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中国トップレベルの代表団がキリバスへ
(2022年5月25日、オークランド/タラワ、TVNZ/PACNEWS)
11分
抄訳
中国の王毅外相は、地域の安全保障関係を強化するための太平洋訪問の一環として、金曜日(5/27)にキリバスを4時間訪問する予定だ。
2019年にキリバスが台湾から中国に忠誠を誓って以来、両国のトップレベルの二国間会談は初めてとなる。
中国が最近ソロモン諸島との間で、要請があれば同国への軍事駐留を認めるという議論を呼ぶ協定を締結したことを受けて、安全保障上の交渉の可能性について懸念が広がっている。
キリバス野党党首のテッシー・エリア・ランボーン氏は、1NEWSの取材に対し、安全保障上の取り決めには、環礁の一つであるカントン島の軍事化や中国の支配が含まれると考えており「重大な懸念」があるとし、「フェニックス諸島保護区(PIPA)にある私たちの豊かな海洋領土は、確実に中国の支配下に置かれるだろう」と述べた。
この地域は、米軍施設に近接する地理的戦略上、また豊富な漁業資源を有することから、価値がある。
昨年、1Newsは、キリバス政府が海洋保護区であり世界遺産でもあるPIPAを捨て、商業漁業に開放しようとしていることを明らかにしたが、これは北京が主導したと見られる動きである。
中国は、米国と豪州が警戒しているカントン島の滑走路とコーズウェイの改良のためのフィージビリティスタディにも資金を提供している。
金曜日の二国間会談では、カントン島開発に関する議論も行われる予定であることが、火曜日遅くに発表された。
(キリバスの)マーマウ大統領のFacebookの投稿によると、ハイレベルな国家訪問は「二国間パートナーシップと協力を強化・促進するものであり、キリバス・中国関係にとって重要なマイルストーン」であるとしている。
キリバス国境は新型コロナウイルス対策で閉鎖されたままであるが、中国代表団のために免除された。
一行は空港に到着後、PCR検査を受けることになるが、(野党の)ランボーン氏は、この訪問は超大国の影響力を示すものだとし、「ロックダウン以来、中国人は制限なく出入国 しているが、我々キリバス人の船員や他の国民は海外からの帰国まで 3年以上待たされた」「私たちの民主主義体制は、実際のところ、私たちの主権そのものが攻撃を受けており、民主主義国家としての存続するために支援が必要だ」と述べた。
中国代表団は今夜(5/25夜)ソロモン諸島に到着し、木曜日(5/26)にソロモン諸島政府と会談する予定である。また、一行は日曜日(5/29)と月曜日(5/30)にフィジー、来週パプアニューギニアを訪問する予定だ。
水曜日にニューヨークからメディアに語ったアーダンNZ首相は、王毅外相が太平洋諸国の多くを訪問することは驚くことではないとし、「私たちは、懸念を共有している分野では、(中国と)もちろん協力したいと強く思っている。」「共通の懸念とは、気候の緩和や適応といった問題、地域における質の高い投資やインフラなどである。」「軍事化も緊張の激化も望まず、平和と安定を望んでいる。」と述べた。
(訳:塩澤英之主任研究員)
コメント
中国王毅外相の太平洋島嶼国歴訪に関する記事になります。本日5/25から来週まで、ソロモン諸島、キリバス、フィジー、パプアニューギニアなどを訪問する日程が記載されています。その中で、キリバスは4時間ほどの立ち寄りのようです。
過去の例を見ると、2006年に温家宝首相(当時)がフィジーを訪問し、PIF事務局を含む会合で地域への支援パッケージ(日本の太平洋島サミット直前の訪問で、日本が予定していたコミットメントに対抗するもの)を発表しました。その際、例えばトンガに対しては2005年までの債務取消と新たな無償資金協力を約束しました。現在のトンガの債務の多くは、同年11月に発生した国内暴動後、都市部の復旧のための資金確保の過程で発生したものになります。
2014年には、習近平国家主席は豪州でのG20後にフィジー(西部のナンディ)を訪問しました。そこでは中国と国交を有する8カ国(当時)の首脳との首脳会談が開かれ、中国は一帯一路構想に基づく南南協力を強化する発表を行っています。その際、トンガは暴動からの復旧のために得た融資の債務免除や返還猶予期間の延長を中国に求めていました。各国に対しては無償資金協力などの約束がされました。ちなみにフィジーでは同時期にモディ首相の訪問(東部の首都スバ)を受けており、当時私は現地にいましたが、大変目立ったモディ首相に比べ、中国はあまりプレーアップされていない印象がありました。
そのような観点から言えば、今回の王毅外相の歴訪はNZのアーダーン首相が述べているとおりであり、協力できる分野は協力するというのが外交的スタンスだと思います。一方で、地域秩序を乱す動きは認めない立場でしょう。
キリバスに目を向ければ、フェニックス諸島カントン島の再開発の話があります。居住者は20人以下です。私はフィジーにおり、キリバスも担当していたことから首都タラワは数度訪問したことがありますが、カントン島の再開発はキリバスが中国と国交を結ぶ以前からキリバスの国家開発計画に上げられていました。一つの方法は、世界遺産・海洋保護区PIPAとして保護することで海外から保護区維持のための支援を受けつつ、米国LAなどからチャーター便を飛ばすことでエコツーリズムに利用するというもの。あるいは、海外との漁業交渉に絡めて、カントン島にマグロ水揚げ施設や漁船の燃料・物資を建設するというもので、当時のキリバス政府の方は日本だけでなく、韓国、台湾など漁業国側に提案し、どこかの国が話を進めていたというものがありました。
キリバス側から見れば、結局のところ、どの開発パートナーもカントン島の開発に手を上げない中で、中国が意欲を見せ、その他の経済協力を含めた合意を期待し、2019年9月に台湾から中国に国交を切り替えた、ということになります。なお、カントン島の開発については、米国とキリバスの友好協定があるため、仮に米国の同意なしに軍事利用が明らかとなれば、同協定が破棄されない限り、米国にはこれに対応する理由が発生します。
もう一点、今回の記事で注目したのはフェニックス諸島海洋保護区(PIPA)の商業漁業への開放とその背後に中国がいるのではないかという部分です。最近、パラオでもEEZの80%を閉じたマリンサンクチュアリを一部解除して、漁業関連収入を増やすという議論が巻き起こっています。
パラオ国内の人々も当初は、保護区の解除=入漁料収入の増加、という考え方がありましたが、実際の仕組みは異なります。パラオ、キリバスを含む8カ国とトケラウがナウル協定締約国グループ(PNA)を作っており、入漁料はVDS(隻日法)という仕組みにより、年間の漁業国への操業日の販売日数が、加盟国に割り当てられます。1日1隻あたりの単価は、全体日数を抑えることで、VDS導入直後の2010年頃には2000ドル台でしたが2015年頃からは8000ドル台、1万ドル台と上昇しました。
その販売日数は、加盟国間で取引が可能になります。例えば、パラオ海域で不漁で日数が売れない場合でも、キリバス海域が豊漁であっという間に日数が売切れれば、キリバスがパラオから余剰日数を買い取り、漁業国に販売することができるという仕組みです。
この仕組みにより、パラオでは2015年にサンクチュアリ法が成立し、徐々にクローズし、2020年にEEZの80%を禁漁にしました。一方で、パラオに割り当てられたVDS日数は、2015年以前は500日台だったものが、2020年以降には600~700日台に増えました。結果的に、パラオは自国海域での操業は制限しながら、以前よりも入漁料収入を得ていたことになります。
キリバスの場合、PIPAを解除して何が起こるかと言えば、その海域で外国漁船が操業することが可能となり、カントン島の利用価値が高まるというところです。一方、PIPA解除によりPNAがキリバスに対するVDS操業日数割り当てを増やすことになれば入漁料が増えます。他国から日数を購入することで、販売日数を増やすこともできるかもしれません。海域の狭いパラオと大きなキリバスでは構造が異なりますが、PIPAであれ、マリンサンクチュアリであれ、変化として考えられるのは、現地での漁業活動に伴う現地ローカル経済への影響といえるでしょう。
中国王毅外相のキリバス訪問に戻りますが、中国が各国において、貿易・投資、開発協力、気候変動、コロナ対応、食料安全保障、エネルギー(燃油高騰対策)、そして地域安全保障(防衛・警察に関わる部分)の各分野についてどのような話がなされるのか、約束が出されるのか注目されます。それにより、今回8カ国を訪問との情報もありますが、太平洋島嶼国それぞれのスタンスを推察できるようになるでしょう。
(塩澤英之主任研究員)
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