今回、中国外相一行地域訪問は、先進国側が警戒しさまざまなメディアが話題にしたことで、中国としては地域における影響力が高まっている印象づけができ、目的の半分は達成したといえるでしょう。
最後に、フィジー政府発表文書で、ジョサイア・ヴォレンゲ・バイニマラマ首相ではなく、フランク・バイニマラマ首相と記載されていました。軍司令官時代にフランク・バイニマラマという名前をよく使っていたこともあり、豪州やNZ政府の人などは現在も首相のことを「フランク」と呼ぶ一方、特に2014年の民政復帰以降はフィジー側はフランクという名前を避けている節があったので、少し気になるところです。
(塩澤英之主任研究員)
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