科学技術分野など海洋政策の協力を討議
2018年 日仏海洋セミナーを開催

2019.01.28

 笹川平和財団(会長・田中伸男)の海洋政策研究所は12月13、14の両日、フランスの戦略研究財団(FRS)と「2018年 日仏海洋セミナー」を共催し、海洋政策における日仏両国による協力の可能性とあり方について、インド太平洋地域を中心に討議しました。

 日仏は1974年以来、40年以上にわたって、海洋学分野での協力関係を築いてきましたが、両国が海洋政策に関する包括的なセミナーを共催するのは今回が初めてです。

SPF's expert seminar showcased new research into the impact of China's Belt and Road Initiative
日仏セミナー出席者

 セミナーの開幕に際し、FRSのジャビエール・パスコ所長は「海洋というテーマは、まさに将来の社会情勢を決めていく大切な問題です。海洋は協力と戦略、競争と対立が生まれる空間です。共有の空間としてどう分かち合うのか、国際的な協力が重要であり日仏でやっていきたい」と挨拶しました。

 「日仏両国の海洋基本政策」と題する基調講演では、内閣府の総合海洋政策推進事務局長、重田雅史氏が日本の海洋政策について、「総合的な安全保障対策を打ち出していく必要がある。また、プラスチックごみの問題では各国と協力し、支援に対する枠組みを考えていきたい」と述べました。一方、フランス首相府の海洋事業局次長、パトリック・オージェ氏は「フランスは海洋に関するノウハウを蓄積しており、海洋生態系の豊かさでは世界で第1級レベルです。海洋科学の研究も進んでおり、こうした潜在力を活用することはフランスの義務です」と指摘しました。

セミナー風景
セミナー風景

 セミナーでは両国の政府、民間研究機関の専門家と実務者らが、科学技術や経済、海洋ガバナンス、安全保障の各分野での協力をめぐり、活発に意見を交換し研究成果を発表しました。

 「科学技術協力~将来への道筋」を議題とするセッションでは、日仏の海洋学に関する長い協力の歴史、政府間の協力の枠組みである海洋開発専門部会、深海資源開発、潜水調査機器開発プロジェクト等が紹介されました。また宇宙からの海洋監視について、衛星、センサーを使った観測結果が報告され、沿岸域での動態把握や、持続可能な開発に向けた情報の集約、海洋のデータ共有などで協力することが重要だとの意見が出されました。

 「ブルーエコノミー~産業協力に向けた好機~」に関するセッションでは、港湾・海事とエネルギーの観点から、日仏両国でのプロジェクトが紹介され、将来的な協力が期待される分野について議論がなされました。

 「海洋領域およびガバナンスのための環境政策」に関するセッションでは、気候変動の影響と適応策について、太平洋小島嶼国やと日本を例に、干ばつや沿岸侵食、生態系の劣化などの事例が紹介されました。漁業の現状については、環境保護と資源管理の両立を目指すエコシステムアプローチの必要性が強調されました。

 2日目の14日に開かれた「インド太平洋地域における安全保障戦略と協力」のセッションでは、「自由で開かれたインド太平洋構想」に関する日本の基本的な立場と現状が説明され、日本、フランス、米国、オーストラリア、さらには東南アジア諸国連合(ASEAN)や太平洋島嶼国と協力することが重要だとの認識が、強調されました。

セミナー風景
セミナー風景

 セミナー閉幕後の記者会見で、角南篤・海洋政策研究所長は「これまで日仏は大臣会合や首脳会談を通じ、海洋が両国の非常に重要な課題であるという認識を共有してきた。われわれは海洋政策に関する日本で唯一のシンクタンクとして、日仏2国間の海洋対話を日本で開催しました。一方、FRSは外交や安全保障の研究機関として高く評価されており、フランス政府からも厚い信頼を得ています。セミナーでは各セッションを通じて、世界全体が注目する海洋について包括的な対話ができました。今後もFRSと連携していきたいと思います。」と述べました。

(広報課 宮武知加)

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