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太平洋地域の代表団、島嶼国を危機下に取り残す「重大な失敗」を非難
(2021年11月17日、THE GUARDIAN/PACNEWS)
9分
抄訳
先日閉幕したCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)において、石炭に関する表現が和らげられ、損失・損害を補償する資金提供の約束が十分でなかったことについて、太平洋地域の代表団は特に失望している。
太平洋地域の代表団や交渉担当者は、COP26の成果は「薄められた」もので、地域の国々を深刻な存続の危機に陥れる「重大な失敗」であると非難。島嶼国が被った損失や損害への資金援助をオーストラリアが拒否したことは、地域に対する「深い裏切り」であると述べた。
一方で、フィジーのジョサイア・ボレンゲ・バイニマラマ首相が「グラスゴーは1.5度目標に打ちのめされ、傷つけられたが、生きている」とツイートしたように、重要な気候サミットの結果を、限定的ながら評価する太平洋島嶼国のリーダーもいる。
しかし、太平洋地域の専門家や気候交渉担当者の多くは、COP26の結果に落胆した。
化石燃料不拡散条約イニシアチブの太平洋地域・上級政治顧問であるアウイマタギ・ジョセフ・モエオノ・コリオ氏は、「1.5度はかろうじて生きている」と言う。
「成果文書の最初の草案は、野心が低いながらも、一つだけ目を引く明るい表現『石炭の段階的廃止』が使われていました。しかし、これはさらに薄められてしまいました。危機に瀕している地球にとって、これは、私の国を含めたすべての国が明確で差し迫った危険にさらされている事実を認識していないという重大な失敗を意味します」
「どんなに騒ぎ立てても、グリーンウォッシュ(環境に配慮したような見せかけ)をしても、根本的な事実は変わりません。私たちは依然として(気温上昇)2度以上の世界に向かっているのです」
COP事務局の小島嶼開発途上国(SIDS)代表を務めるサモアの交渉担当者、ガルマレマナ・アン・ラスムッセン氏は、太平洋地域ができることには限界があると感じている。
「小島嶼国連合(AOSIS)と太平洋のSIDSは本当によく頑張っていて、全員が協力してくれましたが、残念ながら、これらの誓約や成果の運命、方向性を決めるのはいつも先進国や富裕国なのです」
トンガの地域海洋・気候専門家であるタホロ・カミ氏も、これに同意する。「痛みを伴う最小限のシフトを文書で祝うことを余儀なくされ、それが意味のある成果につながるかどうかわからないまま終わるような無気力なCOPプロセスよりも、国や地方レベル、民間企業、さらには消費者やコミュニティレベルでのリーダーシップの方が、現時点ではより多くの希望を提供できると考えています」
太平洋地域の指導者らは特に、石炭を「段階的に廃止」するのではなく「段階的に削減」するという軟弱な表現、また気候危機によって太平洋地域の国々にもたらされた損失や損害を補償するための資金調達に対し、強固な約束がなかったことに失望した。
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下で太平洋諸国の政府と協力してきたアウイマタギ氏は、「COP26は、私たちが今まさに気候変動の影響に直面しているという現実を十分に認識できていませんでした」と述べ、「現在の窮状に対する歴史的な責任があるにもかかわらず、米国、英国、オーストラリアといった先進国は、損失や損害に対する資金調達ファシリティへの支援を拒否しており、オーストラリアに関しては、太平洋の近隣国に対する深い裏切りであると同時に責任放棄と呼べるでしょう」と説明した。
近年の気候交渉における中心人物であるマーシャル諸島のヒルダ・ハイネ前大統領は、「EUと米国(高い野心同盟、High Ambition Coalition)のメンバーが、先進国の(化石燃料や)石炭への依存がもたらした損失と損害に対し、脆弱国の対応を支援する資金調達ファシリティを支持しなかったことに失望した」とツイートした。
太平洋島嶼国が、渡航制限や費用、健康へのリスクを顧みず、交渉チームをCOP26に派遣したのは、成果に影響を及ぼし、太平洋地域の懸念を広く伝えたいと願ったためだ。
海面上昇によって消滅する危険性が最も高いとされる環礁国のひとつ、ツバルの財務大臣は、サミットで感情を込めたスピーチを行い、気候危機が自国に与える影響について語った。
「これはフィクションでも、将来起こるという予測でもありません。私たちの土地は急速に失われつつあります。ツバルは文字通り沈んでいます。私たちは今すぐ行動を起こさなければなりません」
しかし、太平洋地域の交渉担当者が対面で出席しても、グラスゴーでの成果に影響を与えることはできなかった。現状では、仮に2030年までの短期目標に対する条件付きまたは無条件の「国が決定する貢献(NDC)」が達成されたとしても、温暖化が太平洋の環礁国の一部に終焉をもたらす可能性があると予測されている。
アウイマタギ氏は、「今後は、化石燃料の消費量を大幅に削減するだけでなく、手遅れになる前に化石燃料の生産を完全に停止し、公正な移行(Just Transition)を開始するため、COP27の前に真剣な対策に乗り出すべきです」と言う。
そうして初めて(気温上昇)1.5度を維持し、私たちの島々、そして地球を存続させることが可能になる。
(訳:立入瞳)
コメント
COP26の成果に対する太平洋島嶼国側の見解に関する英ガーディアン紙記事を引用したPACNEWS配信記事になります。前回こちらで紹介したPACNEWS記者による記事では、COP26について、前向きな評価を読みと取ることができましたが、今回の記事では厳しい意見が取り上げられています。
温室効果ガスの主要排出国、先進国にも、低地沿岸部や島嶼部を有する国は多く、そのような土地が太平洋島嶼国と同様の状況に置かれているのであれば、住民の安全や国土・領海・排他的経済水域の確保などにリスクがあることになり、遠い太平洋島嶼国の他者の問題ではなく自国の問題として真剣に捉えているはずです。
2014年前後の数年間、いくつかの太平洋島嶼国の政府高官らと非公式の意見交換を行ったことがありますが、太平洋島嶼国では、国内での議論は冷静であり、気候変動枠組み条約締約国会議など国際場裏での発言と必ずしも一致しているわけではありませんでした。そのような意見交換の場では、気候変動緩和の取り組みと経済維持・発展のバランスが重要であることが認識されており、気候変動対策が経済発展に繋がるのであれば先進国や主要排出国の取り組みが加速化するだろうし、そのための革新的技術や手法を期待しているという意見が多くありました。太平洋島嶼国側はそのような先駆的取り組みの場を提供することで、貢献できるといった意見もありました。
日本は長年にわたり太平洋島嶼国に対して、気候変動への適応のためのインフラ強化、防災などの分野で支援を続けており、第9回太平洋・島サミットで発表された首脳宣言では重点5分野の1つに防災・気候変動を取り上げ、行動計画にも多くの取り組みが約束されています。また、日本は緑の気候基金(Green Climate Fund: GCF)にも多額の拠出を行い、二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism: JCM)の取り組みも推進しています。
今後、気候変動をめぐる日本と太平洋島嶼国の関係が、加害者と被害者といった対立関係や援助国と被援助国といった関係ではなく、革新技術の開発や応用を含めた協力活動を通じて、気候変動に共に取り組むパートナーシップ関係に発展することが期待されます。
(塩澤英之主任研究員)
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