政治に広がるSNSの影響力 ―東南アジアと日本の有識者が語る各国事例
笹川平和財団の第1グループ(戦略対話・交流促進)は、2025年3月6日、戦略対話・交流プログラムの一環として「東南アジア諸国と日本の政治におけるSNSの普及と民主主義の変化」と題したオンラインイベントを開催しました。本イベントでは、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、日本における選挙に対するSNSの影響について、5名の専門家による発表をもとに議論が行われました。
2月8日に笹川平和財団ビルで開かれた、北極サークル会長で前アイスランド大統領のオーラヴル・ラグナル・グリムソン氏と、笹川平和財団海洋政策研究所長の角南篤氏による記者会見の要旨は次の通り。
グリムソン氏 北極圏の問題が世界にとりいかに重要か、ということが認識されたのは、つい最近のことです。日本の将来にとって重要です。なぜ日本が北極圏にかかわっていくべきなのか。
北極圏における地球温暖化の速度は速く、氷の融解は日本をはじめとするアジア諸国にも大きな影響を及ぼします。グリーンランドの氷床の20%が解けると、世界全体の海面上昇につながります。海氷が解ければ、カナダやグリーンランドを経由して、アジアと欧州、米国を結ぶ航路が新たにできます。すでに中国と韓国のメジャーな海運業者が参入しており、日本が海運業での現在の地位を維持したいのであれば、新たな開拓に関わらなければなりません。
Q.具体的にどのような貢献を日本に期待しますか。
グリムソン氏 科学技術分野の貢献です。北極圏に関する研究は、数十年の歴史しかありませんが、ロシアも米国もできない、日本だけが貢献できることがあります。北極圏のロシア沿岸を通る航路以外にも、新しい航路が開拓できれば、日数を短縮することができます。新しい港なども必要です。日本の技術に期待しています。
北極域への貢献においては、世界各国のバランスが取れた役割が大事です。アジア諸国の中でのバランスも大事です。中国は「北極政策白書」を発表し、北極海の開発や利用に積極的に関与していくことを示しました。「一帯一路」(中国主導の広域経済圏構想)の一部だとしています。韓国も重要な政策の一つと位置づけています。
Q.日本は出遅れているのではないですか。
角南氏 北極圏の環境は、ものすごいスピードで変化しており、危機感があります。日本はどうするか、という認識は段々高まってきました。中国は「北極政策白書」を発表し、シンガポールは北極圏をめぐる国際的な論議の中で、リーダーシップをとろうとしています。グリムソン前大統領は今回が初来日であるということをひとつとっても、日本がいかに遅れているかということです。
Q.漁業資源に関する日本のデータは、どのように役立ちますか。
グリムソン氏 世界の各漁場の汚染が進んでいます。地球温暖化が進むにつれ、魚が北へ移動しています。アイスランド沿岸にはサバが現れるようになりました。(データ面でも)日本の役割は大きいのです。
Q.日本、韓国、中国に望むことは。
グリムソン氏 3カ国が北極圏に関する定期的な会合をもち、お互いに協力するために対話し、その結果を報告してもらいたいです。