海洋政策研究所
日本とオーストラリアの「かけがえのない」戦略的パートナーシップ
オーストラリアのリチャード・マールズ副首相兼国防大臣
笹川平和財団海洋政策研究所で日豪関係の深化について講演
2023.01.24

日豪安全保障パートナーシップについて基調講演するリチャード・マールズ豪副首相兼国防大臣
笹川平和財団海洋政策研究所は2022年12月9日、オーストラリアのリチャード・マールズ副首相兼国防大臣をお招きし、インド太平洋地域において共通の安全保障上の課題に直面している日豪両国の関係深化について話し合いました。
笹川平和財団の角南篤理事長は開会のあいさつで、日豪関係の絆の深まりを示すものとして、岸田文雄首相のオーストラリア訪問(10月21日~23日)や、東京での日米豪印(QUAD)首脳会合の開催(5月24日)など、日豪間のハイレベルな交流が加速していることを指摘しました。角南理事長は「インド太平洋の主要国として、日本とオーストラリアは、故安倍晋三首相が提唱した『自由で開かれたインド太平洋』構想を発展させることが期待されている」と述べ、この地域における両国の中心的役割についても言及しました。そのうえで、この講演会が両国の「戦略的パートナーシップのさらなる深化と拡大を促進する」ことに期待を示しました。

角南篤・笹川平和財団理事長
続いて登壇したマールズ副首相兼国防大臣は基調講演を行い、日本が「かけがえのないパートナー」であることを強調するとともに、地域および世界における脅威の増大に直面するなか、オーストラリアは日本との戦略的パートナーシップの深化に取り組んでいることを力説しました。
そして、両国の絆をさらに深める2つの重要な進展を指摘しました。ひとつは「日豪円滑化協定」であり、もうひとつは「安全保障協力に関する日豪共同宣言」です。
日豪円滑化協定は、自衛隊と豪国防軍の相互アクセス・協力を円滑にするために、一方の国の部隊が他方の国を訪問し協力活動を行う際の地位などを定めるものです。一方、安全保障協力に関する日豪共同宣言は、日豪の主権と地域の安全保障上の利益に影響を及ぼしうる緊急事態について、相互に協議し対応措置を検討すると明記しています。
マールズ副首相兼国防大臣は、これらの協定などによって自衛隊と豪国防軍の相互運用性が高まるだけではなく、米国を含めた3カ国間の協力強化が促進されると主張しました。さらに統合防空ミサイル防衛能力や、太平洋地域における人道支援などをめぐる協力の拡大も促進されると述べました。
そして、両国の絆をさらに深める2つの重要な進展を指摘しました。ひとつは「日豪円滑化協定」であり、もうひとつは「安全保障協力に関する日豪共同宣言」です。
日豪円滑化協定は、自衛隊と豪国防軍の相互アクセス・協力を円滑にするために、一方の国の部隊が他方の国を訪問し協力活動を行う際の地位などを定めるものです。一方、安全保障協力に関する日豪共同宣言は、日豪の主権と地域の安全保障上の利益に影響を及ぼしうる緊急事態について、相互に協議し対応措置を検討すると明記しています。
マールズ副首相兼国防大臣は、これらの協定などによって自衛隊と豪国防軍の相互運用性が高まるだけではなく、米国を含めた3カ国間の協力強化が促進されると主張しました。さらに統合防空ミサイル防衛能力や、太平洋地域における人道支援などをめぐる協力の拡大も促進されると述べました。

リチャード・マールズ副首相兼国防大臣
マールズ副首相兼は「この2つの協定などにより、日本とオーストラリアは、戦略的連携にふさわしい防衛・安全保障協力を確かなものとする2国間体制を構築することができた」と述べるとともに、安全保障環境の変化に対応し両国が、国家防衛戦略の積極的な見直しを行っていることにも言及しました。
マールズ副首相兼国防大臣はまた、ロシアのウクライナ侵攻や中国の軍備拡張など、日本とオーストラリアがともに直面する共通の脅威について警告するとともに、中国については軍備増強を第二次世界大戦後、最大規模と位置づけ「日本とオーストラリアが存続している戦略的状況に影響を与える、最も重大なファクターである」と述べました。
基調講演後、マールズ副首相兼国防大臣は笹川平和財団海洋政策研究所の阪口秀所長と対談し、2021年に締結されたオーストラリア、英国、米国の安全保障協力の枠組みであるAUKUSに言及し、この協定はオーストラリアによる原子力潜水艦の取得を後押しするだろうと述べました。
マールズ副首相兼国防大臣はまた、ロシアのウクライナ侵攻や中国の軍備拡張など、日本とオーストラリアがともに直面する共通の脅威について警告するとともに、中国については軍備増強を第二次世界大戦後、最大規模と位置づけ「日本とオーストラリアが存続している戦略的状況に影響を与える、最も重大なファクターである」と述べました。
基調講演後、マールズ副首相兼国防大臣は笹川平和財団海洋政策研究所の阪口秀所長と対談し、2021年に締結されたオーストラリア、英国、米国の安全保障協力の枠組みであるAUKUSに言及し、この協定はオーストラリアによる原子力潜水艦の取得を後押しするだろうと述べました。

対談中のマールズ豪副首相兼国防大臣(左)と阪口秀笹川平和財団海洋政策研究所長
マールズ副首相兼国防大臣は、AUKUSを「オーストラリアが構築を目指す広範なネットワークの一部であり、日本がその中心となる能力・技術パートナーシップ」であると位置づけました。日本の関与について聞かれると、この協定が新しい技術を期待どおりに実現するということを、現在の締約国が確認することができれば可能性はあるとし、「私たちの行っている取り組みに日本も関与する機会は絶対にあると思う。イギリスやアメリカも同じ考えだと思う」と述べました。
【参考情報】
こちらの記事の英語版は2023年1月13日にSPFの英語ウェブサイトで公開されました。
こちらからお読みいただけます。
The “indispensable” strategic partnership between Japan and Australia
【参考情報】
こちらの記事の英語版は2023年1月13日にSPFの英語ウェブサイトで公開されました。
こちらからお読みいただけます。
The “indispensable” strategic partnership between Japan and Australia