笹川平和財団はハビビセンターと共催で、「インドネシアと日本における暴力的過激主義」をテーマに2回にわたりオンライン講演会を実施します。第1回では、ハビビーセンターがコロナ禍におけるインドネシアの民主主義と暴力的過激主義についての研究成果を発表します。
インドネシアは東南アジアの中でも新型コロナウィルスの影響が最も大きい国の一つです。高い感染率と死亡者数の多さの原因として、政府による対応の遅さ、不十分な省庁間の調整、相反する中央政府と地方政府の政策などが指摘されています。また、感染症対策として治安部隊の過剰な武力行使が懸念されています。
感染拡大防止のために政府が実施した都市封鎖により通常の民主主義的な回路が機能しにくくなっています。例えばデモが禁止されているため人々が苦情を申し立てる手段が限られ、また、多くの労働者が解雇されたためにシビックスペースが縮小しています。そのような状況下、暴力的過激主義の脅威は依然として目に見える形で存在しており、インドネシア全土において、まるでパンデミックによって引き起こされた社会経済的危機を利用しようとテロリストグループが躍起になっているかのようです。
このような状況に鑑み、笹川平和財団は、2020年8月からハビビセンターにコロナ禍における暴力的過激主義に関する調査を委託しました。調査では、コロナ禍を通してインドネシアの民主主義の質が低下し続けていること、民主主義の質の低下と国家の感染症対策により暴力的過激主義の思想や動向が国と社会に脅威を与える文脈が変化していること、政府・非政府組織による脱暴力的過激主義対策が低下していること、不寛容さの増大が過激化を増長する要因となり得ることを明らかにしました。
第1回オンライン講演会では、これらの研究成果を発表します。みなさまのご参加をお待ちしております。