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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

キリバス野党、滑走路計画への中国の関与について答え求める

(2021年5月7日、ABC/PACNEWS)


9分

抄訳

キリバス政府が、第二次世界大戦中に米軍施設として使用されていたカントン島の滑走路と橋の改修計画を、中国と共に進めているのではないかという憶測が広がっている。
 
ロイターによるこの報道が事実であれば、米国にとっては警鐘となる。この環礁は、ハワイの南西約3,000kmと、極めて戦略的な場所に位置するからだ。
 
キリバスの野党議員であるイングランド・イウタ氏は、カントン島で計画されている再開発の青写真を実際に見たとしているが、政府はまだ中国の関与を認めていないという。
 
一方で、イウタ議員によれば、カントン島をめぐって米国との間で交わされた長期合意はまだ有効であり、キリバスが波風を立てることはないだろうという。
 
「万が一、カントンが軍事利用できる形で改修されれば、おそらく米国の感情を逆撫ですることになるだろう」
 
「米国がカントン島をキリバスに引き渡した際の合意の基本条件では、第三国によって同地がいかなる軍事目的でも開発されないよう、明確に求めている」
(訳:立入瞳)

コメント

まず、キリバス、フェニックス諸島、周辺の米領、米国自由連合国のマーシャル諸島とクワジェリン基地の位置を確認しましょう。地図では青い部分が米領およびEEZ、オレンジ部分がキリバスとなります。
(笹川平和財団 太平洋マップをもとに筆者作成)

(笹川平和財団 太平洋マップをもとに筆者作成)

クワジェリン基地は、迎撃ミサイル実験基地です。平時は部隊が配備されているわけではなく、米国本土西海岸からクワジェリン基地まで飛ばされる模擬大陸弾道弾を迎撃する実験が行われてきています。
 
地図を見ると、すぐ南側にキリバスの首都タラワがあり、1990年代末には中国が民生使用名目で設置した衛星追跡施設がありました。2004年にトン政権の誕生と共に国交が台湾に切り替えられた際、同施設は廃棄され、その場所周辺には台湾ICDFの事務所が設置されました。2019年9月にキリバスは再び中国と国交を結んだため、同施設(のようなもの)が再建されるか注目されています。
 
詳細は書けませんが、2014年前後のあるとき、筆者が公務でキリバスのタラワを訪問した際、2003年頃の話をある政府高官から伺ったことがあります。その人物が言っていたのは、中国が衛星追跡施設を稼働してから、頻繁に米軍戦闘機が低空で上空を飛ぶようになったということでした。その後、しばらくして政権交代、台湾への国交切り替え、同施設の廃棄となりました。
 
 
今回のカントン島の話ですが、地図を見ると、周辺に米領があり、面取りゲームという感覚で見れば、布石として意味のある位置にあるように見えます。太平洋中を船で移動することを想定すれば、補給地としての価値もあるのかもしれません。
 
戦時中は、日本のキリバス占領に対して、連合国側が利用し、戦後は太平洋を横断・縦断する航空機の補給地として使用されていたようです。
 
キリバスという国は少し不思議なところがあり、他の太平洋島嶼国にあるような島による方言のようなものがありません。感覚的に本体はギルバート諸島にあり、フェニックス諸島は居住地としては適さず(人口20数人)、ライン諸島ではクリスマス島の開発を進め、人口が集中するタラワからの移住を推奨しています。クリスマス島については、ホノルルとフィジーのナンディを結ぶ航路の中継地点でもあり、コロナがなければ十年単位で見れば経済開発に関して興味深い土地です。
 
背景を確認すると、キリバスは1979年、ギルバート諸島に、米英の管理下にあったフェニックス諸島とライン諸島を加えた形で独立しました。そのフェニックス諸島とライン諸島にある米国が戦後設置していた施設については、米国・キリバス友好条約により、第3国の軍事的利用の際には、キリバス政府は米国の同意を得なければならず、この条約は現在も有効です。
 
さて、フェニックス諸島についてですが、居住地として適さないこともあり、キリバスは前政権時代の2008年、フェニックス諸島保護区(PIPA)とし、2010年には世界遺産登録が実現しました。
 
筆者が直接キリバスを関わっていた2013~2015年、当時のキリバス政府は、PIPAへの支援と共に、カントン島の再開発の考え方を有していました。PIPAについては米国の環境NGOや民間団体が資金を支援していた話も聞いたことがあります。再開発については2つあり、1つは漁業交渉の側面、もう1つは観光開発の側面で話がありました。
 
1つ目の漁業交渉については、2010年に本格的に始動したPNA(ナウル協定締約国グループ)が導入した隻日法(VDS)に基づく漁業権の売買交渉の際に、カントン島への漁業施設開発への投資を求めていたという話があります。中国ではないアジアの国が数億円の投資事業としてこれに合意したという話もありましたが、実際には進展しなかったのではないかと思います。
 
2つ目の観光利用については、世界遺産フェニックス諸島でのエコツーリズムを目的としており、米国が残していった港湾施設の再整備でクルーズ船を寄港させ、滑走路を改修することでチャーター機による観光客誘致を進めるという青写真がありました。これについては、前政権時代も、台湾、米国、豪州、NZ、日本など主要開発パートナーに探りを入れていたと思います。
 
しかし、実際にはフェニックス諸島は僻地であり、開発するには相当の覚悟(実際の開発に加え、再整備後の運用、採算の取れる観光の実現など)が必要であり、優先度が低く、どの開発パートナーも乗りませんでした。
 
キリバス前政権がフィジーに購入した土地の話も似ていますが、主要開発パートナーが手を出さないところで、代替資金源として『中国』となったと想像できます。フェニックス諸島を観光開発し、クルーズ船を寄港させたり、チャーター便を飛ばせるのも中国しかないように思えます(特にコロナ以前は)。
 
米国・キリバス友好条約に関しては、これは民生使用目的であり、中国からすれば南南協力(途上国間の開発協力)の一環であり、キリバスにも米国と協議する必要はありません。
 
まとめると、カントン島の開発の話は前政権時代からあったが、開発パートナーは誰も手を上げなかった。そこで、中国がこれを引き受けるような話となり、調査を進めている。軍事目的ではなく、あくまでも民生利用、経済開発目的なので、米国・キリバス友好条約の取り決めに違反するものではない。キリバスにとっては長年抱えてきたプランの実現に向けた資金源が見つかり、中国としては南南協力プラスαの魅力があるということでしょう。住民も少なく僻地ではありますが、世界遺産地区でもあることから、キリバス政府が計画の主導権を握り、しっかり管理することが重要です。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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