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ニューカレドニア住民投票、仏からの独立反対多数 賛成派はボイコット

(2021年12月13日、AP/PACNEWS)


抄訳

フランス領ニューカレドニアの有権者は12日、独立賛成派が投票をボイコットし、南太平洋地域の注目を集める中で行われた住民投票の結果、圧倒的多数でフランスの一部として留まることを選択した。
 
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、投票結果が、インド太平洋地域におけるフランスの役割を間違いなく認めたものであると評価し、ニューカレドニアの将来の在り方について交渉していくことを発表した。一方、分離独立派の活動家たちは、落胆や諦めの表情を浮かべた。
 
分離独立派は、パンデミックを理由に投票の延期を求め、日程変更に応じないのは、フランス政府による活動の揺さぶりだと憤慨していた。また、独立支持者には投票所に行かないよう呼びかけた。
 
支持者はその通りに行動した。公式結果では、投票した人の96%がフランスに残ることを選んだ。全体の投票率は44%に満たず、46.7%が独立を支持した昨年の住民投票の半分程度に過ぎなかった。
 
南部州議会議長で、熱烈な忠誠派であるソニア・バケス氏は、「私たちは、この夜もフランスに属しており、これからもそうあり続けるだろう。もはや交渉の余地はない」と語った。
 
今回の投票は、国連と地域の主要国による監視の下で行われ、脱植民地化に向けた世界的な努力と、地域における中国の影響力の増大を背景にしていた。19世紀にナポレオンの甥(おい)が植民地化したニューカレドニアは、オーストラリアの東に位置する人口約27万人の広大な群島で、パリとは10時間の時差があり、フランス軍の基地が置かれている。
 
マクロン大統領は全国放送の演説で、「ニューカレドニアが留まると決断したことで、フランスは今夜、さらに美しくなった」と述べた。
 
大統領は、分離独立派のボイコットについては直接言及せず、有権者が「依然として深く分裂している」ことを指摘した上で、賛成票を投じた人々を含む「すべてのカレドニア人を尊重する」と約束した。
 
12日の投票は、独立を求める先住民族カナクと、フランスの一部であり続けることを望む人々との間の緊張緩和を目的とした数十年にわたるプロセスの3回目にして最後の投票であった。
 
このプロセスは、最後の住民投票で終わるものではない。ニューカレドニアおよびその制度がフランスで新たな立場を確立するため、国家、分離独立派、独立反対派は、これから18か月間の交渉を行うことになる。
 
マクロン大統領は、「我々は新たなステージに到達している」と述べ、健康危機への対応、経済の活性化、女性の権利向上、そしてニューカレドニアで大きな懸念となっている気候変動からの環境保護について、新たな取り扱いの仕組みを交渉するよう呼びかけた。
 
独立派のFLNKS(カナク社会主義民族解放戦線)は、投票結果を無効化するために国際的な手段を追求すると強気の姿勢を見せ、時間をかけて次のステップを分析するまで、交渉は開始しないとしている。
 
暗殺された独立派リーダーを父に持つジャン・フィリップ・チバウ氏は、公共放送フランス・アンフォに対し、「カナクの人々の自決権は、日曜の夜も月曜の朝もなくならない」と話した。チバウ氏は、過去2回の住民投票で独立支持率100%、12日の投票はボイコットしたという町からコメントに応じ、「私たちは、先人たちがやってきたことを引き継いだ。私たちの後は、子どもたちが引き継ぐだろう」とした。
 
また暴風雨警報の発令が、住民投票の盛り上がりに水を差したこともあった。首都ヌメアの街路樹であるヤシの木が風に煽(あお)られる中、一部の投票所では行列ができた。しかし、他の投票所では来訪者がまばらだった。
 
ボイコット運動の影響で、事前活動と投票当日は異例の静けさに包まれた一方で、国は暴動に備えて1,750人の警察と治安部隊を配備していた。
 
「独立賛成」の機運が高まる中、9月にニューカレドニアで初めて新型コロナウイルスの感染が広がり、政治的な議論が混乱した。それまでニューカレドニアは、世界でも数少ないコロナフリーの場所のひとつだった。
 
先住民族のグループは、死者への敬意からキャンペーン(投票活動)を実施することはできないと考え、住民投票の延期を要請した。しかし、親仏派のグループは、ニューカレドニアの将来に向けた不確実性を解消し、経済的な見通しを高めるためにも、予定通り実施すべきだと主張した。
 
分離独立派の活動家は投票への参加を拒否すると発表し、フランス政府が住民投票の日程を押し付けたことや、独立の選択を否定的に捉えた文書を発表して中立性を侵害したことを非難した。
 
来年4月の大統領選で、極右派のナショナリストから厳しい逆風を受けることが予想されるマクロン大統領にとって、独立反対多数の今回の投票結果は、国内的にも国際的にも追い風となる。
 
フランスは、オーストラリアが米国および英国とのパートナーシップを形成したために数十億ドル規模の潜水艦契約を反故にされ、インド太平洋地域での存在感を高めることに躍起になっている。地域における中国の野望に対抗することを目的とした、三国の秘密交渉による潜水艦プロジェクトが9月に発表されたことは、フランスにとって大きな打撃だった。
 
ニューカレドニア大学のキャロライン・グラベラ氏は、地域の一部の国においては、「中米冷戦とも言える状況の中で、フランスのバランスの取れた姿勢を評価することができた」と述べている。
 
一方で、南太平洋におけるフランスの役割は、過去の遺物だという意見もある。
 
国連と太平洋諸島フォーラム(PIF)は、投票を見届けるために代表団を派遣した。ニューカレドニアは、国連が依然として「非自治」地域に分類する世界17の旧植民地のひとつで、脱植民地化の努力が必要とされている。他には、主に英国や米国によって統治される島々が、同リストに入っている。
(訳:立入瞳)

コメント

12月12日(日)、1853年以来のフランス領であるニューカレドニアで、ヌーメア協定(Noumea Accord, 1998)に基づく独立の賛否を問う3回目かつ最終回となる住民投票が行われ、独立を支持する先住民カナックの人々の多くがボイコットし、独立反対が圧倒的多数を占める結果となりました。
 
ここでは、今後の展開について考えていきます。
 
まず、背景を確認すると、第2次世界大戦後、1960年に国連で「植民地と人民に独立を付与する宣言」が出され、以降、世界各国の植民地が独立、あるいは自治権を確保し宗主国に組み込まれていきました。
 
ニューカレドニアは、人口約27万人、先住民カナック(メラネシア系)約4割強、欧州系(主に仏系)4割弱、ウォリス人1割未満、その他ポリネシア系、アジア系で構成されています。主な産業は、世界の埋蔵量の2割を超える有数のニッケル鉱、観光であり、一人当たりGDPは33,474米ドル(2020, 国連)と数字上は先進国と同等です。
 
そのニューカレドニアでは、フランスによる植民地統治体系と先住民カナックの人々の伝統的統治体系が併存し、1970年代から1980年代にかけて、先住民カナックの人々がアイデンティティへの認識と統治体系への反映、さらには独立を求めて運動を起こしました。そして、メラネシアン・スピアヘッドグループなど地域の支援などもあり、1986年、国連非自治地域リストに再掲載されました。
 
ニューカレドニア内には、独立反対の立場をとるRPCRと、独立支持の先住民カナックによるFLNKS(カナック社会主義民族解放戦線)の2大勢力があり、1988年、和平と調和のためのマティニョン合意が両者およびフランス政府の間で結ばれました。同合意では、政治、経済への先住民カナックの人々の関与促進や10年後の1998年に(実質的な独立を問う)住民投票を行う取り決めがなされました。
 
1998年には、同合意の改定版にあたるヌーメア協定(Noumea Accord)がRPCR、FLNKS、フランス政府の3者で結ばれ、政治、経済への先住民カナックの人々の参画、カナックの伝統法や慣習の現代法への反映、主権を段階的にニューカレドニアに移行していく取り組みなどについて合意されました。その中に、20年後(2018)の住民投票、反対多数の場合はさらに2年以内の2回目の住民投票、再び反対多数の場合にはさらに2年以内の3回目そして最終の住民投票が実施されることとなっており、今回がこの3回目にあたります。
 
今回の結果を受けて、平和的なプロセスとしては、今後大きくは2つの動きが考えられます。
 
1つは、ニューカレドニアとフランス本国の関係。ヌーメア協定第5項「Evolution of the political organization of New Caledonia」において、3回目の住民投票も反対多数となった場合には、「the political partners shall meet consider the situation thus created」とあり、今後の統治形態について検討することになるようです。
 
独立を支持する先住民カナックの人々は伝統や慣習の確保、国際場裏での権利、ニューカレドニア市民権を求めており、フランス政府、RPCR、FLNKSの間で、米国やNZの自由連合のような何らかの形態に対する議論が始まるのが最も平和的な方法かもしれません。
 
もう一つは、国連と脱植民地化の関係。ニューカレドニアは非自治地域リストに掲載されていることから、国連の「植民地と人民に独立を付与する宣言履行特別委員会(Special Committee on the Situation with regard to the Implementation of the Declaration on the Granting of Independence to Colonial Countries and Peoples)」の協議対象となっています。
 
ニューカレドニアについては、その脱植民地化プロセスについて、これまで1997年(翌1998年にヌーメア協定締結)、2011年に同委員会に提起され、同委員会での決議が国連総会及びフランス政府に提出されています。今回の住民投票の結果は同委員会で評価がなされることになると考えられます。住民投票の結果に正当性がなく、脱植民地化プロセスが十分に機能していないと判断されれば、委員会に置ける決議が国連総会やフランス政府に提出され、住民投票のやり直しや、フランス政府、FLNKS、RPCR間の新たな合意形成を求めることになるかもしれません。
 
なお、現在の同委員会は次の29カ国で構成されています。太平洋島嶼国からはフィジーとパプアニューギニアがメンバーとなっています。
 
アンティグア・バーブーダ
ボリビア
チリ
中国
コンゴ
コートジボワール
キューバ
ドミニカ
エクアドル
エチオピア
フィジー
グレナダ
インド
インドネシア
イラン
イラク
マリ
ニカラグア
パプアニューギニア
ロシア
セントクリストファー・ネービス
セントルシア
セントビンセント・グレナディーン
シエラレオネ
シリア
東ティモール
チュニジア
タンザニア
ベネズエラ
 
いずれの場合も、今回の住民投票の正当性が焦点になると考えられます。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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