【開催報告】
インド国会議員招へいと日印の国会議員によるラウンドテーブルミーティングの開催
主催:笹川平和財団
共催:インド産業連盟(Confederation of Indian Industry)
ラウンドテーブル開催日時:2025年3月5日(木)18:30-20:30 (JST)
萱島信子常務理事
笹川平和財団では、アジア諸国と日本との間で、社会の平和と安定を希求するべく様々な交流事業を実施しています。
この度、「日印戦略的ネットワーク強化事業」の一環として、世界の外交・経済において存在感を高めるインドと日本の関係強化を目的に、2026年3月2日(月)~3月6日(金)に、インドの国会議員3名を日本に招へいしました。
今回招へいしたインド国会議員は以下の通りです。
- マニシュ・テワリ下院議員(3期目、インド国民会議派)
- テジャスヴィ・スーリヤ下院議員(2期目、インド人民党)
- リチャード・ヴァンラルマンガイア下院議員(1期目、ゾラム人民運動)
今回の招へいでは、日本の政治リーダーとの意見交換の機会として、西村康稔日印友好議連会長、国光あやの外務副大臣をはじめとする政府関係者や国会議員との意見交換等を行ったほか、人的交流や地域づくりといった日印間の共通課題をテーマに秩父でリトリートプログラムを実施し、招へい者の日本に対する理解を深めました。
特に3月5日(木)には日印国会議員等による「新時代における日印共通目標に向けた対話」と題したラウンドテーブルミーティングを開催し、政治リーダー間の直接対話が行われましたので、以下にその概要を報告します。
本会合の冒頭、笹川平和財団常務理事の萱島信子が、「複雑さを増す国際情勢にもかかわらず、日印特別戦略的グローバル・パートナーシップの枠組みのもと、日本とインドは外交的および経済的関係において着実な進展を遂げている。当財団は、両国間の相互理解を促進し、交流の機会を創出することを目指しており、この対話を通じて、新たな協力の可能性を見出し、二国間関係をさらに発展させることを望んでいる。」と開会の辞を述べ、ラウンドテーブルへの期待を表明しました。
その後、笠井亮平氏(岐阜女子大学南アジアセンター特別客員准教授)による基調講演に続き、両国の議員同士による活発な意見交換を実施しました。
1. 岐阜女子大学南アジアセンター笠井亮平氏 基調講演要旨
笠井亮平氏
過去四半世紀を通じ、日印関係は大きな発展を遂げています。まず、この機会に、日印関係をさらに発展させるうえで重要な協力分野を三点指摘しておきたいと思います。一点目は経済安全保障分野であり、エネルギーや重要鉱物の調達という観点において、インドと日本の共有する戦略的利益と懸念は大きく、さらなる協力の発展が期待されます。二点目は科学技術分野であり、近年日印のトップレベルの大学や研究機関が共同で行う研究が着実に増えつつあることは、日印関係をさらに高いレベルへと進化させるうえで重要な変化だと考えられます。また、特に宇宙開発における協力は、JAXAとインド宇宙研究機関(ISRO)の間での協力に加え、さらなる広い協力の拡充が求められています。三点目はより広い範囲での地政学的な協力であり、ベンガル湾、アラビア海、インド洋といった広い範囲を含む、「自由で開かれたインド太平洋」を実現するために日印両国は重要な役割を果たさなければなりません。昨年2025年に東京にて開かれたアフリカ開発会議(TICAD)において石破前首相が示した「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」の下で、日印両国は、アフリカ、インド洋、東南アジア地域における発展にも貢献できるでしょう。
日印関係における最優先の課題としては、「人的交流」の深化を挙げねばなりません。例えばアイセック・ジャパン、あるいは日本インド学生会議といった、若い世代による持続的な人的交流の取り組みが、今後、政治リーダーのレベルにおいても実現されていくことを期待しています。
最後に、本ラウンドテーブルに対して、「日印特別戦略的グローバルパートナーシップ」をどのようにして、真に特別で、真に戦略的で、真にグローバルなものにすることができるのか、という問いを投げかけたいと思います。参加者の皆様が、議論を深めていただくことを期待しています。
3.日印国会議員による意見交換
後半は各々3名の日印国会議員を中心に、人的交流や、教育分野における交流促進、さらに混沌とする国際情勢における日印の役割、重要資源や新興技術などの経済分野での協力の重要性について、率直な意見交換が行われました。
人的交流の促進については、インド側の議員からは、招へい中の視察やワークショップでの議論を踏まえ、日本側のインド人材へのアプローチ戦略の見直しへの提案などがあった一方、日本側の議員からは、日本の人手不足の現状を踏まえたインド人材への期待などが示されました。
また、インド側の議員から、中東情勢の悪化を踏まえ、ルールに基づく秩序の揺らぎへの指摘があり、その存在を所与の前提としてきた日本の安全保障政策について日印の議員で活発な議論が繰り広げられました。
経済分野では、重要資源の調達について日印の利益は共有されていることが確認され、また造船業の日印協力の可能性について、積極的な討論が行われました。