震災復興へ想いをつなぐ日中交流
中国の無形文化財保護団体が輪島漆芸技術研修所に漆を寄贈
笹川平和財団(東京都港区、理事長・角南篤)は、3月3日(月)、昨年1月に能登半島地震により甚大な被害をうけた現地の伝統工芸関係者を支援するため、石川県立輪島漆芸技術研修所で寄贈品贈呈式を実施しました。
笹川平和財団(会長・田中伸男)の海洋政策研究所は12月13、14の両日、フランスの戦略研究財団(FRS)と「2018年 日仏海洋セミナー」を共催し、海洋政策における日仏両国による協力の可能性とあり方について、インド太平洋地域を中心に討議しました。
日仏は1974年以来、40年以上にわたって、海洋学分野での協力関係を築いてきましたが、両国が海洋政策に関する包括的なセミナーを共催するのは今回が初めてです。
日仏セミナー出席者
セミナーの開幕に際し、FRSのジャビエール・パスコ所長は「海洋というテーマは、まさに将来の社会情勢を決めていく大切な問題です。海洋は協力と戦略、競争と対立が生まれる空間です。共有の空間としてどう分かち合うのか、国際的な協力が重要であり日仏でやっていきたい」と挨拶しました。
「日仏両国の海洋基本政策」と題する基調講演では、内閣府の総合海洋政策推進事務局長、重田雅史氏が日本の海洋政策について、「総合的な安全保障対策を打ち出していく必要がある。また、プラスチックごみの問題では各国と協力し、支援に対する枠組みを考えていきたい」と述べました。一方、フランス首相府の海洋事業局次長、パトリック・オージェ氏は「フランスは海洋に関するノウハウを蓄積しており、海洋生態系の豊かさでは世界で第1級レベルです。海洋科学の研究も進んでおり、こうした潜在力を活用することはフランスの義務です」と指摘しました。
セミナー風景
セミナーでは両国の政府、民間研究機関の専門家と実務者らが、科学技術や経済、海洋ガバナンス、安全保障の各分野での協力をめぐり、活発に意見を交換し研究成果を発表しました。
「科学技術協力~将来への道筋」を議題とするセッションでは、日仏の海洋学に関する長い協力の歴史、政府間の協力の枠組みである海洋開発専門部会、深海資源開発、潜水調査機器開発プロジェクト等が紹介されました。また宇宙からの海洋監視について、衛星、センサーを使った観測結果が報告され、沿岸域での動態把握や、持続可能な開発に向けた情報の集約、海洋のデータ共有などで協力することが重要だとの意見が出されました。
「ブルーエコノミー~産業協力に向けた好機~」に関するセッションでは、港湾・海事とエネルギーの観点から、日仏両国でのプロジェクトが紹介され、将来的な協力が期待される分野について議論がなされました。
「海洋領域およびガバナンスのための環境政策」に関するセッションでは、気候変動の影響と適応策について、太平洋小島嶼国やと日本を例に、干ばつや沿岸侵食、生態系の劣化などの事例が紹介されました。漁業の現状については、環境保護と資源管理の両立を目指すエコシステムアプローチの必要性が強調されました。
2日目の14日に開かれた「インド太平洋地域における安全保障戦略と協力」のセッションでは、「自由で開かれたインド太平洋構想」に関する日本の基本的な立場と現状が説明され、日本、フランス、米国、オーストラリア、さらには東南アジア諸国連合(ASEAN)や太平洋島嶼国と協力することが重要だとの認識が、強調されました。
セミナー風景