私の父はコロンビア人で、母は日本人です。私が三歳の時に父と母が別れて、それからは母と母の女性パートナーである二人の母親に育てられました。十代の時に、関節が変形する難病を発症します。その後、出産を経験し、車椅子で子育てをしました。現在は、人工関節の手術をして、歩けるようになりました。
今の職場は、時間休やフレックスタイムなど柔軟な働き方ができる制度が整っていますし、周りの方の理解やサポートもあります。障がいのある私にとって、自分の体調と上手に付き合いながら、バランスよく働ける環境だと思っています。
笹川平和財団(SPF)で働き始めたきっかけは何ですか?
コロナやウクライナ戦争をきっかけに、より世界的な危機や困窮した人々、環境問題などについて取り組んでいる組織で働きたいという気持ちが強くなりました。SPFに決めたのは、私が転職活動を始めた頃に、社会活動家である母がSPFと仕事をし、とてもいいところだったと教えてくれたのが、最後のひと押しになりました。
人事課で教育研修を主に担当しています。研修の実施、来年度に向けて研修の調査やヒアリングをしています。その他にも、採用活動や人事手続き関連の業務、外国籍職員に対する支援体制の構築などにも取り組んでいます。
あなたのお仕事のどこにD&Iの視点が含まれていると思いますか?
私は、人の話を聞くのが好きで、特にSPFで働く職員はさまざまな経験や物事の本質を捉える視点を持った方が多く、どの方の話も興味を持って聞くことができます。職員に、研修についてのヒアリングをした際は、あらゆる声を吸い上げて新しい研修について検討しました。このように、さまざまな意見や考え方を活かしていくこともD&Iだと思っています。
また、このヒアリングを通して、可視化できたり数値で測れる分かりやすい能力だけでなく、目には見えない個々人の能力をどう評価できるかが、人事担当としてD&Iを遂行していくうえで非常に重要だと気づかされました。
これから、仕事を通してどのようなことを成し遂げていきたいですか?
自身の就業経験などから、もし、地球上の全人類が自分の半径10mの人に優しく接することができていれば、争いや戦争は起きないのではないかという自分なりの結論に行きつきました。だからこそ、今私にできることは、一番身近で当たり前に存在してくれる、家族や職場の人、半径10mの人たちのために、自分自身の健康を犠牲にすることなく、ベストを尽くすということではないかと思っています。そして、誰もが自分の能力を最大限発揮することができ、働くことが「楽しい」と思える職場づくりをしていきたいというのが、この財団での私の想いです。
具体的には、さきほどお伝えした、数値で測れない能力をどう評価できるかについて考える取り組みや、組織(事業)を回す上でのベースとなるチーム内のコミュニケーションを円滑にする取り組みを行っていきたいです。また、上司部下間の相互理解を深め、部下の強みを活かす育成指導法の研修などを通し、次世代の育成についても人事としてサポートできればと思っています。