Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第465号(2019.12.20発行)

編集後記

同志社大学法学部教授◆坂元茂樹

◆2019年、第125代の明仁天皇が生前退位され上皇となられ、徳仁親王が第126代の天皇に即位された。この皇位継承により、5月1日午前0時をもって元号も「平成」から「令和」に代わり新たな時代が始まった。その令和元年もまもなく終わろうとしている。令和元年も、残念ながら8月の九州北部豪雨、9月の台風15号と10月の台風19号が日本列島を襲い、各地で甚大な被害が発生した。そんな中にあっても、被害に遭われた国民の苦難に寄り添われる姿勢を示される天皇皇后両陛下のお言葉によって勇気づけられた方も多かったと思う。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020(令和2)年が気象災害の少ない年であることを祈りたい。
◆令和が大化以降248番目の元号と聞けば、はるか昔との思いがするが、門田修海工房代表から3万年前の航海という時間軸がさらに遠大なプロジェクトの記録についてご寄稿いただいた。この「3万年前の航海徹底再現プロジェクト」については、海部陽介代表に本誌第404号にご寄稿いただいた。日本人の祖先が、太古の昔、海に囲まれていた琉球列島にいかに渡ってきたのかという謎を解き明かそうとの試みである。2019年7月の丸木舟による台湾から黒潮を越えて与那国島に到着した実験航海の成功を喜ぶとともに、まだ残る謎に興味が湧く。
◆違法・無報告・無規制(IUU)漁業は持続可能な水産資源管理にとって障害となっているが、GR Japan(株)のソープ佳奈・小谷野祥浩両氏に日本市場におけるIUU 水産物の排除に向けての政策提言をいただいた。IUU 漁業防止のためにIUU 漁船の寄港拒否や水揚げ拒否を定めた「違法漁業防止寄港国措置協定」に日本が2017 年6月に加入したことにより、一定の措置をとることができるようになったものの、漁獲証明制度の対象の拡大など市場関連措置を含めた包括的なIUU漁業対策の導入の必要性を説く提言は傾聴に値する。
◆海には毎年1,000~2,000万トンのゴミが放棄され、その80%をプラスチックが占めるとされる。岡田紀代蔵(株)ワンワールド顧問に海洋プラスチックごみの安全な回収と処理について、「海ごみゼロアワード2019」で日本財団賞を受賞した「分別いらず、海ゴミから燃料が作れるリサイクル装置=再生資源燃料回収装置・アーバンリグ」についてご紹介いただいた。こうした技術により、日本が海洋プラスチックごみ問題で先導的な役割を果たすことを期待したい。(坂元茂樹)

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