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戦略対話・人材育成グループ
映画「WHOLE」を上映 監督・出演者がクロストーク
「ハーフ」の人々が日本で直面する葛藤を映し出す
2023.12.18
8分
参加者を前に映画のメイキングエピソードを語る神戸定住外国人支援センター理事長の金宣吉氏、監督の川添ビイラル氏、サンディー海氏、川添ウスマン氏(写真左から)
2023年10月17日、笹川平和財団のアジア・イスラム事業グループは、神戸定住外国人支援センターとの共催で、日本映画「WHOLE」の上映会と監督・出演者によるクロストークを開催しました。日本のあるべき姿として、多様性を許容する包摂的な多文化共生社会を考えるうえで、一石を投じるものです。
この映画は、日本人と外国人の両親をもち、日本で普通に暮らしている若者を主人公にした作品。彼らが見知らぬ人、友人、家族によるマイクロアグレッション(無自覚な差別)やステレオタイプの行為と言動に直面し、アイデンティティや日本社会に対し複雑な気持ちを抱く姿が描かれています。
ストーリーはこうです。海外の大学を中退して日本に戻った春樹は、「ハーフ」と呼ばれることに抵抗を感じていました。 一方、建設作業員として働く誠は、のんびりした性格で、時々向けられる少々無神経な言葉もさほど気に留めない様子です。このような違いがある二人が友達として親交を深め、お互いを理解していきます。様々な出来事を通して、彼らは「HALF/半分」から「WHOLE/全部」になる旅を始めます。
日本人と外国人の両親をもつ川添ビイラル氏が監督、弟の川添ウスマン氏が誠役、二人と同様に日本で生まれ育った俳優のサンディー海氏が、中村春樹役を演じています。
この映画は、日本人と外国人の両親をもち、日本で普通に暮らしている若者を主人公にした作品。彼らが見知らぬ人、友人、家族によるマイクロアグレッション(無自覚な差別)やステレオタイプの行為と言動に直面し、アイデンティティや日本社会に対し複雑な気持ちを抱く姿が描かれています。
ストーリーはこうです。海外の大学を中退して日本に戻った春樹は、「ハーフ」と呼ばれることに抵抗を感じていました。 一方、建設作業員として働く誠は、のんびりした性格で、時々向けられる少々無神経な言葉もさほど気に留めない様子です。このような違いがある二人が友達として親交を深め、お互いを理解していきます。様々な出来事を通して、彼らは「HALF/半分」から「WHOLE/全部」になる旅を始めます。
日本人と外国人の両親をもつ川添ビイラル氏が監督、弟の川添ウスマン氏が誠役、二人と同様に日本で生まれ育った俳優のサンディー海氏が、中村春樹役を演じています。
アジアと日本における多文化理解を支援する財団の取り組みを紹介する安達一常務理事
アジア・イスラム事業グループの森ちぇろ主任が、事業のさまざまなプロジェクトと神戸定住外国人支援センターとの協働について説明
上映会の冒頭、笹川平和財団の安達一常務理事が挨拶し、在日外国人のための包摂的な社会づくりの重要性について語りました。また、2008年以来、笹川平和財団はアジアにおける多文化理解を促進するために、日本とアジアにおける外国人労働者や難民の受入れに関する活動などを行ってきたことを紹介しました。
映画については「この映画で投げかけられていることは非常に深いと同時に、日常的に自分たちが本当に接している一場面であると思います。そして、日本人自身が(日本に住み日本と外国にルーツをもつ人々に対する)考え方をどのように変えていけるか、という深刻な命題が突きつけられています」と述べました。
次に、アジア・イスラム事業グループの森ちぇろ主任が、この上映会に至るまでの背景として、笹川平和財団のプロジェクトである「新人流時代の共生社会モデル」について概説しました。
「日本国内に長く定住する方々もいますし、例えば、技能実習生、留学生または特定技能、いろんな制度で母国と日本を行ったり来たりするような移動が混在する今の時代において、官民の多様なアクターによる地域発の自助、共助のモデルを構築すると共に、アジア域内における移民の送り出し国と受入れ国の連携を促進して自助・共助モデルを他の地域に波及することで、外国人住民・労働者を包摂する共生社会づくりに貢献することを目的としています」
映画については「この映画で投げかけられていることは非常に深いと同時に、日常的に自分たちが本当に接している一場面であると思います。そして、日本人自身が(日本に住み日本と外国にルーツをもつ人々に対する)考え方をどのように変えていけるか、という深刻な命題が突きつけられています」と述べました。
次に、アジア・イスラム事業グループの森ちぇろ主任が、この上映会に至るまでの背景として、笹川平和財団のプロジェクトである「新人流時代の共生社会モデル」について概説しました。
「日本国内に長く定住する方々もいますし、例えば、技能実習生、留学生または特定技能、いろんな制度で母国と日本を行ったり来たりするような移動が混在する今の時代において、官民の多様なアクターによる地域発の自助、共助のモデルを構築すると共に、アジア域内における移民の送り出し国と受入れ国の連携を促進して自助・共助モデルを他の地域に波及することで、外国人住民・労働者を包摂する共生社会づくりに貢献することを目的としています」
川添ビイラル監督が「WHOLE」に託した思いを語る
日本の「ハーフ」の人々を題材としたリアルな映画を作ることができた、と話す川添ウスマン氏
45分間の映画が上映され、その後、メイキングや印象的なシーンに関する監督と出演者のクロストーク、会場の参加者との質疑応答が行われました。モデレーターを務めた神戸定住外国人支援センターの金宣吉理事長は、キャストらとのトークを通じて「ステレオタイプの行動やマイクロアグレッションに直面する、外国にルーツを持った若者たちが、生きづらさを感じずに過ごせる社会をどうしたら作っていけるか一緒に考えていきたい」と述べました。
映画製作の秘話として川添監督は、ある日弟から、日本に住むミックスルーツの人々のアイデンティティクライシス(自己同一性の損失)と経験に焦点をあてた映画を作りたい、と言われ「そこから私たちがリサーチしたところ、実際にこのテーマを扱っている映画があまりないことに気づきました。そこから使命感のようなものが湧き、本格的にこの映画の脚本を書き始めました」と明かしました。
ウスマン氏も、映画を作るに至った経緯を語りました。
「僕が日本に住んでいて日々不満があったり、何でこうなんだろうという思いがいっぱい詰まっていたりして、それをどうやってアウトプットしたらいいのかすごく考えた。(自分は)コミュニケーションが苦手なので、映画にしてアウトプットしたらどうかなと思ったのがきっかけです。今まで見てきたドキュメンタリーや『ハ―フ』の映画では、自分自身は違うかなと思ったので、もうちょっとリアルな、僕の目線から見た映画を作りたいと思いました」
映画製作の秘話として川添監督は、ある日弟から、日本に住むミックスルーツの人々のアイデンティティクライシス(自己同一性の損失)と経験に焦点をあてた映画を作りたい、と言われ「そこから私たちがリサーチしたところ、実際にこのテーマを扱っている映画があまりないことに気づきました。そこから使命感のようなものが湧き、本格的にこの映画の脚本を書き始めました」と明かしました。
ウスマン氏も、映画を作るに至った経緯を語りました。
「僕が日本に住んでいて日々不満があったり、何でこうなんだろうという思いがいっぱい詰まっていたりして、それをどうやってアウトプットしたらいいのかすごく考えた。(自分は)コミュニケーションが苦手なので、映画にしてアウトプットしたらどうかなと思ったのがきっかけです。今まで見てきたドキュメンタリーや『ハ―フ』の映画では、自分自身は違うかなと思ったので、もうちょっとリアルな、僕の目線から見た映画を作りたいと思いました」
印象的なシーンを振り返るサンディー氏
次に、出演者らは映画の中で印象的なシーンについて語りました。サンディー氏はラーメン屋のシーン。年配の客がイライラしている春樹に生い立ちをしつこく質問し、箸(はし)を上手に使えることにも触れ、誠が店に入ってくると年配客が「今日は『外人』が多いな」とつぶやく場面を挙げました。
「見た目で外国人のルーツが入っていると、あのような会話が毎日のようにあると思います。自分は春樹と真逆で冗談を言いますので、春樹として対話したことで自分じゃない『ハーフ』の視点を知り、自分が理解していなかったアイデンティティやマルチカルチャーの部分に気づかされ、すごく印象的でした」
一方、川添監督は、月が登場するシーンが2回出てくる理由に関連して、映画のネーミングの裏話を披露しました。どうやら元の題名は「WHOLE」ではなかったようです。
「脚本を書いている段階では、『ハーフ』などの仮のタイトルを付けていたのですが、最終的に『WHOLE』に変更しました。この映画の中で月は、春樹と誠が感じていることのシンボルなのです。映画を撮った後に気づいたのですが、空を見上げると月はその時々でさまざまな形をしていますけれども、実はいつもWHOLE(全部)でありそのままです。それはアイデンティティと同じで、あなたはひとりの人間、ひとつのWHOLE、ひとつのアイデンティティですというメッセージを伝えたかった」
「見た目で外国人のルーツが入っていると、あのような会話が毎日のようにあると思います。自分は春樹と真逆で冗談を言いますので、春樹として対話したことで自分じゃない『ハーフ』の視点を知り、自分が理解していなかったアイデンティティやマルチカルチャーの部分に気づかされ、すごく印象的でした」
一方、川添監督は、月が登場するシーンが2回出てくる理由に関連して、映画のネーミングの裏話を披露しました。どうやら元の題名は「WHOLE」ではなかったようです。
「脚本を書いている段階では、『ハーフ』などの仮のタイトルを付けていたのですが、最終的に『WHOLE』に変更しました。この映画の中で月は、春樹と誠が感じていることのシンボルなのです。映画を撮った後に気づいたのですが、空を見上げると月はその時々でさまざまな形をしていますけれども、実はいつもWHOLE(全部)でありそのままです。それはアイデンティティと同じで、あなたはひとりの人間、ひとつのWHOLE、ひとつのアイデンティティですというメッセージを伝えたかった」