セミナー 第2グループ(平和構築支援担当)
国際シンポジウム

平和と安全保障における女性のリーダーシップ

主催:公益財団法人 笹川平和財団、ジョージタウン大学 女性・平和・安全保障研究所

北アイルランドやリベリアをはじめ、世界各地の経験を振り返ると、武力紛争の終結や持続可能な平和の構築において、女性が果たしてきた役割は極めて大きいことが繰り返し示されています。こうした現実は、1995年の北京世界女性会議以来続いてきた国際的なアドボカシーの集大成として、2000年10月の国連安全保障理事会決議1325号の採択を契機に、世界的な政策課題として広く認識されるようになりました。

その後採択された9つの関連決議とともに構成される「女性・平和・安全保障(WPS)アジェンダ」は、女性の参画が和平合意の持続性を高めること、ジェンダー平等が紛争再発リスクの低減につながることなど、確かな理論的・統計的根拠に支えられています。国連、各国政府、市民社会など多様な主体が連携し、外交的働きかけや国家・地域行動計画の策定、紛争現場での実施が進められてきました。

和平プロセスの現場では、1325号が採択された後も、コロンビアやフィリピンにおいて女性交渉担当者が包括的和平合意の締結に決定的な役割を果たしました。彼女たちは、国家や軍が中心になりがちな従来型の交渉に、より水平的で包摂的な意思決定の文化をもたらしました。近年の紛争、戦争においては紛争被害者の7割以上が女性と子どもと考えられる中で、彼女たちは被害者や地域社会の視点を安全保障の議論に組み込み、戦争の代償をより的確に見極めながら、平和への現実的な道筋をつくり出してきたのです。

しかし、四半世紀が経った今も、世界は紛争の拡大に直面しています。地政学的競争の激化、国際秩序の急速な変化、軍備増強の進行は、「女性の参画を通じた持続的平和」というWPSアジェンダの核心に強いゆさぶりをかけています。加えて、ジェンダー平等への反動が世界的に強まっており、権威主義体制の再興と結びつきながら深刻な影響を及ぼしています。

従来、リーダーシップ研究の分野では、共感力やケア志向、民主的価値の重視など、女性リーダーに多く見られるとされる特性が長く注目されてきました。これらはもちろん性別に限定されるものではありませんが、新型コロナウイルス危機に際し複数の女性首脳が示した優れた対応は、その価値を明確に示すものでした。複雑さを増す安全保障環境においても、世界の女性リーダーはこうした強みを発揮し続けています。

日本においては、初の女性首相が誕生したことを契機に、女性リーダーが背負う重責と、その過程で直面する制度的・文化的課題、さらに女性独自のリーダーシップが今後の国際社会の安定と平和にどのように寄与し得るのかが重要な関心事項として浮上しています。この機会を捉え、各地の紛争解決と和平に尽力してきた女性交渉者やWPSアジェンダをグローバルに主導してきた女性指導者を迎え、「平和と安全保障へ向けた女性のリーダーシップ」について考えます。

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本セミナーで取り上げるポイント

  • 歴史的な和平交渉において、女性リーダーの成功を支えた特質や戦略は何か。
  • 女性リーダーは、WPSの文脈における「安全保障」という概念をどのように問い直し、作り直し、拡大してきたか。
  • 女性運動や女性たちの連合は、平和構築プロセスをどのように支え、女性のリーダーシップを強化してきたか。
  • 平和構築・安全保障分野において女性がリーダーとして影響力を行使する形で参加するためには、どのような制度的・構造的条件が望まれるのか。また、これらの領域で女性がリーダーシップを発揮してきた具体的な成功事例はどんなものか。
  • 平和と安全保障分野で活躍する女性指導者が直面する文化的・社会的障壁―「超男性的な」(Hyper Masculine)グローバルな文化を含むーに対処するには、どのような戦略があるのか

お申込みについて

本セミナーは会場での参加のみとなります。
参加をご希望の方は、3月4日(水) 10時00分までに本ページよりお申し込みください。
※会場の都合により、定員に達し次第、受付を締め切らせていただきます。

※お申し込みの際は、メールアドレスを正しくご入力ください。
お申し込み後に「仮登録確認メール」が届きますので、メールに記載のURLを24時間以内にクリックし、登録を完了してください。登録が未完了のままのお問い合わせが増えておりますので、ご注意ください。

※仮登録確認メールが届かない場合は、「spfpr@spf.or.jp」からのメールが迷惑メールフォルダに振り分けられていないかご確認ください。

※ご入力いただいた個人情報は、当財団が主催または後援するセミナー・講演会等のご案内に使用させていただきます。
事務局
笹川平和財団 第2グループ(平和構築支援担当)
Email:peacebuilding@spf.or.jp
Tel:03-5157-5181

※取材に関するお問い合わせは、経営企画部広報課までお願いいたします。
テレビ取材をご希望の際は、事前にご一報ください。
E-mail:spfpr@spf.or.jp
Tel:03-5157-5389

プログラム

16:00-16:05 開会挨拶
萱島 信子
(笹川平和財団 常務理事)
16:05-17:20 プログラム1:「和平プロセスにおける女性のリーダーシップ」 
登壇者
モニカ・マクウィリアムズ 氏
(ベルファスト/グッドフライデー合意 和平交渉者・調印者)
ミリアム・コロネル=フェレル 氏
(フィリピン政府和平パネル 元委員長)
レイチェル・ジョージ 氏
(ジョージタウン大学 女性・平和・安全保障研究所 研究員)

モデレーター
 中山 万帆
(笹川平和財団 第2グループ 平和構築支援担当 グループ長)
17:20-18:00 プログラム2 :「変化する国際平和・安全保障環境における女性の政治リーダーシップ」
登壇者
メラン・バービア大使
(ジョージタウン大学 女性・平和・安全保障研究所 所長)

インタビュアー
ローヤ・アハヴァン 氏
(国際基督教大学 研究員/FemLEAD・コンサルティング代表)
18:00 閉会
※プログラムについては予告なく変更することがありますので、予めご了承ください。

講演者

萱島 信子
開会挨拶

萱島 信子

笹川平和財団 常務理事

プロフィール

1959年京都生まれ、京都大学文学部を卒業後、独立行政法人国際協力機構(JICA)で主に教育開発事業に従事し、バングラデシュ事務所長、人間開発部長、JICA研究所長、理事等を歴任。その間に、ユネスコ国際教育計画研究所、パリ第5大学DEA課程で学んだ後、名古屋大学国際開発研究科で博士号を取得。日本の教育協力事業の立案や実施に主導的な役割を果たしながら、同時に教育開発や高等教育国際化の研究にも取り組み、多くの学術書や論文を出版してきた。2025年より笹川平和財団常務理事に就任し、アジアとの戦略対話・交流促進・平和構築支援や日中交流事業などを担当する。
(独)JICA緒方貞子平和開発研究所シニアリサーチアドバイザー、(財)本田財団理事、(財)日本国際教育支援協会理事、(財)ケア・インターナショナル・ジャパン理事、(財)放送番組国際交流センター評議員他兼任。

モニカ・マクウィリアムズ氏
プログラム1登壇者

モニカ・マクウィリアムズ氏

ベルファスト/グッドフライデー合意 交渉担当・署名者

プロフィール

モニカ・マクウィリアムズ氏は、1998年のベルファスト/グッド・フライデー合意の署名者であり、彼女が共同創設した政治政党「北アイルランド女性連合(Northern Ireland Women’s Coalition)」の代表として多党間和平交渉に参加した。和平合意後、彼女は北アイルランド立法議会に選出され、その後、人権委員会の主席委員長に任命され、和平合意で求められていた権利章典(Bill of Rights)に関する助言の起草を主導した。
現在は、北アイルランドにおける準軍事組織の解体に関する独立報告委員会の委員、および30年間に及ぶ紛争期間中の国家・非国家主体による犯罪行為を調査する「オペレーション・ケノバ(Operation Kenova)」の委員会の理事として活動。また、彼女は被害者・遺族のためのトラウマセンター「WAVE」や、学校での市民参加を支援する「Politics in Action」のパトロンでもある。
さらに、国際NGO「Interpeace」の議長を務め、コロンビアからミャンマーまで、さまざまな紛争地域で女性リーダーたちとの協働にも取り組んできた。彼女はアルスター大学の名誉教授(Emeritus Professor)であり、同大学の移行期正義研究所(Transitional Justice Institute)では女性に対する暴力について幅広く研究・出版を行った。また、クイーンズ大学の名誉実務教授(Honorary Professor of Practice)、ミシガン大学の卒業生であり、アイルランド王立アカデミーの会員でもある。
彼女は、ジョン・F・ケネディ図書館の「勇気ある行動(Profiles in Courage)」賞や、複数の名誉博士号を授与されている。2021年に出版された回顧録『Stand Up, Speak Out』では、市民権、女性の権利、平和、平等への彼女の揺るぎない取り組みが描かれている。

ミリアム・コロネル=フェレル氏
プログラム1登壇者

ミリアム・コロネル=フェレル氏

フィリピン政府和平委員会 元委員長

プロフィール

ミリアム・コロネル = フェレル氏は、東南アジア女性平和調停者ネットワークの創設メンバーである。彼女は3年間、国連スタンバイ・メディエーターズ・チームの一員として、アフガニスタン、モルディブ、イラク、ジョージアなどの国々における国連ミッションを支援する調停業務に従事し、モロ・イスラム解放戦線(MILF)と2014年「バンサモロ包括合意(Comprehensive Agreement on the Bangsamoro/CAB)」を交渉・締結した政府パネルの議長を務めた。2015年には、平和と安全における女性の地位向上への貢献が評価され、「ヒラリー・ロダム・クリントン賞」を受賞した。
フィリピン大学(UP)政治学部の元教授であり、かつて第三世界研究センターの所長や、UP平和・民主化・人権プログラムの代表も務めた。また、アジアの複数の大学で客員教授としても教鞭を執っている。
現在は、インターナショナル・クライシス・グループおよびインターピースの理事会メンバーとして活動。さらに、ニューヨークのグローバル女性平和構築ネットワーク、バルセロナ統合的移行研究所(The Institute for Integrated Transitions)和平条約イニシアティブ(The Peace Treaty Initiative)、そしてハーバード大学交渉戦略研究所( The Negotiations Strategies Institute)の諮問委員も務める。
フェレル教授は、フィリピンおよび東南アジアにおける民主化、市民社会、人権、和平プロセスに関する著書や学術論文を多数発表。1999年から2004年にかけては、地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)における「非国家主体作業部会」の共同議長を務め、2005年にはノーベル平和賞にノミネートされた「世界の女性1000人」のうちの27名のフィリピン人の一人にも選ばれた。
また、国内の平和運動に積極的に関わり、国連安保理決議1325に基づく「国家行動計画(NAP)」の市民社会主導による策定を共同で主導。フィリピン政府はこのNAPを2010年3月に正式に採択した。
政府パネルの議長として、フェレル教授は 非国家武装勢力との主要な和平合意において、首席交渉官として署名した世界初の女性 となりました。その後も、2016年6月のベニグノ・アキノ三世大統領の任期終了まで、CABの履行監督にあたった。

レイチェル・ジョージ氏
プログラム1登壇者

レイチェル・ジョージ氏

フィリピン政府和平委員会 元委員長

プロフィール

レイチェル・A・ジョージ氏は、ジョージタウン大学「女性・平和・安全保障研究所(GIWPS)」のリサーチフェローとして、女性の参画、開発、平和に関する研究プロジェクトを主導。これ以前には、スタンフォード大学の講師、デューク大学サンフォード公共政策大学院のレクチャリング・フェロー、そしてデューク昆山大学の客員助教授を務めた。また、米国外交評議会(Council on Foreign Relations)では教育コンテンツディレクター、ロンドンの海外開発研究所(ODI)ではリサーチフェローとしても活躍した。彼女は、世界銀行、OECD、UNDP、UN Women、国連テロ対策実行局など、多くの国際機関と連携して研究を行ってきた。彼女の研究や論考は、『Foreign Policy』『Just Security』『The Washington Quarterly』『Human Rights Review』など、さまざまな書籍や学術誌に掲載されている。プリンストン大学で政治学の学士号、ハーバード大学で中東研究の修士号、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で国際関係学の博士号を取得。

中山 万帆
プログラム1モデレーター

中山 万帆

笹川平和財団 第2グループ 平和構築支援担当 グループ長兼主任研究員

プロフィール

1996年より国際交流基金に勤務し、主に東南アジアと南アジアにおける知的交流、日本研究、芸術交流プログラムの企画と運営に携わる。2001年より2005年まで国際交流基金ジャカルタ日本文化センター アシスタント・ディレクター。2007年から2008年まで理事長補佐。2008年より笹川平和財団勤務、主に平和構築とタイ深南部における紛争解決事業の立ち上げに関わる。アジアの平和と安定化事業グループ長、アジア事業グループ長、平和構築支援グループ長を経て、2024年7月より第2グループ(平和構築支援担当)グループ長。

メラン・バービア大使
プログラム2登壇者

メラン・バービア大使

ジョージタウン大学 女性・平和・安全保障研究所 所長

プロフィール

長年にわたり女性の権利と地位向上に尽力。クリントン政権では大統領補佐官および大統領夫人チーフ・オブ・スタッフを務め、ヒラリー・クリントンと共に「バイタル・ボイシス・グローバル・パートナーシップ」を共同設立。2009年、オバマ大統領により初代米国女性問題担当大使に任命され、世界60カ国以上を訪問し、女性の政治的・経済的エンパワーメントを推進。現在はジョージタウン大学で次世代のリーダー育成に取り組む。

ローヤ・アハヴァン氏
プログラム2インタビュアー

ローヤ・アハヴァン氏

国際基督教大学 研究員/FemLEAD・コンサルティング代表

プロフィール

Dr. Roya Akhavan(ローヤ・アハヴァン博士)は現在、国際基督教大学(ICU)平和研究所のリサーチフェローである。セントクラウド州立大学の名誉教授として、学術界および企業における受賞歴のあるリーダーシップと、国内外の学術誌で広く引用される研究実績を有する。アハヴァン博士は、ペルシャ、アメリカ、日本、中国という四つの異なる文化で生活し、仕事をしてきた。また、世界平和、ジェンダー平等、21世紀のスピリチュアリティをテーマとした著者・講演者でもある。最近の著作には、『Peace for Our Planet: A New Approach』(2017)『The Trumpet Blast: Removing the Veil from the Advent of the Promised One』(2022)がある。2023年には、最先端の研究とトレーニングを通じてフェミニン・リーダーシップの発展に寄与することを目的としたコンサルンティング会社「FemLead Consulting」を設立した。

開催一覧

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