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第3グループ(社会イノベーション推進担当)

投資にジェンダーの視点を
世界で盛り上がる「ジェンダー投資」とは

ジャーナリスト 治部れんげ


2019.03.15
13分
ジェンダー投資(Gender-lens Investing)は、ジェンダー平等および女性のエンパワーメントに資金を振り向ける手段としてだけでなく、潜在的な価値(例えば、高い成長の見込みがありながらも資金調達が出来ていない女性起業家など)やリスク(セクシャルハラスメント、従業員の低い定着率、不適切なバリューチェーン展開)を認識し、投資家がより優れた投資判断をするための有効な手段ともなり得ます。実際な欧米ではさまざまな研究機関により、ジェンダーバランスに優れた経営陣を持つ企業の方が高い収益を上げている、との研究結果が発表されています。笹川平和財団は、2019/3/23(土)に第5回国際女性会議WAW!/W20スペシャルセッション1「ジェンダー投資: 世界の新潮流」をWeEmpowerと共催し、ジェンダー投資の世界的な動きや好事例、より多くの資金をジェンダー平等と女性のエンパワーメントに向けるための具体策などを議論する予定です。これに先立ち、W20運営委員メンバー治部れんげ氏よりジェンダーイノベーショングループ長小木曽 麻里に世界で盛り上がる「ジェンダー投資」についてのインタビューをいただきました。

――W20日本では、女性の経済的エンパワーメントのため、G20向けに政策提言を行っています。中でも「女性起業家支援」は重要項目のひとつです。

小木曽部長:はい。本当に意味ある形で女性起業家を支援するためには、金融のエコシステム全体を見直す必要があります。女性がお金を借りにくい、投資を受けにくい現状を変えることは、特に重要なことと言えます。
 
ベンチャー・キャピタルや銀行、ファンドマネジャーなど、お金を出す意思決定する側にいるのは圧倒的に男性が多いのです。人間は多かれ少なかれ、自分と似たような人、自分が理解できる人にお金を投資したり貸したりしたい、と考えるものですから、資金供給側の人材が男性に偏っている現状では、女性起業家の資金需要を満たすことができません。

――笹川平和財団は、2017年11月にアジア女性インパクト基金を設定し、初年度10億円、最大100億円を拠出する予定です。小木曽さんは、この基金基金を立ち上げた責任者です。女性起業家支援が不足している課題に財団として正面から取り組まれていると思います。この基金について教えて下さい。

小木曽部長:アジア女性インパクト基金は、東南アジア地域に住む女性のエンパワーメントとジェンダー平等を目指したものです。新興国においては、安定雇用を提供できる雇用主が多くありません。そのため、経済力をつけたい女性たちにとって「就職」ではなく「起業」が現実的な方法になります。
 
女性起業家が直面しやすい資金調達の課題をクリアするために、この基金が役立つことを期待しています。
ファンドは、女性関連のESGファンドやマイクロファイナンスファンドで運用します。投資によって得られた収益は、アジアの女性起業家の金融アクセスの改善、知識・技術習得に直接支援する機関等に事業資金として供与します。全体的には、女性の起業家支援のためのエコシステム構築(制度やインフラの確立)等の支援に活用していく予定です。

――運用のひとつの柱であるESGについては、環境・社会課題・ガバナンスに配慮した投資ということで、日本企業やGPIF(Government Pension Investment Fund:年金積立金管理運用独立行政法人)等も注目しており、ビジネスパーソンに広く知られるようになっています。もうひとつの柱であるマイクロファイナンスファンドについて、教えていただけますか。

小木曽部長:こちらは少額無担保融資(マイクロファイナンス)のためのファンドです。利用者は女性が多く、土地担保、銀行口座やクレジットカードを持っていないため信用力が低く、既存の金融機関でお金を借りることができない方々です。
 
 利用状況は国によりますが、1回300~500米ドルを3カ月~1年間借りる方が多いそうです。「つなぎ融資」のイメージでしょうか。金利は10~20%と高いですが、貸し倒れ率は通常1%台と非常に低いことが知られています。マイクロファイナンスでお金を借りて事業を行ない、きちんと返済した方は金融機関が審査の際に参照する「クレジットヒストリー」を作ることができます。すると、今まで借りられなかった金融機関よりお金が借りられたり、より低い金利で多いお金を借りることも出来るようになるというわけです。
 
 当財団は、数あるマイクロファイナンス機関の中でも安定した収益を実現している「ブルーオーチャード」のマイクロファイナンスファンドに投資しています。ブルームバーグの調べによりますと、このファンドは運用資産10億ドル超の新興国ファンド251本のうち、唯一、成績がプラスになっています。リターンは堅実で、不況期に大きく落ち込まないのが特徴です。その背景には先ほどお話した通り、新興国には信用力の低い個人にお金を貸す人や機関が少ないこと、彼・彼女たちの返済実績が非常に高いことがあります。

――新興国の女性起業家向けの投資は、リターンも期待できるのに、なぜあまり流行しないのでしょうか。

小木曽部長:金融機関で意思決定している人達が「知らないものには手を出したくない」という意識が強いからだと思います。「途上国のことは分からない」「女性起業家は理解できない」といった具合に。

――お金の貸し手に女性が増えれば、女性起業家の資金需要を満たすことができますか。

小木曽部長:金融機関で意思決定する人に女性が増えることは大切です。ただし問題はそれだけでは解決しないと思います。
 
 さまざまな研究を見ますと、女性はそもそも男性と比べて遠慮がちでリスク回避的なのです。ですから、お金を100貸してあげる、と言われたら平均的な男性は100めいっぱい借りますが、女性は50までしか借りないのです。
 
 背景にあるのは「自信」の問題で、つきつめると教育や社会規範に行きつきます。
 
 これは、日本で働く女性にも共通する課題ですが、一般的に言って、会社で昇進するには「あげて下さい」と言う必要があります。言わなければ上がらないのですが女性は多くの場合、このような交渉、自己アピールを好まない傾向にあります。

――ご自身はいかがでしょうか? 多くの女性と同じように、そうした交渉を苦手と感じますか。

小木曽部長:私も本当は苦手なのですが、今お話したような傾向を踏まえて、あえて自己評価を高くしたり、主張すべき時には意識して主張したりするようにしています。
 
 日本の場合、学生時代までは男女平等ですが、経済社会は圧倒的に男性優位ですから、女性は委縮しがちです。ですから、女性が遠慮がちなのは生物的に決まっているものではなく、社会的に作られている規範だと考えるべきだと思います。
 
 私は大学を卒業して日本の銀行で働きました。総合職女性が非常に少なくて、とても周囲に気を使っていた記憶があります。その後、留学や転職で海外に在住していた期間は、非常に居心地がよかったのを覚えています。海外の専門職が集まる職場では、女性が半分いるのは当然でしたし、シニアマネジメントにも女性が珍しくなく、トップが女性という組織もありました。

――W20では3月23日に「ジェンダー投資」に関するセッションを企画し、モデレートなさいます。アジア女性インパクトファンドは新興国に対する「ジェンダー投資」だと思いますが、先進国向けではどういったものが考えられますか。

小木曽麻里部長:「ジェンダー投資」は、投資を経済的なリターンだけでなくジェンダー視点からも評価するものです。例えば、管理職に女性が多い企業に投資することも、ジェンダー投資の一環と考えることができますが、ここ数年、欧米で盛り上がりを見せているジェンダー投資は、さらに突っ込んだ指標で企業を評価しています。
 
 例えば、ジェンダー平等に関する原則を設けているか、男女の賃金格差はどの程度か、サプライチェーンのジェンダー平等に配慮しているか、産休・育休制度はあるか、ハラスメント対応をしているか、といった具合に、ジェンダー平等を担保する制度の有無、会社のポリシーなど質の部分にまで突っ込んで男女格差の度合いを測る動きが、グローバルなトレンドになってきています。
 
 昨年、欧州に拠点を置く団体Equileap(エクイリープ)が、こうした指標に基づいてグローバルな企業ランキングを行いました。そもそも情報開示をしていないと調査対象外になってしまうこともあり、200社のランキングには日本企業は入っていませんでした。

――それは残念でしたね。日本企業も「機関投資家に選ばれるためのグローバルな基準」を知る機会があるといいのですが。

小木曽部長:当財団では、Equileapに研究資金を提供し、このランキングのアジア版を作成してもらっています。対象はアジアでは比較的情報を得やすい、日本・シンガポール・香港の3地域・国になります。日本企業も多くランキング入りしており、この結果をW20の「ジェンダー投資」セッションで紹介したいと考えています。今後、ここで取ったようなジェンダーのデータをもとに、ジェンダー平等、女性エンパワーメントに関するファンドが組成されることを期待しています。
 

今後、投資家に評価され資金を集めやすい企業となるために、ジェンダーについてどんな取り組みをしたら良いのか、日本企業の経営者、上級管理職、財務、人事関係の方に是非、お聞きいただきたいと考えています。また、消費者や個人投資家に方には、商品やサービスを購入する際、ジェンダーの視点を意識していただけたらと思います。
 
また、6月に大阪で開かれるG20に向けた政策提言活動も続けていきたいと考えています。女性の問題は経済につながっていることを政界・経済界のリーダーの方々に伝えていくため、ビジネスパーソン、市民社会や研究者、メディアの方々と連携していきたいです。

(写真 鈴木愛子撮影)


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