日本企業は資生堂、JAL、武田薬品工業などがランクイン

3月23日に開かれたW20サミット分科会「ジェンダー投資」は150人以上が参加し、大盛況となった。中でも参加者の関心を集めたのが、オランダのNGOエクイリープによる調査だった。独自の審査表を使い、日本、香港、シンガポールの上場企業100社のデータを分析、グローバルと比較してランキングしたものである。

この調査は企業のリーダー層における男女比、男女の賃金格差、セクシャルハラスメントに関する企業ポリシーなど、多角的に企業のジェンダー平等の度合いを測定したものである。エクイリープのCEOダイアナ・ヴァン・マーアズディック氏にお話を聞いた。

――日本、香港、シンガポールの株式時価総額20億ドル以上の企業745社を対象に調査を行いました。具体的には、どのように評価されたのですか?

ヴァン・マーアズディック:私たちの調査項目は19あり、大きく4分野に分けられます。1つめの分野は従業員と経営層におけるジェンダーバランス。従業員全体、上級管理職、執行役員、取締役それぞれの男女比を見ます。ほとんどの企業で、職位が上がるにつれて男性の比率が増していきます。私たちの調査では、男性または女性が40~60%の状態を「ジェンダーバランスが取れている」と判断して最も高い点数をつけています。
 
 2つめの分野は賃金格差とワークライフ・バランスです。特に重視しているのは、企業内における男女の賃金格差と、同一価値労働同一賃金が達成されているかどうかです。賃金格差について、特にアジアの企業ではデータ開示があまりされていない特徴があり、数社のみが性別による賃金データを開示していました。ワークライフ・バランスについては育児休業制度と柔軟な働き方の両面を見ました。
 
 3つ目の分野はジェンダー平等を推進するための制度に関するものです。特に重視しているのは、セクハラ防止の制度と、サプライヤーの多様性推進です。

――調査の結果、全体的にどのような傾向がありましたか?

ヴァン・マーアズディック:今回、調査対象となった日本、香港、シンガポールの企業は、以前、同じ基準で調査したグローバル企業と比べると、人員構成のジェンダーバランスが良くないことが特徴でした。調査対象企業の平均を見ると、従業員に占める女性比率は4割を超えていますが、上級管理職になると、シンガポールで33.7%、香港で31.1%に下がります。これは、グローバル水準とほぼ同じかやや良い数字です。一方、日本企業は上級管理職に占める女性割合が16.1%とかなり低くなっています。

――エクイリープ社の調査は、単に男女の頭数に留まらず、賃金格差にも踏み込んでいます。ジェンダー平等の本質だと思いますが、そもそも、データはありますか?

ヴァン・マーアズディック:はい。ここは大きな壁だったと思います。今回、調査対象となった日本、香港、シンガポール企業では、ジェンダー・ペイ・ギャップ(男女賃金格差)のデータがそもそも開示されていなかったのです。これは、透明性の欠如という意味で問題です。実状を見ることで、どのように変えていくべきか話し合うことができますから。他の国々は、この問題を議論するために賃金格差を測っています。例えば、英国やフランスには男女の賃金格差を開示しなくてはいけないというルールがあります。

――日本企業における女性従業員は、やや独特な扱いがあると思います。特に既婚女性の多くがパートタイムで働いており、雇用形態は非正規で賃金が低く、社会保障もないことが多いです。

ヴァン・マーアズディック:その問題については非常に関心を持っています。今後、資金確保ができれば、日経225企業の全調査を行いたいと考えています。

――エクイリープの調査項目にはセクハラ対策も含まれています。

ヴァン・マーアズディック:今回、調査を行って、セクハラについて取り組むポリシーを持つ企業が少ないことは驚きました。グローバル調査では3分の1の企業がセクハラに関するポリシーを持っていたので、今後に期待したいところです。
 
 私も3月のW20/WAW!会議に出席しました。ここで非常に感銘を受けたのは、多くの人が参加していたことに加えて、日本の総理大臣が出席していたことです。リーダーがああいう形で関与するのは素晴らしいことだと思いました。今後は、企業におけるジェンダー平等を進めるため、制度と実態を近づけるためのコミットメントをより多くの日本の政治リーダーと企業幹部には期待したいです。

(ジャーナリスト 治部れんげ)

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