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ニュース

新型コロナウイルスの世界的流行下でのインドにおける女性とフェミニズム

ズバーン社ディレクター、ウルワシ・ブタリア氏へのインタビュー

笹川平和財団


2020.07.06
――今、デリーにいらっしゃるわけですが、新型コロナウイルスの世界的流行のさなか、いかがお過ごしなのか、また現在、周囲の状況がどうなっているか教えていただけますか

 私たちを取り巻く状況はあまり良くありません。ご存知のように、非常に厳しいロックダウンの第4期が終わり、活動を再開したばかりです。(3月25日に一斉に開始した)ロックダウンはその実施のわずか4時間前に通告され、大きな混乱と政情不安を引き起こしました。多くの産業が一夜にして閉鎖されましたが、彼らが採用している労働者の大半は、地方から出稼ぎにきた非正規の移民労働者です。突如、数百万人の人々が一夜にして失業したのです。それにより、極度の不安と貧困が発生しました。彼らは失業しただけでなく、家賃を支払える貯えがないからと家主たちが彼らを追い出しました。そのため、デリーやほかの大都市から労働者が大量に流出したのです。本当に悲惨な状況です。
 (6月に入りロックダウンが徐々に解除され)このように活動を一部再開したわけですが、人々が経済を再開させる必要性を認めている一方で、ここにきて感染者数がインドで急激に増えているため、さらに混乱が生じています。人々は外出してもよいのか、仕事に出かけるべきなのか、どれほど安全なのか、何が起こっているのか、よくわかっていません。皆一様に、感染者数の上昇カーブが落ち着くのを待っているわけですが、今のところ落ち着いてはいません。これから何が起こるのかわかりませんが、人々はしばらくすれば事態が落ち着くだろうと考えています。せめて期待が持てることのひとつが、インドにおける死亡率は世界のほかの地域に比べて極めて低いということです。
 私たちのような出版社の活動について言えば、書店が軒並み閉店し、印刷所が閉鎖され、州境をまたいだ印刷所と出版社の間の供給ラインが分断されているため、同じく多大な影響を受けています。状況は芳しくありませんが、事態が好転することを期待しています。

――新型コロナウイルスの世界的流行は特に女性にどのような影響を及ぼしているでしょうか

 女性については、パンデミックとロックダウンの結果、特に影響を被っていることが明らかになっています。その他の国々と同様、DV(家庭内暴力)の割合が増えています。人々が四六時中家にいて、例えば外出して近所で過ごしたり、日に数時間仕事に出かけたりするなどしてその鬱憤を晴らす場所がないためです。インドはその大部分が貧しい国であり、家が小さく、人々が狭い場所に一緒に暮らしているため、DVの件数が増える結果につながっています。
 女性たちが直面しているもうひとつの問題が、インドでは男性に比べて女性の携帯電話所有率が極めて低い上に、DVを訴える相談に対応する緊急電話サービスがコロナに関する医療上の緊急電話に取って代わられ中断してしまったこともあり、DV被害を報告することがほとんど不可能である、ということです。
 さらに、インドでは、病院の看護師や村の人々への支援従事者を含むケアワーカーの75%が女性です。このような医療従事者は患者に接触することも多く、また、生理用ナプキンや食料などを村から村へと配給して回っているため、感染の危険性が極端に高いのです。
 パンデミックはまた、女性の生計手段にも影響を及ぼしています。インド経済のおよそ9割は契約書を交わさず、また雇用の保障もないインフォーマルセクターの労働者が生み出しています。このような人々は大半が(地方からの)出稼ぎ移民労働者であり、その労働力の大部分は女性です。加えて、賃金の平等を定めた法律が施行されているにもかかわらず、女性の給与は男性よりもはるかに低く、インフォーマルセクターにおいてはその傾向が顕著です。雇用が崩壊したときに真っ先に首を切られるのは女性であるため、女性は極めて弱い立場にあります。現在、男性も女性も同じく失業していますが、女性は生計を立てる手段を失い、家事負担が極端に増えているため、女性の方がはるかに影響を受けているのです。
 また、安全に出産するための産婦人科の医療サービス、ここにはインドにおいて女性が勝ち取った権利の一つである中絶手術も含みますが、女性が医者にかかる必要のあるその他の婦人科の問題もすべて、パンデミックの今、中断しています。製造ラインが閉鎖されているため、避妊具の製造も大きく影響を受けています。このことが女性の健康状態にも影響しており、長期的な影響となっています。

――パンデミックが女性に及ぼした多大な影響を考えた場合、パンデミックと戦う女性、またはその余波に対処する女性の役割はどのようなものだとお考えですか。この文脈におけるフェミニズム運動の役割についてはいかがでしょうか

 インドにおけるフェミニズム運動は、女性に関する問題を提起し、国が忘れがちな事柄を指摘する最前線に常に立ってきました。例えば、大都市を離れざるを得なくなった出稼ぎ移民労働者についてのニュースを初めて聞き、大勢の貧困層の人々が水や食料を求めてさまよっている悲劇的な写真を目にしたとき、これらの集団に女性が多いことをマスコミに対して指摘したのは女性運動家たちでした。現在(の報道の多くは)、男性に焦点が絞られているため、女性は見えない存在となっています。男性が影響を受けやすくないと言うわけではないですが、そこには女性労働者もいることを指摘することは大切だと思います。
 さらに、わたしの住むデリーの女性運動家たちは、パンデミックのかなり早い段階でデリーの州知事に陳情書を書き、パンデミックにおける女性の極端な脆弱性について注意を払うよう求めました。また、州知事に対して何かしらの計画を実施し、こういった問題について予算を割くよう求めています。
 また、フェミニズム運動(に従事する女性運動家たち)は、女性に救援物資を提供すべく現場で活動しています。彼女たちは、女性が必要とする衛生用品をその救援物資に含めるよう活動している人々です。彼女たちはまた、組織的なプロセスが存在しない現地でのデータ収集や情報収集を行うという重要な任務を負っています。
 また、女性運動家は訴訟を起こしています。出産を控えた妊産婦に対して政府が救急車を提供することを求めてインド政府を提訴しているグループもいます。いまや、すべての救急車が新型コロナウイルスの患者のために準備されてしまっているからです。フェミニズム運動のおかげで、こういった動きが可視化されていると思います。

――では、ここで笹川平和財団のアジア事業グループが取り組んでいる事業に話を移したいと思います。ズバーン社と笹川平和財団はさまざまな活動で連携しています。北東インドの若い研究者や作家に対して助成金を提供したり、書籍を出版したりして、成果を上げてきました。こういったプロジェクトのひとつが、最近開催された「女性の目線で(Through Her Lens)」と呼ばれる写真展です。このプロジェクトについて教えてください。また、このプロジェクトは現在のパンデミックの状況下でどのように実現されていますか

 ここ数年は、インド北東部の各州に特化して笹川平和財団と連携してきました。インド北東部は8つの州から構成されていますが、これらの州は、民族的にも人種的にも、いわゆるインドの「主流」と異なり、周縁化されてきたという意味で似通っています。私たちはこれらの州を対象に、地元のアーティストや作家、詩人、舞台俳優、若い研究者たちと共同で制作を行ってきました。
 実に多くの活動が進行中ですが、その中でも、今おっしゃった、「女性の目線で」という写真展は、新型コロナウイルスの世界的流行から直接派生したものです。このプロジェクトで、ズバーン社は知識のプロデューサーであり、キュレーターであり、発信者です。これがこの活動におけるわたしたちの役割であり、(写真を通じ)フェミニズム運動がこれまで築いてきたものや、今のような状況を確実に記録しておくことが重要であると感じています。それによって、現場の女性の経験から学ぶことができるからです。
 「女性の目線で」は、北東部の各州の若いアマチュアの女性カメラマンだけでなく、ベテランの女性カメラマンにも参加してもらい、写真という媒体を通じ、新型コロナウイルスの世界的流行の結果起こっているロックダウンの影響を視覚化して記録することを試みています。家庭で何が起こっているのか、家庭内の女性に何が起こっているのか。このプロジェクトは人々の親密な暮らしぶりを(中から)カメラで記録することで、その壁を超えようとするものであるので、とても興味深いものです。これらの写真はその後、オンライン上の写真展の一部として毎週アップロードされ、として一般公開されます。また、私たちはこれらの展示と関連した数々のウェブセミナーも企画・開催しています。ウェビナーでは若いカメラマンがベテランカメラマンと交流し、写真に関する幅広い話題についてディスカッションもしています。
 また、ズバーン社は、笹川平和財団アジア事業グループを通じて、北東部のその他の団体と連携して、新型コロナウイルスのなかで暮らす現場の女性たちの物語を収集する取り組みを始めます。まず、救援物資を配布する女性活動家が村人たちから様々なストーリーを収集します。その後、この危機的状況において何が起こっているのかについての貴重なアーカイブや資料となるよう、これら収集したストーリーを文書化し、写真とともにまとめる予定です。

――この種のプロジェクトから生まれることを期待する長期的な効果はどのようなものですか。また、今後の計画はどのようなものですか

 私たちは、プロジェクトがどのようなものであれ、単なる一過性のものを超えた、より大きな枠組みに当てはまるよう、常に心がけてきました。わたしたちは、女性の声がかき消されないよう、女性の視点から、女性の物語を収集し、芸術や写真、活動の交流を促すことが非常に重要であると考えているのです。現在のような状況では、危機が世界を支配し、最も立場の弱い人々の声がかき消されがちです。このような声を生かし続けることはわたしたちの責務であり、だからこそ女性に目を向けるとき、わたしたちはそのなかでも、極貧の人々や障害を持った人々、遠いところに住んでいるために国の支援を受けられない人々といった最も立場の弱い人々に目を向けているのです。これらはみな、わたしたちにとって大切なことです。
 この取り組みのひとつの側面は情報を収集し、文書化して、女性たちに実際に起こっていることを記録することです。もうひとつの側面は、その情報から得たことを用いて、政策に携わる人々ともきちんと意思疎通を行うことです。わたしたちはより広範囲での対話に携わることでこれを実現しなければなりません。これは必ずしも国との直接の対話だけでなく、国に影響を及ぼすことのできる当事者との対話を含みます。わたしたちはこの情報を彼らに対して開示し、通常は周縁的であるために政策に結実しない事柄や、わたしたちが収集している芸術作品や小説、女性の作品、写真といった政策にとって価値がないと思われている事柄の重要性を強調していこうと思っています。
 「女性の目線で」はこの取り組みの一環であり、写真を通じて記録しようとする試みです。すでに多くの注目を集めており、ネパールから連携したいという声が寄せられ、インドのその他の地域からも同様のプロジェクトを実施したいという要望を受けています。そういった要望は、さまざまな意味で現在だけでなく今後も貴重なものであると思っています。
ウルワシ・ブタリア氏は作家・編集者。インド初のフェミニズム系出版社「Kali for Women」の共同創設者のひとりであり、現在は出版部門であるズバーン社を率いている。長らくインドにおける女性運動に関わり、フェミニズムやジェンダー問題についても幅広く執筆している。代表作には、インドの分断について書いた『沈黙の向こう側:インド・パキスタン分離独立と引き裂かれた人々の声』(邦訳:明石書店)があり、その功績をたたえ、パンドラ出版賞や日経アジア文化賞、フランスの芸術文化勲章、ドイツのゲーテ・メダル、ポーランドのベネ・メリト賞、インドのパドマ・シュリ賞など多くの賞を得ている。現在、デリー在住。

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