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パラオの漁業資源は徐々に回復、
PICRCレポート

(2021年9月21日、ISLAND TIMES/PACNEWS)


10分

抄訳

数十年にわたる乱獲の後に導入された数々の保護対策の結果、パラオにおける魚の個体数は回復しつつある。
 
状況改善からうかがえるのは、保護区ネットワーク(PAN)、州保護区、リーフ魚類の輸出禁止などの管理イニシアチブが、パラオのリーフ漁業の流れを変え始めていることである。
 
パラオ国際サンゴ礁センター(PICRC)はこのほど、パラオ全土のリーフ魚類資源の規模と豊富さをまとめた新しい技術報告書を発表した。同報告書は、PICRCが2019年に実施した全国的な魚類調査に基づいており、数十年にわたる乱獲から、個体数が徐々に回復し始めていることを示した。
 
パラオの漁業資源は、1970年代から変わらず広く枯渇しているものの、今回の報告書では、状況改善を示すいくつかの兆候が強調されている。草食魚の生息数は、PICRCによる2017年の前回調査から大幅に増加していることがわかった。草食魚はサンゴに付着する藻類を食べてコントロールするため、若いサンゴの成長スペースを確保する良い兆候である。また、北部のリーフ及び南部のペリリュー島やアンガウル島付近で、魚類の生息数が多い「ホットスポット」が確認されている。
 
さらに、産卵の可能性を調査した8種のうち、6種は自然環境で個体数を維持するのに十分な子孫を残していることがわかった。2017年には、調査した6種のうち4種しかこの基準を満たしていなかった。
 
PICRCの研究員で、報告書の筆頭著者であるクリスティーナ・ミュラー・カルナソス氏は、「長年にわたる乱獲の後、回復には時間がかかります。しかし今回の報告書では、魚の個体数が回復していることを示す兆しが見え始めています」と述べた。今年5月、PICRCは全国的な魚類調査の第3弾を完了した。この調査で得られたデータは現在分析中で、魚類資源の状況に関する詳細な情報が得られる予定だという。
 
現在の保護努力に加え、さらなる管理の取り組みを行うことで、魚類個体群の回復を継続させることができる。報告書の著者らは、特に産卵能力の低い魚種の捕獲に対する体長制限、取締りの強化、広範囲で生息する種を守るための海洋保護区の拡大を推奨している。
 
「リーフ漁業は、パラオの食料安全保障及び文化に重要な役割を果たしているため、今回の結果は非常に心強いものです。私たちの努力が実を結んだのです」
(訳:立入瞳)

コメント

本記事における漁業資源とはマグロ類ではなく、沿岸域のリーフフィッシュ(例えばスナッパー、ブダイ、グルーパー、ラビットフィッシュなど)になります。

2010年~2012年、私は笹川平和財団においてパラオ型海洋保護区モデルの導入プロジェクトを担当していました。2009年の事前調査では、そもそも海洋保護区とは何なのかというところから始め、文献調査を行い、先進事例のあるサモアなどを訪問しました。その後、(いずれも当時)琉球大の土屋先生(サンゴ礁生態系)、鹿児島大の長嶋先生(島嶼社会)、沖縄県の鹿熊先生(漁業管理)、日本生態系協会の池谷先生と他の専門家の皆さん(ナショナルトラスト、陸域管理、鳥類他)、コンサベーション・インターナショナルの日比先生(環境保護)からなる国内専門家委員会を設置し、自然科学・社会科学・漁業資源の活用・環境保護・陸域管理など非常に多角的な視点による取り組みを行いました。
 
事前調査では、いくつかの島嶼国で調査を行いましたが、各国で環境省庁と漁業担当省庁で環境保護と資源利用の異なる立場で対立が顕著でした。我々のプロジェクトでは、パラオでの活動の結果、最終的に、環境保護と資源の適切な活用を両立させる持続可能な資源利用を前提としたモデルを提示しました。陸域の分水嶺から河川を通じ沿岸域までを総合的に捉える保護区(いわゆるリッジ・トゥ・リーフの考え方)や海域の保護区にあっては全域を禁漁とするのではなく、魚類の繁殖域を完全禁漁とし、その周辺にバッファゾーンを設定した上で、スピルオーバー効果を期待しつつ、対象エリアで適切な管理による漁業を行うというものでした。
 
パラオではさらにそれら州が管理する海洋保護区を国のPAN(Protected Areas Network)に登録することで、地域住民レベルでは点として、国としては面として海洋保護区を捉えています。我々のプロジェクト開始当初は、州と国の関係もあり、PAN登録保護区は3件にとどまっていましたが、活動を行う中でPANの先見性と実効性への期待が高まり、我々が活動を終える頃には10件を超え、現在は40件を超えていると聞きます。
 
島嶼国各国に海洋保護区(あるいは陸域保護区)がありますが、保護区が実効性を持つためには密漁監視、生態系のモニタリング、資機材の維持管理のための財政基盤が必要になるため、たいてい財政問題が発生します。その点、パラオではPANがあることでPAN Fundから登録保護区の管理者である州に国から資金が流れ、実効性を保つことができました。PAN Fundの原資は入国者が支払うPPEF(Pristine Paradise Environmental Fee)100ドルの一部である旧Green Fee30ドルになるので(うち15ドルは下水整備資金調達用でした)、コロナ禍の現在は厳しい状況にあるとみられます。
 
そもそもの話になりますが、海洋保護区というのは、国や地方の行政が地域住民の自家消費を含む漁業活動を制約するものであり、サモアやパラオでは海洋保護区の設置に対して住民側に拒否感がありました。そのような住民の認識を変えるきっかけとなるのは、漁業資源の顕著な減少です。何とか回復できないかと。
 
例えば、先進事例として調査したサモアのサバイイ島では、1990年と1991年のサイクロンにより沿岸サンゴ礁が壊滅的打撃を受け、リーフフィッシュが獲れなくなったことが背景にありました。当初は環境当局が海洋保護区設置を推奨し、いくつかの村落で試行的に設置、数年後、沿岸環境の回復と資源の回復傾向により住民の理解が広がり、他の村落でも海洋保護区を設置するという過程を経ていたと思います。
 
パラオの場合は、1997年~1998年のエルニーニョ現象に伴うサンゴの白化現象が発生し(エルニーニョが発生するとパラオのある西太平洋側の海水温が低下し、低気圧発生による気象現象が低下することで海水の垂直方向の擾乱が低下し、高い水温の海水が上層域に留まることが原因だったと聞く)、リーフフィッシュが減少したことが1つ。さらにバベルダオブ島におけるコンパクトロード建設(1999年~2007年)の際の赤土流出が、サンゴ礁にさらにダメージを与えたことで、沿岸漁業資源が減少したことがあげられます。赤土がサンゴ礁に被ると、サンゴが出す粘液によりコロイドとなってサンゴの上に留まり、日光が届かなくなることで褐虫藻がいなくなりサンゴが死んでしまう、という話でした。バベルダオブ島では特にラグーンの狭い東側の沿岸部が深刻な被害を受けていました。
 
サモアの場合も、パラオの場合も、サンゴ礁生態系を回復させることが資源回復につながり、持続可能な漁業に繋がる(当時はSDGsはまだなかったが)という考え方の下で海洋保護区が設置され、長期的視点で如何にサンゴ礁生態系が回復するのかが注目されています。
 
上記記事の中では、疑問点が2点あります。1つは冒頭の「数十年にわたる乱獲の後に~」というところ。パラオにおいては、大きなきっかけはエルニーニョ現象に伴うサンゴ白化現象とコンパクトロード建設に伴う赤土流出によるサンゴ礁生態系の破壊が漁業資源減少の大きな原因だったはずです。もう1つは、4段落目「パラオの漁業資源は、1970年代から変わらず広く枯渇しているものの~」。
 
パラオ環境保護協会(PCS, Palau Conservation Society)やCRRF(Coral Reef Research Foundation)にも正確な情報があるはずなので、関心のある方は、PICRCに加えこれら2機関の資料にあたると良いでしょう。
 
いずれにせよ、資源が回復傾向にあることは住民の努力が成果に繋がっているということであり良い傾向です。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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