2024年11月24日(日)、AP虎ノ門(東京・港区)にて「第5回 日中未来創発フォーラムin東京~拝啓、20年後の私たちへ」の成果発表会が開催されました。日中両国の学生93名(北京から参加した中国人民大学の学生11名を含む)が参加し、日本と中国の未来における様々な協力の可能性について発表しました。

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笹川日中友好基金

第5回「日中未来創発フォーラムin東京~拝啓、20年後の私たちへ」開催報告 その3

成果発表会

笹川日中友好基金


2024.12.04
 2024年11月24日(日)、AP虎ノ門(東京・港区)にて「第5回 日中未来創発フォーラムin東京~拝啓、20年後の私たちへ」の成果発表会が開催されました。日中両国の学生93名(北京から参加した中国人民大学の学生11名を含む)が参加し、日本と中国の未来における様々な協力の可能性について発表しました。
 本フォーラムは、公益財団法人笹川平和財団(理事長:角南 篤、以下「笹川平和財団」)が2022年から開始している交流型の日中交流ワークショッププログラムです。日本と中国の関係の現状を捉えながら10年~20年先の未来に視点を置き、設定したテーマの課題を解決する方法ために民間でできることを考え、そのアイディアを発表することをゴールとしています。プログラムは、専門家の講義、実地体験、チームディスカッションを基本構成として毎回テーマの設定に合わせて趣向を凝らしながら開催してきました。目的は、成果発表と共に日本と中国の学生が何かひとつのテーマについて意見交換することで、相手側が持っている価値観や世界観に気づき、お互いに対する理解が深まることを目指しています。5回目となる今回は、中国人民大学、日本科学協会、日中関係学会、東京都日中友好協会、学生団体「京論壇」、「茶話日和」の協力を得て開催されました。
開会の挨拶
 今回のテーマは、「20年後の私たちのために未来を描く」です。参加者は「環境」、「教育」、「福祉」、「文化」のチームに分かれ、2024年9月から2ヶ月間、座学やフィールドワークを通じて、デジタル技術の進展、グローバル化、多文化共生など世界共通の社会環境の変化を学び、「20年後の社会を見据え、日中において協力できることは何か」について研究しました。 この日は活動の集大成として、各テーマ毎にチーム発表と意見交換、そしてテーマ毎の成果発表が行われました。
 成果発表会の開会にあたり、ご来賓の方々を代表し、公益財団法人日本財団理事長で笹川平和財団評議員の尾形武寿様が、日中交流に携わってきた40年間の経験を踏まえながら民間交流の重要性を述べると共に、「相互理解を促進するためには、これまでの民間交流を通じて培われてきた信頼関係と友好関係を次世代に継承していくことが大切です。我々はこれからも人と人が直接交流できる場所や機会を作りながら、日中両国の相互理解を深めてまいります」と挨拶を行いました。
 また、中華人民共和国駐日本国大使館 公使参事官 杜柯偉様が、「本フォーラムは中日の若者が人的・文化交流できる重要なプラットフォームです。一緒に社会的責任や未来について議論し、両国が協力できる新たな分野やチャンスを模索することは、お互いの国や文化を尊重し、理解を深めることに役立ちます。こうした理解と尊重は、中日友好関係を深める重要な礎となります。皆さんが今後も積極的に中日友好事業に参加し、中日の友好を守り、両国の交流と協力を推進し、中日の友好事業を継承していくことを期待しています」と祝辞を述べられました。

公益財団法人日本財団 理事長、笹川平和財団評議員 尾形武寿氏

中華人民共和国駐日本国大使館公使参事官 杜柯偉氏

成果発表会
 各テーマ(環境、教育、福祉、文化)を率いたファシリテーターが3カ月間の活動紹介とテーマの方向性を紹介した後、チーム毎に発表を行いました。
 
テーマ:環境

テーマ「環境」のファシリテーターを務めた山田典史氏(北京BC学院)

 山田典史氏「日本人8名留学生10名計18名が参加する全3チーム。海洋環境問題を切り口に様々な環境問題について考えました。10月のフィールドワークでは海岸清掃体験などを行い、江の島東浜海岸で海岸に流れ着いたゴミを観察。多くが河川を経由し街から流れて来たものであることを確認しました。海岸清掃体験後は笹川平和財団海洋政策研究所の朱夢瑶研究員から講義を受け、現在の海洋環境問題とそれに対して行われている各国の対策や国際的なモニタリング基準の統一が必要な事などを学びました。小グループごとにディスカッションを行い、各チームの研究のヒントとしました」

西島光洋さん

チーム1:日中エネルギー同盟
発表タイトル:日中協力によるクリアランス制度の普及と再利用促進

発表要旨:原子力発電所から発生する放射能濃度が極めて低い廃棄物を普通の廃棄物として処理できる「クリアランス制度」に着目。この制度の社会的な定着を図り、クリアランス物が世間で幅広く再利用されることを20年後の理想の未来と設定し、この理想を実現するためのアイディアをいくつか紹介します。

中島龍一さん

チーム2:LOSSLESS
発表タイトル:日中食品ロスの減少と再利用の研究

発表要旨:「食品ロス」は、身近で解決が必要な大きな問題にもかかわらず、大規模な解決策や喚起がつい後回しにされていることに着目。世界的に「食品ロス」大国でもある中国と日本が如何に現状を認識し、改善し、手を取り合い解決策を模索できるのか考察しました。

藤巻宇衣さん

チーム3:遣カイ使
発表タイトル:リサイクル銀行

発表要旨:「家庭などで発生したごみをコミュニティで分別回収し、ごみをリサイクラーに売却した金額を住民たちが市中銀行のように貯蓄、引き出し出来る仕組み」、そのような「リサイクル銀行」の確立を目指し、日中両国、そして世界の環境発展を試みる。
テーマ:教育

テーマ「教育」のファシリテーターを務めた張玥(ちょう・ゆえ)氏(お茶の水女子大学講師)

 張玥(ちょう・ゆえ)氏「教育チームは「新しい時代の教育について語り、体験し、未来を創造しよう」を趣旨に、幅広い切り口から教育について議論を展開しました。4グループに分かれた参加者は、それぞれ「教育とメデイア」「農村部と都市部の教育格差をICTで縮める」「教育のデジタル化といじめの日中比較」「日中の受験方式が歴史認識に与える影響」をテーマに考察を進めました。その一環として、実地体験(アクティビティ)では東京大学の園田茂人教授を訪ね座談会を開催いただきました。また企業訪問では(株)内田洋行様が開設している「未来の教室 FUTURE CLASS ROOM」を訪問し、最先端のICT教育空間などを学びました。

梅河智博さん

チーム1
発表タイトル:教育とメディア

発表要旨:かつては国家はメディアを国民を教育するためのツールとして使い、世論形成に役立てていたと考える。現在、オールドメディアは国民の世論形成にまだ大きな影響を持っているのか、日本と中国のアメリカ大統領選の報道と国民の反応を例に分析を行った。しかし、現在ではインターネット、移動の自由によって情報を入手する手段も多様化したため、オールドメディアはかつてほどの力を持たなくなったのではないかと考える。このような多様な価値観や情報があふれる時代に生きるなかで、誤情報などに惑わされず安心して暮らすために我々一人ひとりが注意できることに着目し、教育現場におけるネットリテラシーを高めるための教育の強化が必要であると考えた。

何雨陽さん

チーム2
発表タイトル:I C Tを用いて農村部と都市部の教育格差をどのように是正するのか―日中の義務教育と高校教育の異同から見る―

発表要旨:日中の義務教育と高校教育の異同から「ICT を用いて農村部と都市部の教育格差をどのように是正するのか」をめぐって議論を展開。中日両国の初等教育・中等教育における農村部と都市部の教育格差に着目し、ICT、特に生成AIの力を借りることで農村部でも都市部と同じレベルの教育を受けられると考える。日本と中国の教育方針に違いはあるものの、アプリ開発など技術的な方面では日中両国が協力できる可能性があると考える。

二平凌吾さん

チーム3
発表タイトル:ネットいじめの現状と対策の日中比較

発表要旨:インターネット上のいじめの現状と対策の日中比較をテーマにとって、インターネットの普及における負の側面に目を向けました。日本と中国それぞれがネットリテラシー向上のための教育や、ネットの使い方に関する法律の施行などの対策を施していますが、ネットいじめの件数は伸び続けており有効だとは言えません。私たちのチームは現状を調査して、両国の交流を通じた新たな対策などを提案していきます。

藤本拓也さん

チーム4
発表タイトル:学校内歴史教育による歴史認識問題の緩和・解決―日中の入試問題改善を通して―

 歴史認識問題が市民間の対立や事件を引き起こしている現状を憂慮し、その緩和を目指します。本発表では、問題意識と仮説、さらに具体的な改善策を提案しました。
第1章: 問題意識と仮説 「日中の詰め込み教育が人々の思考・討論の機会を減らし、歴史認識問題の一因になっている」という仮説を立て、問題の所在を明らかにしました。第2章: 仮説の検証 仮説の妥当性を確認するとともに、日中両国で詰め込み教育が課題視され、政府が改革に取り組んでいる現状を分析しました。一方で、これらの改革には未解決の問題点が残されていることも明らかになりました。第3章: 改善策の提案 第2章で確認した問題点のうち、現行の歴史教育では生徒が歴史研究の知見に触れる機会が少ない点を本稿で取り組む課題として、入試で歴史研究の成果を問う問題形式の導入を提案しました。これにより教育現場でも多角的な歴史理解が促進され、歴史認識問題の解決に寄与できると考えます。以上の改善策を通じ、目標の実現を目指します。
テーマ:福祉

テーマ「福祉」のファシリテーターを務めた豊嶋駿介氏

 豊嶋駿介氏「福祉チームは『高齢化社会におけるデジタル技術の在り方を考える』をテーマに研究を進めた。フィールドワークでは介護業界でのDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する社会福祉法人善光会様の運営する福祉施設サンタフェ・ガーデンヒルズを訪問し、介護施設でのデジタル技術(高齢者の睡眠管理・仕事環境のDX)の導入の様子を伺った。チームとしては、高齢化が進む日本において発生する問題について整理し、その解決策としてのテクノロジーについて議論しました」

恩田侑紀さん、楊浩さん、劉菲さん

チーム1
発表タイトル:未来の高齢者の生活

発表要旨:現在、日本の高齢化率は29%を超え、今後ますますの高齢化が見込まれる。さらに長寿化により高齢者の年齢幅が広くなると、高齢者が抱える課題も運動器系・神経系・循環器系の問題など多様になっていく。こうした高齢者が抱える問題に対応するためには、フレイル期(加齢により衰弱し、介護が必要な状態の手前を指す)の段階から幅広い介護ニーズに対応できる医療体制を構築する必要があり、そのためには介護人材の確保だけでなく介護現場への積極的なテクノロジーの導入が重要である。本発表では、こうした介護現場におけるテクノロジー導入の事例、特に介護DXの事例に着目し、高齢化社会におけるテクノロジーのあり方について考察する。
テーマ:文化

テーマ「文化」のファシリテーター兼イベント全体の司会進行を務めた于智爲(ゆう・じゅーうぇい)氏

 于智爲(ゆう・じゅーうぇい)氏「文化チームは、日中の文化全般を対象として研究を進めました。実地体験(フィールドワーク)では、日本で活躍する中国人のマジシャンGOさん、ニューメディアで人気の日本人インフルエンサー・山下智博さんの講演会、文化関連に携わる中日韓のゲストによる講演会などを開催した。発表会では、自分たちの興味から発展させて、日中の文化について深く彫り下げて考えました」

大山千咲さん、任恒達さん

チーム1:さくらパンダ
発表タイトル:作品から見る日中交流

発表要旨:「反日や反中という感情を無くしたい。」そのために何ができるのか。私たちは、エンターテインメントという面から、アニメやゲームなどの作品を通した、これまでの人の関わりを分析しました。そこから私たちは、日中の交流を盛んにして友好な関係を再構築するために、文化交流にとどまらず、共に文化を創造することが有効な手段になると考えました。

倉持和輝さん、尾崎そよかさん

チーム2 花様年華
発表タイトル:20年後の日本における中国人街の展望―横浜・池袋にみる華人社会と日本社会の在り方―

発表要旨:横浜中華街と池袋の中国人街を参考に、中国人街の成立背景から現在までの発展過程を概観し、20年後の理想的な発展像を考察した。中国人街には、多文化共生を促進しながら伝統文化を維持し、新たな現代文化を導入することで、日本社会との相互交流を深める役割が期待される。

唐歌天語さん

チーム3 未名
発表タイトル:中日二次元文化の未来―中国、日本のコスプレを例にする

発表要旨:中国と日本のコスプレ業界の双方に対して学べるところ、改善すべき点に注目しています。中国のコスプレ産業は急速に発展する一方、以下の課題が存在します。専門性の不足により、業界全体のレベルが安定せず、質がばらついています。また、商業モデルが未成熟で収益源が限られ、コスプレイヤーが職業として継続するのが困難です。さらに、オリジナルキャラクターが少なく、地元文化の発展が停滞しています。社会的認知度が低いことも業界の健全な発展を妨げています。これらに対応するため、専門教育の強化、商業化の促進、オリジナルコンテンツ制作の支援、広報活動の強化、関連産業との連携が必要だと私たちは考えています。

神田真帆さん、丁暁琳さん

チーム4 繋我LINK
発表タイトル:メディアの媒体と発信方法の変化

発表要旨:映画やアニメ、音楽などのメディアは発信媒体がないと広まりません。これらの発信媒体は、時代の変化、技術の発達により姿を変えてきました。しかし、これらの発信媒体によって伝わるメディアの広まりは、政策によってカットされたり、使えないツールがあったりと、政策からの影響も大きいです。そこで私たちは、20年後の媒体と発信方法がどう変わるのか、研究しました。

呉詩妍さん

中国人民大学チーム1
発表タイトル:多メディア時代における孫悟空イメージの中日調査

発表要旨:孫悟空は中国でも日本でもよく知られているキャラクターです。しかし、中国の孫悟空のイメージは類似点もあれば相違点もあります。絵画、マンガ、アニメ、映画、ドラマなどのメディアはどのような孫悟空のイメージをつくったのでしょうか。①外形・服装、②目的・使命、③精神内面の三つの視点から分析してみました。結果として孫悟空は『西遊記』から誕生したキャラクターですが、中国での創作は原著に忠実で、日本での創作は原著から離脱し、多元化されたキャラクターになったことが分かりました。いまは「黒神話・悟空」とのゲームが世界で人気になっていますが今後、新技術による古典の再発見と文化の相互理解の深層化が期待されると考えます。

斉玉さん

中国人民大学チーム2
発表タイトル:中国における日本アニメの受容―若者による二次創作を中心に―

発表要旨:私たちは中国における日本コンテンツの需要、そして若者のサブカルチャーの一環として「二次創作」を捉えている。デジタル革命の影響を受け、その様相が大きく変化し、多様化している。研究調査した結果、二次創作は若者のアイデンティティの強化、異なる主体の間の相互理解を深める上で大きな意義があることが明らかになった。そして20年後の未来に向けて共通共同のプラットフォームの構築、AIなどのデジタル技術と共有するために人間中心の創作観を重要視することを提案したい。
修了証書の授与
 全チームの発表が終わった後、笹川日中友好基金特任グループ長の尾形慶祐氏から4分野の代表者にそれぞれ修了証書が授与されました。
 

発表会場の様子(虎ノ門AP)

成果発表終了後、参加者へプログラム修了証書を授与

講評と総括
 成果発表終了後には、公益財団法人 日本科学協会 理事で東京大学名誉教授の渡邊雄一郎様が、「発表内容は非常に示唆に満ちており、我々も参考になる内容が沢山ありました。両国の学生が交流を通じて、それぞれの考えや見解を発表するのを聞いて、これからの20年に対して希望が持て、楽観視できると感じました。皆さんには、これからも国際的な視点を持って、交流と議論を続けていってほしいです」と講評を述べられました。
 最後に、北京から来日された中国人民大学党書記 張東剛様が、「皆さんの発表は若者の活力に溢れており、また発表の視点や考えの深さがとても面白く、私自身も沢山のことを学びました。中日友好の基礎は国民にあり、両国の友好の未来は若い世代にかかっています。若者同士の交流や相互学習・理解は、中日関係の発展、人類運命共同体の構築、より良い世界の創造にとって、非常に重要です。両国の若者が、革新的思考を強化し、共に世界の平和的発展を推進し、人類の素晴らしい未来を切り開くことを期待しています」と総括し、成果発表会は終了しました。
 

公益財団法人日本科学協会理事、東京大学名誉教授 渡邊雄一郎氏

中国人民大学党書記 張東剛氏

 成果発表会終了後は、会場を移し懇親会が行われました。懇親会冒頭には、笹川平和財団常務理事の安達一氏が、「これからの社会を創り、そして社会を変えることができる可能性を持った皆さんが、将来について真剣に議論を重ねるのは非常に素晴らしいことです。ぜひ今回出会った仲間を大切にし、そしてこの輪を更に広げていってください。日本と中国の友好関係がこうした様々な機会を通じて少しでも強化されること、また皆さんが様々な場で活躍しながら、日中の未来を切り開いていくことを願っています」と挨拶を行いました。

笹川平和財団常務理事 安達一氏

テーマ「文化」の参加学生と高橋恵子先生(北京開催ワークショップの司会を担当)

懇親会の様子
参加者インタビュー
参加者を代表し、4名の方に本フォーラムに参加した感想を伺いました。

東京農業大学 応用生物科学部 1年 陳佳儀さん(環境)

 私が通う東京農業大学は、理論と実践を重視する実学主義により社会貢献を目指しています。このため、私も自分が勉強している内容を生かしながら、社会に貢献できる活動を探していたところ、このフォーラムに出会い、参加しました。他の参加者と日本語で交流できたことに加え、自分の勉強内容を他の参加者と共有するなど学術面でも交流できたのがとても良かったです。また、私は大学1年生なので学外や学会での発表経験がなく、このフォーラムで初めて発表をさせていただいたのですが、毎回発表後に参加者からフィードバックをもらうことができたので、プレゼンスキルの向上にもつながりました。
 私は応用生物科学を専攻しています。この分野の研究対象は非常に広いため、国籍や年齢を問わず色々な人と交流して視野を広げ、自身の研究分野を決めていきたいと思っていました。参加者には、法律、化学、公共政策など様々な分野で研究をされている方がおり、こうした方々との交流を通じて、食品ロスやゴミの分別問題が将来の研究テーマの候補に加わるなど、視野が広がりました。また、今日の成果発表についても、参加者の専門分野が異なるからこそ多面的にアプローチすることができたので、より良い課題解決策を提言できたと思っています。
 将来、私は土壌に関する研究ができたらと考えています。環境のメンバーの中には、近い分野の研究をしている学生がいたので、「将来、一緒に土壌の研究をしたいね」と話しています。このように、ここで出会った仲間やこれから出会う仲間と協力し、日中それぞれの得意分野を活かしながら、環境に関する様々な課題に対する解決策を見つけ、両国の明るい未来を作っていきたいです。
 

東京大学 文科二類 2年 平柳智明さん(教育)

 「日中は一衣帯水の間柄なのだから両国協力して行くことが大事である」というのは日頃のニュースでたくさん聞いています。また、実際に中国を訪問した際にもたくさん言われました。しかし、「では具体的にどのように協力するのか」、「日中相互で起きている問題とは何か」、これについてじっくり考える機会がなかったので、今回のフォーラムは非常に有意義な時間でした。学生の私たちができることは非常に小さいことかもしれないですが、グループの中に日中両方の学生がいたので、彼ら彼女らと一緒に考え、実際に協力して「協力」を実感できる時間がたくさんあったのがとても楽しかったです。発表については、日中両側の視点を取り入れた発表ができたと思うので、内容の濃い発表ができたのではないかと思い、満足しています。これまで抽象的だった「日中協力」という言葉への解像度が上がりました。
 私は東京大学で国際交流に関する学生団体「茶話日和」の代表を務めています。中国からの留学生が最も多く、定期的に交流会を開いています。今後、この交流会で今回自分たちが考えた話題を議論のネタにして発展させていくのも有意義な交流ができるのではないかと思っています。また、若い世代にもっと日中両国について、両国の協力可能性について知ってもらえるよう、団体のホームページに今回のフォーラムの内容も載せる予定です。未来を担う若者に情報を発信し、日中関係に興味を持ってもらうには、大人が発信するより私たち若者が発信した方が確実にリーチできると思うので、使命感、責任感を持って実行していきたいです。
 個人的には将来、日本と中国、日本と途上国の架け橋になれるような仕事につきたいと思っています。「日本は先進国だから」、「相手国は途上国だから」という上下の考え方ではなく、このフォーラムのように対等な立場で協力の可能性を模索し、Win-Winな関係を築いていくことを、これからも自分の行動原理として心に留めておきたいです。

日中学院 本科 2年 恩田侑紀さん(福祉)

 私は日中学院で中国語を勉強しています。中国語でもっと多くの人と交流したいと思っていたところ、このフォーラムの存在を知り、中国語のレベルアップにつながるかもしれないと思い、参加しました。また、現在祖母が中国で一人暮らしをしており、高齢化や福祉が自分にとって非常に身近な話題だったことから、「福祉」をテーマに選びました。
 福祉は専門用語が多いので、中国語で福祉の専門的な内容について議論するのは、難しいだろうと思っていましたし、実際、難しかったです。しかし、皆さん優しく受け入れてくださり、中国人の輪の中に入って一緒に議論することができました。また、医療系の会社や病院に勤務している方、医療系の学校で勉強している方など、普段自分が接することのない方々と交流できたことも、非常に良い経験でした。このフォーラムに参加していなければ、こうした仲間に出会えなかったと思うので、素晴らしい出会いに感謝しています。
 実は、学業と両立できるか不安で、このフォーラムへの参加を迷っていました。しかし思い切って参加して本当に良かったので、今後も迷った際は「まずはやってみよう!」というように意識が変わりました。
 未来の高齢者の生活にデジタルテクノロジーがどのように貢献できるのか色々調べていくと、自分が知らないだけで既に実現している技術や、遠い未来のことだと思っていた技術が、実は近い将来実現できる様になるなど、多くのことを学びました。ここで学んだことを、自分の身近な人や中国で一人暮らしをしている祖母にも共有したいと思います。
 

中国人民大学 外国語学院 日本語学科4年 杜美楽さん(文化)

 私は大学で日本語を専攻しており、学んだ日本語をもっと使いたいと思っていたので、このフォーラムに参加しました。インターネットの普及に伴い、交流もデジタル化していますが、対面での交流が大切だと思うので、直接日本人と交流できるこのフォーラムはとても魅力的でした。
 今日の成果発表会だけではなく、私たちが通う中国人民大学でも日本の学生と交流する機会があり、研究内容について一緒に議論しました。最初はお互い恥ずかしい気持ちが強く、口数が少なかったのですが、徐々に打ち解けてくると、とても話しやすく、お互いの考えや思いを伝え合えるようになりました。私たちのチームは「孫悟空に対する中国人、日本人が持つイメージ」について研究したのですが、中国人と日本人では孫悟空に対するイメージや理解が大きく違っており、驚くと同時に、とても勉強になりました。また、北京のアニメショップにも一緒に行くことができ、とても楽しかったです。両国の学生がこうして直接交流できる活動が、今後さらに増えてほしいです。
 この他にも、池袋の華人社会と日本社会の在り方に関する発表がとても興味深かったです。実は大学2年生の時、私は交換留学で立教大学に通っていました。立教大学は池袋にあるため、私にとってこの発表はとても身近な話題で、勉強になりました。
 大学卒業後は、日本の大学院に進学したいと思っています。今回、このフォーラムを通じて日本の学生と直接交流したことで、日本についてたくさん知ることができました。この知識や経験を、日本での大学院生活で生かしていきたいです。(執筆者:太田真美)
 
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