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中国、太平洋地域における影響力を高めるため、さらなる島嶼国との安全保障協定を追求
(2022年5月23日、北京、THE FINANCIAL TIMES/PACNEWS)
11分
抄訳
米国および同盟国の当局者によると、中国はソロモン諸島との協定に続き、さらに2つの島嶼国と安全保障協定を交渉し、太平洋における影響力を強めている。
ハワイから3,000km離れたキリバスとの協議が最も進んでいるとし、「ソロモン諸島との協定とほぼ同じ内容の協定について、キリバスや少なくとももう一つの太平洋諸島の国と協議している」と米国の同盟国の情報機関関係者は語った。
中国が影響力を強める中、ジョー・バイデン大統領が地域の安全保障に対する米国のコミットメントを同盟国に再確認するためにアジア訪問を開始したことに対し、北京が太平洋地域における影響力をさらに高めようとしているという警告が出された。
キリバスとの交渉は、北京がソロモン諸島と交わした協定に続くもので、一部の専門家は、豪州の北東に位置する同国に中国が海軍基地を建設することになると見ている。
3月の協定案のリークによると、ソロモン諸島との協定は中国が警察や軍隊まで派遣することを可能にしており、米国と豪州、ニュージーランドから日本までのインド太平洋地域の同盟国に衝撃を与えたという。
ある米国政府関係者は、中国は以前からキリバスへの照準を定めていたと語った。「この件に関しては、数カ月どころか、何年も前から行ったり来たりで議論してきた」とその関係者は言い、北京は太平洋の島々に「戦略的な拠点(strategic perches)」を作ろうとしているのだとも付け加えた。
キリバスとの協定がソロモン諸島との協定と同じようなものになるのではないか、という懸念は深刻だ、とある西側諸国の政府関係者は言う。
キリバス外務次官のマイケル・フーン氏は、同国政府が「いかなる相手とも安全保障協定について協議している」ことを否定した。
しかし、キリバス野党党首のテッシー・エリア・ランボーン氏は、会談のことは知らなかったが、中国との関係が急速に変化していることが地元の人々を心配させているとし、「私たちは、この地域の戦略的立地に軍事的プレゼンスを確立しようとする中国の計画の次にある。」と述べた。
ソロモン諸島の取引は、中国との地政学的緊張を土曜日の豪州の選挙の中心的な争点にするのに役立った。中国の王毅外相は来週、大規模な代表団を率いて同諸島を訪問する予定だ。
中国の地域における影響力強化の他の象徴として、中国は第二次世界大戦中に米軍の重要な拠点であったルーガンビルの国際空港を改良するため金曜日にバヌアツと協定を結んだ。
国務省高官は、米国はキリバスとの取引を含む安全保障交渉に関する懸念を「非常に真剣に」受け止めていると述べた。彼は中国がトンガとバヌアツとも交渉している恐れがあると述べた。
「中国は、軍事的あるいは準軍事的な方法で活動できる場所を拡大するために、世界的な努力を行っているようだ。そしてそれが懸念すべきものだ。」と国務省高官は述べた。
北京は、フィジーやパプアニューギニアなど、この地域の他の国とも安全保障に関する協定を結んでいる。しかし、外交官や安全保障関係者は、ソロモン諸島との協定はもっと広範囲で、キリバスに関してより大きな野心を持っているかもしれないと述べている。
中国は2003年までキリバスで宇宙追跡ステーションを運営していたが、台湾との国交樹立に伴いキリバスとの関係を絶った。
2019年にキリバスが外交的忠誠(diplomatic allegiance)を台北から北京に戻して以来、外交官たちは追跡ステーションが再開される兆しを探ってきた。専門家によると、過去20年間に中国の軍事力が大幅に向上したことで、ハワイの比較的近くに中国の空軍や海軍の足場を持つことは、現在ではさらに重要な意味を持つという。
また、中国はキリバスと共同で、同諸島(※フェニックス諸島)のカントン島にある滑走路の改修を進めている。
豪州グリフィス大学の太平洋地域専門家テス・ニュートン・ケイン氏は、ソロモン諸島の取引とキリバスとの関係強化は、中国の関与の新しい段階における「高いエネルギー」を反映していると指摘し、「このような関係は非常に新しく、しかも急速に進展している......。 これは、他の地域で見られる、もう少し成熟した関係とはかなり異なっている」と述べた。
中国外務省は、コメント要請には応じていない。
(訳:塩澤英之主任研究員)
コメント
本記事は、先日の中国・ソロモン安全保障協定に続く、中国の他の2カ国との安全保障協定締結を探る動きを伝えています。
中国は古くは90年代から一部の太平洋島嶼国の軍事協力協定を結び、資機材支援は人的交流を実施し、軍の無い国については警察に対する協力を行っています。例えば、1998年にトンガが台湾から中国に国交を切り替えた後、1999年に軍事協力協定を結び、トンガ軍への制服など備品や揚陸艦の供与、トンガ軍人の防衛大学への受け入れ、中国軍ハイレベルのトンガ訪問、中国軍艦船の寄港などさまざまな活動が行われています。フィジーとの間にも軍事部門の協力協定が数次結ばれ、都度資機材の供与が行われてきました。
その観点からは、中国の軍事部門や警察部門における太平洋島嶼国への支援は新しいことではありませんが、ソロモンで治安維持が必要になった際に、「現場での治安維持に人員が直接関与する」点がこれまでの協定とは異なっています。これまで太平洋島嶼国における治安維持は、太平洋島嶼国および旧宗主国である米豪NZが担っており、人道支援以外で域外国が軍や警察の人員を派遣し現地で活動することは、大きな変化であり、従来の秩序構造を破る動きと見なされます。
記事では、ソロモンの次に安保協定を結ぶ国としてキリバスがあげられています。ソロモンは対豪州の意味が強く、まるで豪州選挙を意識したタイミングでさまざまな動きがありました。そして、キリバスは対米国となります。タラワ北部のマーシャル諸島クワジェリン環礁には米軍の大陸弾道弾迎撃ミサイル実験基地があり、さらにキリバス周辺には米領の島嶼が複数存在しています。キリバスの場合は、首都タラワのあるギルバート諸島は旧英領、カントン島のあるフェニックス諸島は旧米領で、フェニックス諸島に残る米国が建設した港湾については、独立後に米国と結んだ友好条約により、米国が認めない限り第3国による軍事利用はできません(米国は防ぐ根拠がある)。そのため、カントンでは中国は民生利用ということで改修を進めています。
タラワにあった中国の民生利用目的の衛星追跡施設については、私が現地で当時を知る人々に聞いたところでは、パラボラアンテナはクワジェリンを向いていたという話や、キリバス上空での米軍の動きが活発化したといった話がありました。
記事ではさらに、トンガとバヌアツが取り上げられています。トンガは上述のとおり、20年以上にわたるトンガと中国の軍事部門の関係があります。ただし、基地の建設といったより発展した考え方については、トンガの英国とのより強い関係が影響するものと思います。
バヌアツは観光産業が発展過程にあり、クルーズ船ための首都ポートビラと第2の都市ルーガンビルの港湾改善計画、首都やルーガンビル、その他の島嶼部における空港改善計画を進めています。例えば日本に数十億円規模の大規模支援を求める場合、そのサイクルは3年程度かかりますが、バヌアツは早期にアップグレードし経済発展を進めたいため、できるだけ同時に多くの開発パートナーに支援を要請しています。形態は融資であったり、無償資金協力であったりですが、実際に日本、豪州、世銀、中国などが主要パートナーであり、同時進行で様々な開発計画が進んでいます。記事中にあるルーガンビル国際空港の開発計画は、バヌアツにとってはその国家経済開発計画のライン上にあるものと言えるでしょう。ちなみにバヌアツは1980年に英国とフランスの共同統治から独立した歴史があります。
中国は、太平洋島嶼国自身が追求する主権国家としての地位の確保と経済成長を求める考え方を背景に、民間部門や途上国による南南協力の文脈で基本的に違法性なく各国との関係を強化し、現在に至ります。汚職、現地の環境関連法、財政規律の問題(例えば債務のGDP比など)が明らかであれば、現地国内で何らかの動きが起こるでしょうが、太平洋島嶼国側が求め、違法性が無い協力が行われている場合、他の国々がこれを止めることは困難といえます。
しかし、安全保障協定はレベルが異なります。戦後の太平洋島嶼地域秩序は米国、豪州、NZが担い(南半球側の根底には英国、一部フランス)、日本を含めその他の国々は関与しない、あるいはできないものでした。中国の一連の動向は、きっかけは台湾承認国の中国への国交切替である場合もありますが、ある意味タブーであった地域秩序構造への挑戦と捉えられています。
(塩澤英之主任研究員)
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