震災復興へ想いをつなぐ日中交流
中国の無形文化財保護団体が輪島漆芸技術研修所に漆を寄贈
笹川平和財団(東京都港区、理事長・角南篤)は、3月3日(月)、昨年1月に能登半島地震により甚大な被害をうけた現地の伝統工芸関係者を支援するため、石川県立輪島漆芸技術研修所で寄贈品贈呈式を実施しました。
笹川平和財団の会議室で開かれたワークショップ
2001年以来、DCDCの未来・戦略分析室は将来のグローバルな安全保障環境を形成する主要要素の特定に向けた研究を重ね、研究結果を「Global Strategic Trends(GST)」というレポートシリーズの形にまとめて発表しています。レポートは、今後30年間に起こり得る戦略的な課題を政策立案者に知らしめ、不透明な状況において柔軟に対応できるよう意識喚起を行い、台頭が見込まれる問題に対して早期介入による解決を促すことを目的として作成されています。
未来・戦略分析室長のユーウィン・マーチソン氏(英国海兵隊准将)は、笹川平和財団とのインタビューで「未来を知り、今、新たな動きを生み出すのです」と述べています。未来・戦略分析室では、未来のトレンドを分析することで、問題が拡大するまで放置するのではなく、先んじて対策を講じるよう政策立案者に働きかけたいと考えています。この戦略は、最終的に介入のコストを低減させ、成功の確率を上げることになります。たとえば気候変動のケースでは「10年、15年と手をこまねいていれば、問題はますます複雑で難しくなるため、気候変動対策のコストとしては40%または50%も増大する可能性があるものがあります」と指摘しました。ワークショップでは、DCDCの研究の目的と2018年11月に発行されたDCDCレポートシリーズの最新版「GST 6」の主な研究結果についての報告を受け、特にインド太平洋地域の安全保障に対する影響について活発に討論を行いました。「GST 6」の中心的な結論のひとつは、主要な安全保障のトレンドの多くは、必ずしも目新しいものではないが、不安定性の高まりとその変化の速度が、これまでにない形で国内安全保障と国際安全保障を脅かしているというものです。マーチソン氏は次のように警告しました。
「現在の変化のペースと不確実性のレベルでは、健全な統治と調和を維持できない可能性があります。テクノロジーによって、極めて速いペースで変化が起きているため、今すぐに対策を講じる必要があります」
レポートにて報告される戦略トレンドについての理解を育むため、「GST 6」には「Future Worlds(未来の世界)」という新たな分析も含まれています。このセクションでは、支配的な勢力均衡と国際的なアクター間の協力の度合いによって決まる世界秩序として、考えられるいくつかのパターンを提示しています。具体的なシナリオとして、国家と国際機関がグローバルガバナンスの安定したシステムを実現できる「多国間主義」、主要な友好国間で連合体が形成され、連合体間の対立によって支配的な勢力均衡が決まる「多極化」、国家と非国家主体が協力してグローバルガバナンスを実現する「アクターネットワーク」、国際的なアクターが、それぞれの利益を求めて公然と対立する「フラグメンテーション」の4つを挙げています。
ワークショップでは、「GST 6」で示したシナリオが国際秩序に与える影響についても検討を行いました。具体的には、ルール基盤の体制に対する現在の課題と、強国間の対立が、気候変動や組織犯罪、その他の国境を超える問題など、多国間の取り組みが必要な課題で協力を阻害する可能性について討議しました。また、経済成長の持続や不平等の解消など、台頭するその他の課題に国家はどう対応していくのかという課題も提示され、これらの未来の課題に対応するには、現在の協調的アプローチを維持・促進していく必要があることが強調されました。
インド太平洋地域については、ロシアの勢力の変化がもたらし得る影響、中露間の今後の軍事関係、経済成長と人口増大を背景にインドが未来の強国として台頭する可能性など、複数のトレンドについて論議しました。その他には、地域秩序や世界秩序に関して中国が果たす役割がある可能性や、米中関係が地域の安全保障に与える影響についても論議しました。