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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

ミクロネシア諸国首脳、PIF事務局長の6月までの退任を期待

(2022年2月14日、ポンペイ、ABC/PACNEWS)


抄訳

ミクロネシア5カ国は、(昨年2月に行われた)ヘンリー・プナ・クック前首相のPIF事務局長選出に同意せず、今年、地域機関であるPIFからの脱退を予定していた。
 
しかし、デイビッド・パニュエロ大統領は、プナ氏の退任を期待し、6月まで脱退プロセスを停止すると述べた。
 
「これらのことが実現することに対して、誠意と信頼を持つことは重要だ。」とし、2月11日(金)に開催されたミクロネシア大統領サミットにおける他の首脳とのコンセンサスにより 脱退プロセスの一時停止を決定したと述べた。
 
ミクロネシア連邦政府は、PIF協定の寄託者(depository)であるフィジーの外務省に対し、脱退プロセスと一時停止するとの口上書を発出した。
 
パニュエロ大統領は、事務局長の交代を含むPIFの改革が実現しない場合、ミクロネシア連邦および他のミクロネシア諸国はPIFを脱退すると述べた。
(訳:塩澤英之主任研究員)

コメント

ミクロネシア5カ国は脱退しない最低限の条件として、プナ事務局長を退任させミクロネシア地域から新事務局長を選ぶことを主張してきました。さらにPIF事務局の改革も求めています。
 
一連の動向を見ると、今回の件は米国が豪州、NZ、ミクロネシア諸国(特にミクロネシア連邦)、プナ氏との間で調整し、プナ事務局長就任1年を経る6月までという期限とともに、別のポストを用意することで花道を作り、ミクロネシア諸国が脱退プロセスを一時停止させたように見えます。恐らく組織としてのPIF事務局は含まれていません。
 
結果的に、PIF枠組みや南半球における米国の影響力が高まり、バイデン政権のインド太平洋戦略の推進が認識されるなど、米国が利を得たように見えます。
 
まず、今回の動きに関係すると思われる一連のPACNEWS記事(タイトルのみ)を確認しましょう。
「ブリンケン、豪州・フィジーに向かう(2月9日、ワシントン、VOA/PACNEWS)」
「ブリンケン、中国と西側諸国のバランスをとるため太平洋島嶼国首脳と会合を行う(2月10日、シドニー、REUTERS/PACNEWS)」
「ブリンケン、今世紀はインド太平洋地域により形作られる(2月11日、メルボルン、AP/PACNEWS)」
「ブリンケンの太平洋地域訪問も、マーシャル諸島、米軍のアクセスに関する交渉は行き詰まる(2月11日、ワシントン/マジュロ、REUTERS/PACNEWS)」
「米国自由連合国が米国とのすれ違いの中心に(2月11日、マジュロ、MARIANAS VARIETY/PACNEWS)」
※2/11 ミクロネシア大統領サミット開催、2/12(米国時間2/11)米国「インド太平洋戦略」発表
「ミクロネシア諸国の一次的脱退プロセス停止により、太平洋諸島フォーラム、ぎりぎりのところで崩壊を免れる(2月14日、ポンペイ、ABC/PACNEWS)」
「太平洋諸島フォーラムの結束は、当面保たれた(2月14日、ナンディ、ISLANDS BUSINESS/PACNEWS)」
「ブリンケン、米国は太平洋諸島における長期的未来像を持っている(2月14日、ナンディ、NEW YORK TIMES/PACNEWS)」
「ミクロネシア諸国首脳、PIF事務局長の6月までの退任を期待(2月14日、ポンペイ、ABC/PACNEWS)」※上記記事
「太平洋諸島フォーラム事務局長は交代することになる-パニュエロ・ミクロネシア連邦 大統領(2月15日、ポンペイ、ABC/PACNEWS)」
「フォーラム残党は唯一最後のチャンスを与えられた-ウィップス・パラオ大統領(2月15日、コロール、RNZ PACIFIC/PACNEWS)」


次に、米国政府が2/11(米国時間)に発表したバイデン政権によるインド太平洋戦略を確認します。
 
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/speeches-remarks/2022/02/11/fact-sheet-indo-pacific-strategy-of-the-united-states/
 
同戦略はトランプ政権の自由で開かれたインド太平洋戦略から発展したもので、気候変動の優先度を上げたことと中国に言及する際に、CCP(中国共産党)ではなくPRC(中華人民共和国)を使っていることに違いが見えます。その中で5つの目的が提示されていますが、2つ目の「BUILD CONNECTIONS WITHIN AND BEYOND REGION」と5つ目の「BUILD REGIONAL RESILIENCE TO 21ST-CENTURY TRANSNATIONAL THREATS」が太平洋島嶼国および太平洋島嶼地域に関連しています。特に後者については、米国は「ASEAN, APEC, the Pacific Islands Forum(PIF), and other organizations」との緊密な連携により地域の強靭化への取り組みを推進すると述べており、PIFが明記されたことは大きな意味があります。
 

PIFというのは地域機関であるものの基本的に豪州、NZを含む英連邦系の南半球の国々の枠組みとしての性格が強く、ミクロネシア地域の米国自由連合国だけではなく、米国自身も関係を強くすることはできませんでした。米国は核実験を行ってきた歴史があり、南太平洋非核地帯条約(ラロトンガ条約、1985)を支持しない立場であることも影響しています。
 
その地域枠組みの事務局であるPIF事務局とミクロネシア諸国の関係は、2019年2月に行われた当時のテイラーPIF事務局長がPIFとして中国との関係親密化を求める発言が発端となり、悪化し始めました。このテイラーPIF事務局長による加盟国の外交権を越えた発言があり、その約2週間後にミクロネシア首脳がPIF事務局に台湾を中国と対等に扱うよう求め、さらに次の事務局長はミクロネシア地域からだと主張し、2020年9月に紳士協定に基づき台湾承認国であるマーシャルのザキオス駐米大使を次期事務局長候補に擁立したという経緯がありました。そして、2021年2月にプナ事務局長が選出されミクロネシア諸国の正式脱退プロセスが始まりました。
 
ミクロネシア諸国が求めるPIFの改革というのは、一義的には事務局長をミクロネシア地域から選ぶことですが、さらには現在の法的に曖昧な地域機関の基盤を確定させること(すなわちフィジーが批准し2005年協定を発効させること)、中国と台湾関係への適切な対応(現在同事務局では中国の影響が強い)、英連邦系の南半球主導の性格を北半球を含む地域全体のものとすること(すなわち米国を関与させること)が含まれると考えられます。
 
これまで述べてきたとおり、米国はPIFの枠組みとは距離がありましたが、その理由の一つには、PIFは豪州とNZに任せるという部分がありました。今回のブリンケン国務長官の現地訪問では、明確に米国がPIFに関与する意向を表明しています。そして、その訪問に合わせる形でミクロネシア諸国が脱退プロセスの一時停止を発表しました。脱退プロセスの停止を発表することは、対外的にミクロネシア首脳の意志の弱さを見せることになりかねませんでしたが、パラオのウィップス大統領が明確に発言していた「プナ事務局長が退任することが脱退取りやめの条件」を満たす可能性が高まったことで、一時停止を発表できたと考えられます。
 
一方で、プナ事務局長はクック首相の座を捨て(内政云々はここでは省く)、合法的に選出されたのであり、PIFとして辞めさせることはできません。唯一、本人が辞任するしかないわけです。その観点から、事務局長の退任は難しく、無理に辞めさせた場合、法的にも揉める可能性がありました。ところが、どうやら6月には退任する筋道ができているようであり、そのためポストがNZ主導で用意されるとの報道も出ています。
 
全体の流れをみると、米豪日印によるQUAD外相会議(豪州)、ミクロネシア諸国のPIF脱退プロセス一時停止、バイデン政権のインド太平洋戦略の発表、米・太平洋島嶼国会議開催(フィジー)が繋がっているようです。

端的に言えば、米国が豪州、NZ、ミクロネシア諸国(特にミクロネシア連邦を中心とする米国自由連合国)との間で何らかの調整を行ったように見えます。PIFの分断を米国が防いだという結果となればPIFのみならず地域における米国の影響力は高まり、上記のPIF改革が実現すればPIFの性格を米国にもメリットのあるものに変えることができるでしょう。米国が本気の外交を見せたと言えます。
 
現在のPIFの地域機関としての法的根拠は2000年PIF事務局設立協定にあり、フィジーの未批准により2005年PIF設立協定は発効していないなど、曖昧な状況にあります。今回の騒動をきっかけとして、今後、事務局長選出方法の改革やPIF事務局と加盟国の関係の再確認を含む、新たな組織協定の締結が期待されます。それにより、正当な地域政策機関としてのPIFの組織基盤が明確になり、日本を含む開発パートナーがPIFとより良い関係を構築できるようになります。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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