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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

エニミア総長(ナウル大統領)、南太平洋大学は一国のものではない

(2021年2月25日、FIJI TIMES/PACNEWS)


10分

抄訳

南太平洋大学(University of the South Pacific、USP)は、一国が独占するものではなく、12か国が所有するものであり、それらの国々の利益にかなう必要があると、現ナウル大統領で同学のトップも務めるライノル・エニミア総長は言う。
 
エニミア総長は、フィジータイムズ紙に対し、同学は広い地域を包括するため「南太平洋大学」という名称になった経緯があり、「特定の国の大学ではない」と話した。
 
「USPは政治機関ではない、いや、政治機関として扱われるべきでない。アイデアが育まれ、研究が極めて神聖なものとして守られる場所であるべきだ」
 
「私はまた、USPが抱えるレピュテーションリスクのために、ドナーが与えてくれるお金を欲しがっているという評判が立つことを懸念している」
 
エニミア総長は、ドナーが、USPの海洋学部、法学部、及び学内の他学部へ、資金を投じようとしていることに触れ、同学の運営に対する信頼が必要になっていると補足した。
 
「ドナーは、我々が提供された資金を上手に使い、太平洋諸国の発展のために活用できるガバナンス能力を持っていることを、実際に確認したがっている」
 
「我々が覚えておくべき最も重要なことの一つは、大学は地域の機関であるということだ。基本的に学生とスタッフに伝えたいのは何かというと、真っ先に考えなければならないのは、USPのスタッフと学生のことであり、彼らの利益がまず最初に来るという点を、大学総長として改めて保証し、強調したい」
 
「グッド・ガバナンス戦略とビジョンは相伴っている必要があり、それは多くの評議員の関心事でもある。また、もちろん、評議会は常に『学生をどのように保護するか、スタッフをどのように保護するか』を考えなければならない。それも非常に重要なことだ」
 
エニミア総長は、一方で、USPの職員が、フィジーから強制送還された副総長のパル・アルワリア教授のような扱いを受けることは二度とあってはならない、という言葉を残し、同氏が「USPの他の共同設立国から役職を継続する」可能性を示唆した。
 
アルワリア教授は、今後、ナウルを拠点にするとみられる。
(訳:立入瞳)

コメント

南太平洋大学(USP)はフィジー独立前の1968年にフィジーに設立された高等教育機関で、学生数は約3万人、太平洋地域機関評議会(CROP)に属する地域機関の一つであり、クック、フィジー、キリバス、マーシャル、ナウル、ニウエ、ソロモン、トケラウ、トンガ、ツバル、バヌアツ、サモアの12カ国・地域が加盟し、共同で所有しています。
 
基本的に英連邦系の教育機関ですが、米国自由連合国のうちマーシャルだけが、アマタ・カブア大統領(当時)による自国の人材育成に英連邦系の教育も必要であるとの強い意志により、1991年に米国の反対を押し切り加盟した経緯があります。現在、本部はフィジーのスバにあり、サモアには農学部、バヌアツには法学部、他の加盟国・地域にはそれぞれサテライトキャンパスがあります。
 
総長(Chancellor)は加盟国・地域の首脳が毎年持ち回りで就任し、実際の運営は副総長(Vice-Chancellor)の下で行われます。現在の総長はナウルのエニミア大統領が務め、副総長はアルワリア教授が務めています(現任期は本年6月末まで)。
 
そのUSPですが、2019年5月の同副総長が提示した、前副総長時代の職員の契約更新や休暇手当など同学の運営に関する疑義をきっかけに、いわゆるUSPサーガといわれる混乱が始まりました。
 
2020年3月、同学評議会が重大な職権乱用などの運営上の問題の疑いがあるとして、前副学長時代の不正疑惑を訴えたアルワリア副総長に対する調査が始まりました。これを指揮したのがウィンストン・トンプソン同学総長代理(Pro-Chancellor)。トンプソン氏はガバナンスの専門家であり、フィジー政府高官を務めた経歴があります。
 
その調査の結果、同6月、USP評議会がアルワリア副総長に停職処分を課しましたが、約1週間後、職員や学生による抗議活動もあり、復職が決定しました。一方で、同6月下旬、やはりフィジー人のカーン同学会計監査・危機管理委員長は、同副総長には33件の不正疑いがあるとフィジーのメディアに語りました。
 
その後、同9月4日、アルワリア副総長に対する不正疑惑は、エニミア・ナウル大統領が総長として参加したUSP評議会による特別会議で全て潔白であると認定され、一連の騒動は収まるかに見えました。
 
ところが、同9月24日、フィジー政府はトンプソン総長代理およびカーン会計監査・危機管理委員長による同副学長の深刻な不正疑惑に対する調査がなされていないとの報告を受け、USPに対する資金供与13百万米ドルの拠出の停止を決定しました(野党NFP(国民連邦党)は反対)。
 
このフィジー政府の措置に対し、豪州とNZが拠出金を増額しましたが、さらに同10月にUSPは職員の給与カットや臨時基金を使用し雇用を確保しました。
 
一連の流れをまとめると次のとおりとなります。
・2018年にアルワリア副総長が就任
・2019年5月、フィジー出身の前副総長時代の運営上の不正を発見し調査を開始
・2020年3月、フィジー人のトンプソン総長代理が率いる委員会が前副総長ではなくアルワリア副総長に対する不正疑惑の調査開始
・2020年6月上旬、トンプソン総長代理が率いる委員会の報告を受け、評議会がアルワリア副総長の停職を決定
・2020年6月上旬以降、USP職員、学生らによる抗議活動活発化
・2020年6月下旬、アルワリア副総長の復職決定
・2020年6月下旬、フィジー人のUSPカーン会計検査・危機管理委員長が副総長の深刻な不正疑惑をメディアに語るが、詳細は明かさず
・2020年9月上旬、エニミア総長(ナウル大統領)がトップとなるUSP評議会特別会合が開催され、アルワリア副総長の潔白が認定される
・2020年9月下旬、トンプソン総長代理およびカーン会計検査・危機管理委員長による「アルワリア副総長の深刻な不正疑惑の調査が行われていない」との報告を受け、フィジー政府がUSPへの拠出金13百万米ドルの支払いを停止
・2020年10月、USPは豪州・NZの拠出金増額、職員の給与カットなどにより当面の雇用を確保
 
前副総長に不正があったとするアルワリア副総長を支持するナウル大統領のエニミア総長側と、アルワリア副総長に不正があったとするフィジー側に深刻な対立があることが読み取れます。ただし、アルワリア副総長に関する不正疑惑に関する詳細は一切明かされていません。
 
その後、しばらく報道はありませんでしたが、本年2月3日夜、フィジー政府は突如としてアルワリア副総長に対する24時間以内の国外退去命令を出しました。詳細は公表されていませんが、フィジーの平和、防衛、公共の安全、公共の秩序、公衆道徳、公衆衛生、安全保障、もしくは良き統治に対する不正行為があり、フィジーの入管法・労働許可を侵害したとして決定されたようです。
 
これを受け、サモアがフィジーに代わりUSP本部を引き受けると名乗りを上げたり、エニミア・ナウル大統領がアルワリア副総長をナウルに引き受け、同副総長は現在ナウルを拠点に活動しているという状況にあります。
 
この一連の動きと、PIF事務局長選出は時期が一致しており、ナウル政府がPIF離脱を主張している一因に、今回のフィジーという大国による地域枠組みをコントロールしようとする動きに対する不満が関係しているかもしれません。
 
太平洋島嶼地域ではPIFとUSPという2つの地域枠組みにおいて深刻な分断が生じています。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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