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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

米とFSM、軍事基地建設計画で合意

(2021年7月28日、PACIFIC ISLAND TIMES/PACNEWS)


抄訳

インド太平洋地域でのプレゼンスを高め、中国を排除するという米国防総省の戦略的野心に従い、米国とミクロネシア連邦(FSM)は、FSMに軍事基地を建設する計画に合意した。
 
FSMのディビッド・W・パニュエロ大統領と、ジョン・アキリーノ・インド太平洋軍司令官及びカルメン・カンター駐FSM大使率いる米国チームがハワイで実施した「ハイレベル防衛協議」は、FSMにおける防衛力を増強するという両国の合意で締めくくられた。
 
パニュエロ大統領は、7月26日の協議終了後の声明で、「FSMが太平洋上の国土の一部であること、つまり、米国土安全保障省の防衛計画にFSMが対象として明確に含まれていることがクリアになり、とても安心した」と述べている。
 
大統領府の発表によると、米国とFSMは「米軍の駐留をより頻繁に、かつ恒常的に行うため」の計画と「両国の安全保障上の相互利益に資する目的で、FSM内で一時的かつ恒常的に軍のプレゼンスを高めるために協力する」ことを約束した。
 
FSMは、自由連合盟約(コンパクト)に基づく米国との自由連合国であり、米国は、軍がFSMの陸・空・海を使用する権利を与えられる代わりに、同国に対して経済援助、防衛、その他のサービスや利益を提供する義務を負っている。
 
パニュエロ大統領は、「私は『米国はどのようにFSMを防衛するのか』という質問をした。そして、その答えはかつてないほど明確なものであった」と語っている。
 
「FSMは、普遍的な人間性を通じて平和、友情、協力、愛情を提供することに、いつも幸せを感じている。そして、普遍的な人間性を通じた平和、友情、協力、愛情をパートナーの米国から受け取ることは、祝福であり特権である」
 
中国の脅威を制圧する上で、FSMはインド太平洋戦略にとって重要な存在となりつつあるものの、同国の中国政府に対する開放性が、10日間の会談の中でどのように作用したかは不明である。
 
パニュエロ大統領は今年、中国が推進する「21世紀海上シルクロード」構想における積み替え拠点として、FSMを提案したことを改めて明言した。
 
政府発表によると、米国との会合では、「オープンで率直な話し合いを目指し、幅広いテーマについて詳細に議論した」という。
 
議題は、米国の「太平洋における広範な防衛と軍事力の態勢について、つまり、米国がどのようにFSMを防衛し安全を保障するかという内容に及び、伝統的安全保障上の問題だけでなく、気候変動、国際組織犯罪、違法・無報告・無規制(IUU)漁業の注視を含む海洋安全保障などの非伝統的安全保障上の問題や、FSMが自ら認識する国内及び地域の安全保障上の脅威」なども話し合われたという。
 
「この結果、ミクロネシア人も米国人も安眠できるようになり、二国間の永続的なパートナーシップがこれまで以上に強固であることを確信することができた。また、米国の安全保障への取り組みは、国際開発庁(USAID)を通じた気候変動への緩和・適応策や、沿岸警備隊の捜索救難(SAR)活動、法執行訓練など、さまざまな形で実現している」
(訳:立入瞳)

コメント

パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島は、戦後、米国が施政権を有する国際連合信託統治領となりました。それぞれ憲法制定および自治政府樹立を経て、米国と自由連合盟約(Compact of Free Association、COFA、コンパクト)を締結し、ミクロネシア連邦とマーシャル諸島が1986年、パラオが1994年に米国自由連合国として独立しました。
太平洋島嶼地域の伝統的安全保障枠組み(笹川平和財団太平洋マップをもとに筆者作成)

太平洋島嶼地域の伝統的安全保障枠組み(笹川平和財団太平洋マップをもとに筆者作成)

かつて、コンパクトは米国による単なる経済援助の取り決めという見方がありましたが、実際にはこれら米国自由連合国の独立国としての地位を保証する基盤となる協定といえます。

コンパクトは、統治、経済、安全保障および防衛、一般規定の4柱からなり、米国自由連合国は外交権や警察権など独立国としての権利を有します。例えば、EEZ内の資源の権利は自由連合国にあります。一方、米国自由連合国の国民は米国領内で米国市民と同等の権利を有しており、米国領内にビザなしで居住ができ、教育を受けたり、労働が認められています。社会福祉を受ける権利も有しており、米軍に志願することもできます。国レベルでは、米国から国家予算の2割から6割にあたる財政支援や開発支援を受け、米国連邦プログラムの対象ともなっています。
 
安全保障・防衛については、米国が責務と権限を有しており、米国が米国自由連合国に対する第3国の軍事的接触の接触を排除したり、第3国による軍事的施設の建設や軍人の入国を止める権利を有しています。一方で、米国が米国および米国自由連合国の安全保障に関し、米国自由連合国内に軍事施設を設置する場合、米国自由連合国側は国内で調整し、土地を有償で提供することになります。
 
コンパクトは、パラオが2044年までの期限があり、2009年に2024年9月までの経済関係の部分改定が行われました。ミクロネシア連邦とマーシャル諸島についてはコンパクトの期限がなく、2003年に締結された現在の改定コンパクトは2023年9月までの取り決めとなっています(いずれも会計年度が10月開始)。いずれも、現在の取り決めが終わると、米国が経済支援終了することになっており(パラオは2024年、ミクロネシア連邦・マーシャル諸島は2023年)、一方で、改定コンパクトの下で運用益を国の歳入源とするための信託基金をそれぞれの国に設置しました。
 
現在、これら3国と米国は、それぞれコンパクト改定交渉が進められています。米国自由連合国側は経済援助の継続もしくは異なる形での経済援助の獲得、マーシャル諸島については核実験賠償拡大、安全保障の脅威に気候変動を加えることなどを主張するものと考えられます。
 
コンパクトが改定された2000年代半ばから2010年代半ばまでの10年間、改定コンパクトの期限をもって経済援助が終わることが決まったことも有り、米国自由連合国と米国の関係は離れつつありました。しかし、中国の台頭、トランプ政権の安全保障政策強化、コロナ禍を経て、米国は米国自由連合国との関係を住民レベルから首脳レベルまで強化し、現在の米国自由連合国と米国の関係はかつてないレベルで親密化してきています。コロナに関しては、米国の支援により太平洋島嶼地域ではいち早くファイザー社のワクチン接種が進みました(2020年12月末。他の太平洋島嶼国はCOVAXを通じて、アストラゼネカ製をフィジーが3月から、他の国々は6月頃から開始)。
 
中国に関しては、これまで米国自由連合国の経済、外交マターであったため米国は介入できませんでしたが、2020年9月にエスパー国防長官(当時)がパラオで公に「中国は安全保障上の脅威」と明言したことで、米国が責務と権限を有する安全保障マターとなり、公の場でも米国自由連合国と中国の脅威について取り上げるようになりました。
 
米国自由連合国においては、パラオとマーシャル諸島は台湾承認国ですが、ミクロネシア連邦は台湾を国家承認しておらず、中国と30年を超える友好関係を有しています。

今回、米国がミクロネシア連邦に対し公式に中国が安全保障上の脅威である認識を示したことで、ミクロネシア連邦は独立国としての外交権と米国が責務と権限を有する安全保障・防衛のはざまで、悩ましい状況にあると考えられます。今後、コロナ禍における住民の安全確保、経済、コンパクト改定交渉を含め、その動向が注目されます。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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