東京外国語大学准教授を経て、2020年4月より現職。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了(人間科学 博士)。専門は国際協力論、開発社会学、南アジア地域研究。最新の業績:Naonori Kusakabe, Disaster Vulnerability and Poverty: Cyclone Damage and Resilience in Bangladesh, ICON Press, 2020.3
ムハマド・ラシッド 氏
ダッカ首都警察対テロ・国際犯罪対策庁 研究開発局 副長官
「過激化予防」や「脱過激化」事業は、2000年代以降、「対テロ戦争」のソフト・アプローチとして、また、イスラム国崩壊後の帰還兵の社会統合という切迫した必要性もあり、世界各地で実践が続けられてきました。長年南アジアで「穏健で寛容なイスラム」信仰を育んできたバングラデシュも例外ではなく、特に、日本人7名も犠牲となった2016年のダッカでのダッカ・レストラン襲撃人質テロ事件以降、現地警察を中心にテロ対策が強化され、「脱過激化」への取り組みが開始しています。
笹川平和財団は、世界的な「脱過激化」事業の拡大が、紛争影響地域に与える負の影響や、反政府組織の取り締まりが現場での人権侵害を招くリスクなどを検討しながら、対象層となる「元テロリスト」(元暴力的過激主義者)が過激化した背景を詳細に分析する必要性、さらに、「脱過激化」事業の効果をより厳密に評価する重要性を認識し、2022年よりインドネシアの中部スラウェシ州ポソとバングラデシュ、ダッカにおいて、パートナーと共に「脱過激化」プログラムの立案に取り組んできました。
バングラデシュでは、警察の対テロ対策ユニット(Counter Terrorism and Transnational Crime)と研究者グループ(Centre for ALTERNATIVES)と連携し、元受刑者や、受刑者の家族など過激化のリスクが高いと思われる対象者に対し、40名のカウンセラーから成る5種類のカウンセリングを実施し、カウンセリング参加後の変化に関する評価を終えました。
本企画では、バングラデシュから警察、研究者、カウンセラー関係者をお招きし、同国の取り組みから、「脱過激化とは何か」を皆様と共に考えたいと思います。皆様のご参加をお待ちしています。
17:00-17:10 | 開催挨拶 ムハマド・ラシッド氏(ダッカ首都警察対テロ・国際犯罪対策庁 研究開発局 副長官) |
17:10-17:25 | 発表1:バングラデシュと「テロリズム」 日下部尚徳氏(立教大学異文化コミュニケーション学部 准教授) |
17:25-18:00 | 発表2:バングラデシュの脱過激化事業について イムティアズ・アハマド氏(Centre for ALTERNATIVES エクゼクティブ・ディレクター) アフサナ・ミミ氏(文化カウンセラー) サイドゥル・イスラム氏(心理カウンセラー) |
18:00-18:30 | コメント 大治朋子氏(毎日新聞編集委員) 津富宏氏(立教大学コミュニティ福祉学部 特任教授) |
18:30-19:00 | 質疑応答 |
19:00 | 閉会 |
ダッカ首都警察対テロ・国際犯罪対策庁 研究開発局 副長官
立教大学異文化コミュニケーション学部 准教授
東京外国語大学准教授を経て、2020年4月より現職。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了(人間科学 博士)。専門は国際協力論、開発社会学、南アジア地域研究。最新の業績:Naonori Kusakabe, Disaster Vulnerability and Poverty: Cyclone Damage and Resilience in Bangladesh, ICON Press, 2020.3
Centre for ALTERNATIVES エクゼクティブ・ディレクター
ダッカ大学国際関係学部教授。マレーシア・クアラルンプールのテイラーズ大学客員教授も務める。これまでに57冊の著書と20冊の研究書を執筆、共著、編集し、125以上の研究論文や学術記事をジャーナルや編著誌に発表している。集団暴力、暴力的過激主義、ロヒンギャ危機に関する国内外のプロジェクトを統括。最近の著編書は以下の通り:
『COVID-19: otherside of living through the pandemic』(Dhaka、Pathak Shamabesh、2021)、『Rights, Rivers, and the Quest for Water Commons: The Case of Bangladesh』(ベルリン:シュプリンガー、2021年)、『Innovation in Education』(リヤン・ジャンとの共編著、ダッカ大学ジェノサイド研究センター、天津財政経済大学、Pathak Shamabeshタック・シャマベシュ、ダッカ、2021年)、『Rohingyas in Myanmar and Bangladesh: The Violence-Protection Dialectic and the Narratives of Certain Unsafety/Uncertain Safety」(ニロイ・ランジャン・ビスワスとの共著、 ダッカ、ダッカ大学ジェノサイド研究センター、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、リスク・災害軽減研究所、英国、2022年)、『Imagining Post-Covid Education Futures』(ダッカ、ダッカ大学ジェノサイド研究センター、2023年)、『Celebrating 100 Years of the University of Dhaka: ダッカ、ダッカ大学、2023年)。
文化カウンセラー
アフサナ・ミミは、バングラデシュの著名な女優、モデル、映画監督。映画『Paap Punno』でバングラデシュ国民映画賞助演女優賞を受賞。ミミは劇団ナゴリック・ナティヤ・サンプラダヤで女優としての道を歩み始め、1990年にオーディオ・ビジュアル業界に初登場した。30年近いキャリアを持ち、何百本ものテレビ小説に出演するほか、バングラデシュ映画開発公社(Bangladesh Film Development Corporation)の吹き替え声優としても活躍した。2000年に監督業に転身し、『Kachher Manush』や『Poush Faguner Pala』など、小説を映画化した数多くのメガ・シリーズを監督した。プロデューサー兼ディレクターとして、フィクション、ノンフィクションを問わず1,500以上のエピソードをテレビ用に制作。彼女の監督作品には、2021年12月現在、ギアスディン・セリム監督の長編映画『Paap Punno』や、ATNニュースのテレビ番組『Nostalgia』などがある。また、ダッカのウッタラにある子供とティーンエイジャーのための文化センター、Ichchhetolaのディレクターも務めている。さらに、Shilpakala・アカデミーのディレクターも務めている。ダッカ大学を卒業したミミは、数多くの会社を牽引し、テレビコマーシャルからドキュメンタリー、ドラマ、テレビ映画、長編映画まで、幅広い視聴覚作品のプロデュースと監督を務めている。
心理カウンセラー
経験豊富な心理学者であり、精神衛生の専門家であるサイドゥル・イスラムは、現在ノース・サウス大学でアシスタント・スチューデント・カウンセラーとして勤務している。ダッカ大学で心理学の学士号と臨床心理学の修士号を取得。認知行動療法、神経心理学的アセスメントと治療、システミック療法と家族療法を専門としている。臨床家、トレーナー、スーパーバイザーとして、政府系病院やオフィス、大学、リハビリセンター、NGOなどで勤務。児童青年精神保健協会(ACAMH)の国際会員、バングラデシュ治療カウンセラー協会(Association for Therapeutic Counselor, Bangladesh)およびバングラデシュ児童青年精神衛生協会(BACAMH)の会員、バングラデシュ臨床心理学会(Bangladesh Clinical Psychology Society)の提携会員。最近では、Asian American Journal of Psychology誌に筆頭著者として論文を発表している。
毎日新聞社 編集委員
1989年入社。社会部時代に新聞協会賞を連続受賞、ワシントン特派員時代にボーン・上田記念国際記者賞を受賞。エルサレム特派員時代の2014年夏、ガザでの戦闘をガザ側から報じた。イスラム国による日本人誘拐事件では元戦闘員らをインタビューし、著書『歪んだ正義 「普通の人」がなぜ過激化するのか』で過激化プロセスを詳報した。近著『人を動かすナラティブ なぜ、あの「語り」に惑わされるのか』では紛争と物語の関係性を探求している。
立教大学コミュニティ福祉学部 特任教授
犯罪学と評価研究を専門とし、犯罪者・非行者の社会復帰支援に関する研究に従事。法務省矯正局や少年院での実務経験を持ち、国際連合アジア極東犯罪防止研修所教官も務めた。2002年から2024年3月まで静岡県立大学教授として、キャリア支援センター長や学生部副部長を兼任。
研究分野は非行・犯罪、子ども・青少年支援、社会的包摂、貧困問題、地域づくり、市民社会など多岐にわたる。ウィスコンシン大学マディソン校でMaster of Scienceを取得。
現在、特定非営利活動法人青少年就労支援ネットワーク静岡および「セカンドチャンス!」の代表として、研究成果の社会実装にも力を入れている。
笹川平和財団第2グループ(平和構築支援担当)グループ長兼主任研究員
1996年より国際交流基金に勤務し、主に東南アジアと南アジアにおける知的交流、日本研究、芸術交流プログラムの企画と運営に携わる。2001年より2005年まで国際交流基金ジャカルタ日本文化センター アシスタント・ディレクター。2007年から2008年まで理事長補佐。2008年より笹川平和財団勤務、主に平和構築とタイ深南部における紛争解決事業の立ち上げに関わる。アジアの平和と安定化事業グループ長、アジア事業グループ長、平和構築支援グループ長を経て、2024年7月より第2グループ(平和構築支援担当)グループ長。