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海洋政策研究所(海洋政策実現部)

第6回海洋安全保障シンポジウム
我が国の海洋安全保障と今後の海上防衛力の役割

ジャーナリスト 鈴木順子


2019.09.20
16分


 笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI)および水交会は2019年7月23日、第6回「海洋安全保障シンポジウム」を開催しました。米中対立など最近の国際情勢と昨年末に改訂された防衛計画の大綱(30大綱)の内容を踏まえ、「我が国の海洋安全保障と今後の海上防衛力の役割」をテーマに、海上防衛の現場での実務経験を有する現職自衛官・水交会会員、海洋安全保障分野の研究者が忌憚なく議論しました。

海洋安全保障に資する海上自衛隊の活動――第151連合任務部隊(CTF151)とインド太平洋方面派遣訓練

 角南篤OPRI所長の挨拶につづいて、統合幕僚監部防衛計画部副部長の福田達也将補による基調講演がありました。海上防衛力の役割を明示し、その具体例である海上自衛隊(海自)が実施するソマリア沖・アデン湾において海賊対処の任務に当たる多国籍部隊の第151 連合任務部隊(CTF151)司令部の活動および海自のインド太平洋方面派遣訓練の活動について、自身がそれぞれ司令官、指揮官を務めた経験をもとに動画やエピソードを交えて詳述してくださいました。
 
 福田将補によると、海自の活動方針、つまり海上防衛力の役割は「我が国の領域および周辺海域の防衛」「海上交通の安全確保」「望ましい安定した安全保障環境の創出」。この3つの柱が「国家安全保障戦略」に示された理念「国際協調主義に基づく積極的平和主義」を体現し、日本の近海からマラッカ海峡を通りペルシャ湾に至るシーレーンにおける海洋安全保障を確立するために果たすべき役割です。また、この役割を果たすことは政府が推進する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現にもつながります。
統合幕僚監部防衛計画部副部長の福田達也将補による基調講演

統合幕僚監部防衛計画部副部長の福田達也将補

 福田将補が指揮官を務めたCTF151司令部は世界11カ国から派遣された総勢25名で編成され、2017年3月9日~6月28日の活動期間中、警戒監視・情報収集および各種訓練を行うとともに、国際会議への参加や、部隊指揮官が関係国、関係国際組織などの要人を訪問し、海賊対策の推進を訴えるキー・リーダーシップ・エンゲージメントなどに従事しました。就任直後の3月13日には5年ぶりに海賊による商船の乗っ取り事案が生起し、在任中7件(内、乗っ取り成功事案4件)の事案に対処されました。

 また、インド太平洋方面派遣訓練は、海自の護衛艦3艦と搭載航空機、乗員約800名で編成する部隊で、2018年8月31日に出国、フィリピン、インドネシア、スリランカ、インド、シンガポールに寄港。その間、訪問国海軍及び米、英等海軍との共同訓練を実施し、10月26日に帰国。訓練を通じて「諸外国海軍との連携強化や相互運用性、さらに部隊としての戦術技量の向上を図った」ことを成果として示し、「海自は今後も海上防衛力の役割の一環として、こうした活動を推進することで、FOIPの実現に貢献し、あわせて地域の海洋安全保障に寄与する」と決意を表されました。

 つづいて、4名のパネリストによる発表がありました。

FOIPの変遷と展開

 OPRI特任研究員の相澤輝昭氏はFOIPに関する政府文書を丹念に読み解いた上で、「FOIPは安倍政権の一連の外交戦略の端的なイメージを示す用語として言えば、開発協力と多国間の安全保障協力をリンクさせた外交戦略」と説明します。一方、FOIPは「呼称が『戦略(strategy)』 から『構想(vision)』 に変更されたほか、『三本柱』の内容が修正され、また30大綱に記載されるなど、現在進行形の概念」であり、引き続き注視する必要があることを指摘しました。

 また、中国との関係においてFOIPが、本来的に二面性を内包する「わかりにくい」ものであることについては、これは「中国の一帯一路(Belt and Road Initiative:BRI)をいわば無害化するもの」で、「部分的協力の目は残し、中国外交を無害化しつつ、中国の変化を待つことが肝要」と論じる北岡伸一国際協力機構(JICA)理事長の論考「インド太平洋構想 自由と法の支配が本質」(注)が「示唆的」と紹介しました。

 さらにFOIPの将来について、「その理念は普遍的な『海洋の自由』を基軸にしている。それが英仏をはじめ域外国がFOIPに関与する際のインセンティブになっている。将来的にFOIPは『自由で開かれた世界の海(Free and Open Global Ocean: FOGO)』を目指すべき」との見解を示しました。最後にOPRIの新たなプロジェクト「海を守る新たな国際構造の創出に係る研究」を紹介し、「FOIPはプロジェクトの主題『新たなシーレーンをつなぐBlue Infinity Loop(BIL)』における新たな理念形成の試金石になる」との考えを示しました。

中国の視線、関係国の視線からみたBRI

 中国は世界をどうみているのか。東京大学大学院総合文化研究科の川島真教授は次のように説明します。
 
 「習近平国家主席は『既存の世界秩序に敵対する』とは決して言わない。『国連と国際法は支えるし、従う』けれども、『米国を中心とする安保体制や西側諸国がつくってきた価値観は支持しない』という言い方をする。ただ、世界経済貿易秩序は支持するし、開発途上国の代表という自己認識をもっている」。
 
 先進国の形成してきた秩序に対して「修正主義」の立場をとる中国の規定する世界秩序像の一つは、経済力を中心につくりあげる「新型国際関係」です。これは「習国家主席の提唱する概念で、ウィンウィンの経済関係をベースにパートナーシップをむすび、さらに運命共同体を形成するというもの。2049年には人類運命共同体ができるという」。注意すべきは、「BRIは新型経済関係の実験場であると位置づけていること」。
 
 つまり、BRIは「まず『経済活動』として理解する。ユーラシアやアフリカにおける交通などコネクティビティ(連結性)を中心に高いインフラ需要に応えるもの。もう一つの重要な論点は、『中国にとっての海上防衛とシーレーン』で、有事に備えてインド洋から国内に向けるパイプラインを建設し、また、ジブチ共和国の港に軍事基地をつくり、パキスタンのグワダルやスリランカ南部のハンバントタなど沿岸国の港湾を確保してシーレーンを守るもの」と解説されました。

 また、2018年10月に日中間で52の第三国協力案件がスタートしたことを挙げ、「これがBRIとFOIPの『のりしろ』になるかどうか。日本はFOIPを、中国と経済協力するタイプと中国に対峙するタイプの2段階に分けているようにみえる。ここを中国に対してどう説明するのかを考える必要がある」と指摘されました。

アジアで活動する英海軍――FOIP域外国の視点

 海上自衛隊幹部学校防衛戦略教育研究部長の寺田博之1等海佐は、ポスト冷戦期の国際安全保障における英海軍を振り返り、「その前半は海軍の役割は限定的だったが、2008年頃から海賊対処や移民の海洋での遭難事案に関与しはじめ、プレゼンスが高まった」と解説しました。
 
 同時に、「2010年頃からアジアへの回帰もみられ、経済面では中国に懸念を抱きつつも期待をもって接近し、安全保障面では欧州連合(EU)離脱を見すえ、新たな国際的役割をアジアに見出そうとしてきた。注目すべきは2019年1月、日英首脳会談の共同声明で、インド太平洋地域や海洋安全保障協力が強調されていること。実際、英海軍は、2018年に北朝鮮の『せどり』を含む海洋の不法行為に対してフリゲートを派遣し、東シナ海を含む日本の周辺海域で警戒監視活動を行っている」。一方、「英海軍が極東に関与する上での制約や懸念もある。その第一はリソースとアセットの問題。英海軍は駆逐艦とフリゲートを合わせて19隻しか保持していない。その内の1隻を極東に配備するのは、持続可能とは思えない」と指摘されました。
 
 こうした状況の中で、「英国は『FOIPに関与する』とは言わず、『アジア太平洋に関与する中で、海洋安全保障も大きなトピックの一つである』という言い方をする。域外国である英国をFOIPに引き込む上では、ナラティブ(物語)を重視すべき。英国は、「法による支配」「力による現状変更の阻止」など普遍的価値のナラティブがあれば関与しやすい。一方、「BRIに対するカウンター」「米中覇権争いの一翼を担う」というと腰が引けてしまうだろう」との見解を示されました。

30大綱・中期防衛力整備計画(31中期防)からみる海上自衛隊―FOIPへの貢献

 水交会研究委員会の池田徳宏委員によると、昨年末に策定された30大綱・31中期防で海自の水上艦艇部隊の編成は大きく変更されています。
 
 その意図について、「30大綱において、日本の防衛力の強化策として、宇宙やサイバー、電磁波などの新たな領域や陸・海・空等の従来領域を含むすべての領域における能力を有機的に統合する多次元統合防衛力を構築するとし、その果たすべき役割の第1は、平時からグレーゾーンの事態への対応、第2は、島嶼部を含む日本に対する攻撃への対応と記されている」ことを示し、「この役割を果たすため、冷戦後、長らく有事所用でなされていた防衛力整備を、平時からグレーゾーンの事態の任務にも備える方向へと転換し、新型護衛艦(FFM)を含む新たな水上艦艇部隊が編成され、哨戒艦12隻が加えられるのだろう」と分析されます。
 
 日本の周辺情勢と海自の活動については、東シナ海において、「2012年10月に日本政府が尖閣諸島国有化宣言をして以降、中国公船が尖閣諸島周辺に常時展開、海上保安庁と対峙し、その外郭では中国艦艇と海自の護衛艦が常時対峙するに至った。この厳しい状況は今後も続くと考えられ、海自の継続能力、持続性、強靭性が試されている」。一方、インド太平洋地域においては、「2001年以降テロ対策特別措置法に基づいて、さらに2009年以降は海賊対処のために護衛艦等が派遣され、18年間シーレーンにプレゼンスを保ち続けている」ことを明らかにされました。
 
 こうした活動に加えて、海自はASEAN地域フォーラム(ARF)などの地域機構、二国間・多国間訓練の参加、防衛協力・交流、能力構築支援などを実施していることを示し、「これら活動は自由で開かれた海洋秩序の常識の顕示・伝承であり、海自は引き続き全力で推進していくことを考えている」と解説されました。

パネルディスカッション FOIPをめぐる国際関係

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

 つづいて、OPRI客員研究員の倉持一氏がモデレーターとして加わってパネルディスカッションがありました。
 
 倉持氏から「中国の研究者などから、FOIPは自由で開かれたものというのに、なぜ中国を入れないのか、という疑問が呈されることがある。また、中国は国際法は守らないとはいっていない。ただ、独自の解釈をしている。そういう立場にある中国を、FOIPに取り込んでいくのか、あるいは拒絶するのか。どう考えるべきか」と提起しました。
 
 相澤氏は「FOIPは包括な国際秩序として、中国を取り込むことを考えるべき。そのために、まずは日本がやろうとしていることをきちんと伝える。そして、できるところから協力する。法の支配など理念のとらえ方にギャップがあるなら、すり合わせていくことが肝要だ」、寺田1佐は「FOIPの価値の面を前面に出して、最終的には中国を取り込むという姿勢を示すことは、国際世論の支持を得やすいという意味で悪くはない」との見方を示しました。
 
 一方、池田委員は「令和の時代は現状の国際秩序を是とする陣営とそれを変更していこうとする陣営それぞれが、どう生き延びていくかという時代。FOIPは前者なので、後者の国を取り込むことは考えていないのではないか」と異なる見解を述べました。
 
 川島教授は「問題は米国」だと指摘。「米中対立が激化する中で、中国を取り込むという発想を日米でシェアできるか。米国ではFOIPの中に台湾を位置づけようという議論もある。日本は中国を取り込むべきとは思うが、難しい」とし、「せめて経済面においては中国とののりしろをつくるようにできないか」と重ねて強調しました。
 
 「日米同盟がある中で、英国は東アジアの海洋安全保障にどのような距離感でコミットしようとしているのか」との倉持氏の問いに対して、寺田1佐は「英海軍が東シナ海への艦艇の派遣を決めたのは、米英関係を考慮した部分もあるだろう」と、また池田委員は「欧州の国々にとって、アジア地域でプレゼンスを示すことは重要。英国は東アジア地域に艦隊を置く価値を認めているのではないか」と分析されました。
 
 さらに「現在の大綱、中期防が積み残している課題」について問われると、池田委員は「自由で開かれた海洋秩序をどうとらえて海自の任務として確立していくのか、という部分が薄い。海自は中国の艦隊と対峙し、日々さまざまな事象が起こっている現実の中でどうすればよいのか。こうした点も大綱に明示されていることが必要だ」と率直に指摘しました。
 
 ディスカッションではほかにも、パートナーとしてのインド・豪州の見方、新たな関係を築きだした中印、民主化と経済発展の問題、米中対立の落としどころなど話題の幅をひろげ、さらに議論を深めました。
 
※文末注
注 2018年12月17日付『読売新聞』掲載。


海洋政策研究所(海洋政策実現部)
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