COP26閉幕、1.5℃追求は維持 パリ協定を最終化

(2021年11月15日、PACNEWS)

【抄訳】
英グラスゴーで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)は13日、約200か国・地域が、気温上昇を1.5℃に抑える努力を追求し、パリ協定で積み残されていた事項を最終化するため、成果文書「グラスゴー気候合意」を採択して閉幕した。
 
気候交渉者らは、気候行動を緊急に加速することで合意し、2週間に及ぶ激しい協議に幕を閉じた。
 
グラスゴー気候合意は、各国の野心・行動の強化とともに、1.5℃追求が維持されたことを意味するが、これは世界が協調し早急に取り組むことによってのみ実現されるものである。
 
グラスゴー気候合意によって、気候変動対策のペースは加速することになる。すべての国は、国が決定する貢献(NDC)と呼ばれる2030年の排出目標を、2022年に現在のものから見直し、強化することで合意した。これに加えて、年に一度の政治円卓会議で世界的な進捗状況の報告を検討し、2023年には首脳級会合を開催する。
 
パリ協定の実施指針である「ルールブック」も、6年間の議論を経て英時間14日に完成した。各国の目標達成に責任を持たせる透明性プロセスが合意に達し、画期的協定の正式な実施が可能になった。この中には、UNFCCC(国連気候変動枠組条約)を通じて各国が炭素クレジット取引を行うための強固な枠組みを定めた第6条も含まれる。
 
また、市民社会や気候変動の影響を最も受けやすい国からの要請に応え、COPは初めて化石燃料の段階的な削減に向けた行動に合意した。
 
COPの決定は、気候変動の既存の影響による損失と損害を認識し、対処するという点で、これまでないほど前進した。
 
また、適応基金を通じた資金援助を大幅に拡大することが約束され、先進国は2025年までに途上国への支援を倍増することが求められた。
 
COP26の成果文書は、議長国の英国が、約200か国・地域の野心を高め、行動を確保するため取り組んできた2年にわたる熱心な外交およびキャンペーンの賜物である。
 
具体的には、気温上昇を1.5℃に抑えるための短期的な排出量削減、公的資金・民間資金の動員、気候変動の影響に適応するための地域社会の支援などに焦点が当たった。
 
英国がイタリアと協力してCOP26の開催を引き受けた約2年前、ネットゼロ目標が設定されていたのは、世界のわずか30%だった。それが現在では、約90%に達している。同期間には、世界の排出量の80%に相当する154の締約国が、新たな国家目標を提出した。
 
議長国・英国は、排出量削減のための行動を促進することに注力してきた。石炭に関しては、より多くの国が稼働中の石炭火力発電所の段階的廃止ならびに国際的な石炭火力発電事業に対する融資終了を約束するなど、大きな変化がみられた。
 
また貴重な自然環境の保護への取り組みにも成果が表れ、2030年までに森林破壊をなくすことを、世界の森林の90%を占める130か国・地域が約束した。
 
世界の自動車業界では、ゼロ・エミッション車への移行が加速。大手自動車メーカーは、販売されるすべての新車を、主要市場で2035年までに、世界的には2040年までにゼロ・エミッション車にすることを目指して協力している。国や都市も、ガソリン車やディーゼル車の廃止時期を野心的に定めて、この流れに追随している。
 
現在の政策では、私たちは壊滅的な気温上昇への道を歩むことになる。しかし、独立した専門家集団「Climate Action Tracker」の分析によると、新たな共同コミットメントを完全に実践した場合、気温上昇を1.8℃に抑えることができるという。
 
しかし、COP26の期間中およびそれ以前の約束を行動に移したとしても、世界中のコミュニティは、変化する地球の影響を受け続けることになる。
 
アロック・シャルマCOP26議長は、今後の課題を見据え、次のように述べた。
 
「これで私たちは、1.5℃(追求)を維持できたと、確信をもって言えるようになりました。しかし、その鼓動は弱く、私たちが約束を守り、コミットメントを迅速な行動に移さなければ、生き延びることはできません。COP26成功のために協力してくれたUNFCCCに感謝しています」
 
「ここから先、私たちは共に前進することで、グラスゴー気候合意で定められた期待事項を実現し、残された大きなギャップを埋めていかなければなりません。なぜなら、ミア・モトリー首相が会議の冒頭で語ったように、バルバドスをはじめとする小島嶼国にとって『2℃は死刑宣告』だからです」
 
「1.5℃を手の届く目標として維持し、資金調達や適応促進の努力を継続するための指針を保てるかどうかは、私たち次第です。協働姿勢がグラスゴー気候合意の実現につながったのですから、ここでの私たちの仕事を無駄にすることがあってはなりません」
 
(訳:立入瞳)
 
【コメント】
13日、英グラスゴーで開催されていた第26回気候変動枠組み条約締約国会議(UNFCCC-COP26)が閉幕しました。
 
パリ協定発効から5年となる今回のCOP26では、気候変動の最前線で影響を受けているとする太平洋島嶼国側は「1.5度目標」、「緩和」、「適応」、「気候ファイナンス」に焦点をおき、先進国および主要排出国に対し空虚な言葉ではなく実際の行動を求め、より強い発言を行ってきました。
 
今回のPACNEWS記事では、主に次の内容を取り上げています。
・国が決定する貢献(NDC、Nationally Determined Contribution)の強化合意
・パリ協定の実施指針である「ルールブック」の完成(炭素クレジット取引を行うための強固な枠組みを定めた第6条を含む)
・化石燃料の段階的削減に向けた行動に合意
・より多くの国が稼働中の石炭火力発電所の段階的廃止ならびに国際的な石炭火力発電事業に対する融資終了を約束
・適応基金を通じた資金援助を大幅に拡大が約束され先進国には2025年までに途上国への支援を倍増することを要請
・2030年までに森林破壊をなくすことを、世界の森林の90%を占める130か国・地域が約束
・公的資金、民間資金の動員
 
また記事中、『市民社会や気候変動の影響を最も受けやすい国からの要請に応え、COPは初めて化石燃料の段階的な削減に向けた行動に合意した。』、『COPの決定は、気候変動の既存の影響による損失と損害を認識し、対処するという点で、これまでないほど前進した。』とあり、太平洋島嶼国の声がある程度反映されたという達成感もあるようです。
 
(塩澤英之主任研究員)

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