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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

トランスフォーム・アコラウ博士、中国・ソロモン諸島条約の抜け穴を指摘

(2022年4月25日、ホニアラ、ISLAND SUN/PACNEWS)


抄訳

ソロモン諸島の上級学者であるトランスフォーム・アコラウ博士は、中国/ソロモン諸島安全保障条約には、ソロモン諸島の人々にとって問題となる多くの逃げ道があると述べている。
 
ハワイ大学太平洋諸島研究センター主催のウェビナー "China-Solomon Islands Security Agreement and Blue Pacific (In) Securities" で発言した。
 
アコラウ博士によると、安全保障条約締結までのプロセスには欠けている部分があり、これにはソロモン諸島の中国人の武装を法的に認可・承認するための裏付けとなる法律が欠けていることが含まれるとし、外国人の武装は、銃器の発射が死傷者につながる可能性がある状況で、より大きなリスクを伴うため、安全保障条約は国会法によって補完されるべきであると提案した。
 
「プロセス "について指摘したい。RAMSIが導入されたとき、それは合意のもとに行われた。武器の携行と免責は、国会の法律により促進された。RAMSIと支援部隊のための免責は、円滑化法の下で可決された。この(最新の)協定も、同じような立法プロセスを経るべきだったと思う」とアコラウ博士は述べた。
 
 
率直な発言で知られる国会議員のピーター・ケニロリア・ジュニア(※ソロモン議会野党)は、中国・ソロモン諸島の安全保障条約とオーストラリア・ソロモン諸島協定には違いがあると発言している。
 
「草案とオーストラリアの協定を見たが、オーストラリアの協定は非常に具体的だ。武器、関税、税金の問題......私は事務次官をやっていたから知っている。中国との草案がオープンエンドであることが、何よりも心配だ。安全保障条約は通常、国連に寄託される。そうなることを望んでおり、そうすれば誰もが内容を知ることになる」と述べた。
 
ケニロアはさらに、中国・ソロモン諸島の安全保障条約は集団的な決定ではなく内閣の決定であるとし、 この協定には国会からのインプットが欠けており、ましてや協定締結前の協議が行われておらず、このような意見の対立は起こるべくして起こったと述べた。
 
「そのプロセスは国家を代表する執行プロセスとして大変重要だ。国会からの意見はほとんどない。他の太平洋諸国や民主主義国家とは少し違っている。行政府、つまり内閣によって行われ、彼らがどの批准をするかを決める。」「台湾から中国への国交切替から、この安全保障条約署名まで一直線に見える。この話は中国への国交切替以前から準備されていたのではないか。経済力があれば、軍事力もついてくる」とケニロリアは付け加えた。そして、外交委員会では、行政の判断に正しい記録をつけるために、国会の委員会の関与を導入することを検討しているという。
 
政府の後方支援者であり、政府の外交政策諮問小委員会の議長であるベテラン議員のダニー・フィリップ氏は、この協定は政府の目の前で署名され、作成されたものだとし、「締結された協定は、現時点では行政府の手に委ねられているが、ここで扱っている文脈では...しかし、国家安全保障の問題では、国全体の正統性を必要としないものもある」と述べた。
(訳:塩澤英之主任研究員)

コメント

(※元記事では、「China/Solomon Islands Security Treaty」とあるため「中国・ソロモン諸島安全保障条約」と訳していますが、一般にAgreementが使われているため、ここでは安全保障協定とします。)
 
今回の動きについて、短期的視点でみると驚きがありますが、過去25年程度の流れから見れば、次の要因が背景にあると考えられます。
・ソロモン諸島の主権国家としての自立(脱植民地化)
・RAMSI時代の経験と経済低成長
・フィジーからの学び
・ソガバレ首相の対豪州感情
・中国による地域秩序構造の変更
・戦時中の日本を辿る中国の動き
 
ソロモン諸島は人口約68万人、1978年にイギリスから独立。国家元首は現在もエリザベス二世女王です。1998年から2003年にかけてマライタ島住民とガダルカナル島住民の間で厳しい部族紛争が起こり、2003年から2017年までソロモン諸島地域支援ミッション(RAMSI)が派遣されていました。RAMSIの派遣期間、特に2010年代に入ってから太平洋島嶼国各国は順調な経済成長に転じましたが、キリバスとソロモン諸島はその流れに乗れませんでした(キリバスは、高成長を避ける自国の経済政策による)。
 
キリバスでは経済成長を掲げるマーマウ政権の誕生、ソロモン諸島では重しとなっていたRAMSIの撤退が契機となり、他の島嶼国に追いつくべく、経済成長を目指しました。その文脈で中国との関係構築で経済成長が達成できると理解され、台湾との国交断絶が起こりました。
 
PIFの枠組みでは1992年ホニアラ宣言(法執行協力)、1997年アイトゥタキ宣言(安全保障協力)、2000年ビケタワ宣言(安全保障協力:アイトゥタキ宣言が発展したもの)が出され、2003年にソロモン諸島政府からPIF事務局に対しビケタワ宣言に基づく地域への協力依頼があり、豪州軍が主導するRAMSIが派遣されました。RAMSI派遣後、ソロモン諸島の警察を含め、ソロモン諸島の人々は銃火器の所持が禁止されました。住民の中にはワニがいるため銃が必要との声もありました。中国との安全保障協定の話でも、この銃火器の所持が一つの関心事項となっています。
 
ソガバレ首相は、経済官僚を経て政界に転じ、2000年~2001年、2006年~2007年、2014~2017年に首相となり、2019年から現在まで4期目の首相の地位にあります。過去3回は豪州の影響で首相の座を追われたといわれており、2007年から2014年は野党に転じていました。2006年には閣僚の豪州人に対する性的暴行事件に関し、豪州と対立が激化したことがありました。
 
ソガバレ首相自身の歴史を見ると、ソロモン諸島の真の独立、豪州の影響からの脱却を目指しており、故に豪州から指示されるとか、上からの態度に対して強い反感があります。
 
一方、中国は、当然ながらそのような現地事情を知り尽くしており、2017年6月のRAMSI撤収、2019年4月のソガバレ首相復帰(2017年に不信任決議で首相の座を降りていた)を経て、2019年に台湾から中国への国交切替に成功、2021年11月の暴動を経て、2022年3月、ソロモン諸島との安全保障協定締結に至ります。2021年11月の暴動は、チャイナタウンが襲撃され(過去の暴動でも狙われている)、中国人3名が死亡しました。在留中国人は英語を使わないこともあり、このような暴動の際に中国の警察が関与することが自国民の安全確保に繋がるという理由づけができるようになり、今回の安全保障協定に繋がったようにも見えます。
 
中国とソロモン諸島の安全保障協定の大きな問題は、その中身の不透明さや将来的な中国軍事施設の建設可能性などがあげられますが、第一に地域秩序に中国が直接関与できる可能性が作られたことにあります。これまで地域安全保障は旧宗主国である米豪NZが担い、さらに太平洋島嶼国の軍・警察が加わる形でした。域外国が関与するとなれば初めてのこととなり、地域秩序基盤に変更を加えかねない事態となります。しかも、中国は自由民主主義国家ではない。
 
それでもソガバレ首相が米豪NZの強い警告にも関わらず急ぎ合意しました。ここには、豪州はソガバレ首相の見方ではなくむしろ敵であるという認識があると考えられます。自身の立場を守るには豪州に対抗できる力(情報や経済含む)が必要であり、それは米豪NZ側にいる日本ではなく、中国しかなかった。これでソガバレ首相は、米豪NZの指示に一主権国家として対抗することができるようになりました。この状況は、2006年の無血クーデター後にフィジーが経験した状況に似ています。当時フィジーは豪NZを中心とする西側諸国の制裁を受けましたが、中国と関係を強化することで経済が持ち直し、(中国は関係ないが)外交関係の多角化に成功し、国際社会に地位が高まり、経済成長に成功しました。ソガバレ首相は、フィジーが豪NZの圧力に対抗していたころ、2014年頃にフィジーを訪問し、さまざまな情報を得ていた節があります。フィジー経済は2013年から経済政策により上昇に転じました。ソガバレ首相は、そこに本来あるべき主権国家としての姿を見て、資源と人口があるにも関わらず低成長に沈む自国に思いをはせたものと思います。
 
今回の件では、太平洋諸島フォーラム(PIF)は蚊帳の外です。なぜなら加盟国の外交の問題であり、それを超える権限がないからです。地域宣言にも加盟国の域外国との関係を制限するものはありません。ソロモン諸島と豪州の安全保障協定にもソロモン諸島と第三国との関係を制限する条項はないと考えられます。この点は米国が安全保障の権限と責務を有し、第3国の軍事的接触を制限できるとする、米国自由連合国が有する米国とのコンパクトとは大きく異なります。
 
さらに、かつて日本は太平洋島嶼地域の中で、米豪NZとは一定の距離感があり、太平洋島嶼国の立場を理解する国として、例えば太平洋島嶼国と米豪NZを繋ぐ国として期待がありました。しかし、2018年の第8回太平洋・島サミットで、自由で開かれたインド太平洋構想(当時は戦略)が対中戦略と島嶼国に認識されたことから、日本はより米豪NZに近い立場にあると認識されています。それでも、日本はソロモン諸島の考え方を理解し、米豪NZ側から離れないように繋ぎ続ける点で役割があるでしょう。
 
最後に、太平洋島嶼国には見えないレッドラインがあります。詳細は省きますが、過去にキリバス、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島ではレッドラインを越えた(越える)と考えられたことがあり、それぞれ何らかの事象が発生しました。今回のレッドラインは、軍事施設の建設あるいは地域秩序構造の変更にあるかもしれません。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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