アジア・イスラム事業グループ セミナー

「インド太平洋国際会議」第2回ウェビナー  
日米豪印(クアッド)協力の今後 - 制度化は成功するのか

主催:笹川平和財団、シンガポール国立大学南アジア研究所(NUS-ISAS)
笹川平和財団安全保障研究グループでは、2020年11月27日にシンガポール国立大学南アジア研究所(NUS-ISAS)との共催にて、インド太平洋ウェビナーシリーズの第1弾「大統領選後の米インド太平洋政策 ― 期待と懸念」を開催し、多くの参加者から好評をいただきました。

第2回目となる今回は、2007年に日本主導で非公式戦略対話として発足した日米豪印の四か国による協力(通称クアッド)について議論します。この枠組みは、同年、安倍総理(当時)がインド国会での演説「二つの海の交わり」で既に言及した通り、インド太平洋の構想と密接に関係しています。

クアッドはその後、参加国の思惑が交錯する中で戦略的価値を見出しにくい時期もありましたが、この数年にわたり活性化され進歩を遂げてきています。実際、2020年10月には日米豪印の外相会合の定例化が合意され、翌11月にはこれまで日米印の三か国で実施してきた海上共同訓練「マラバール」に豪海軍が13年ぶりに参加しました。

安全保障以外の分野においてもインド太平洋における協力連携は促進されており、例えば日印豪はサプライチェーンの強靭化に向けた取り組みへの協力に合意し、また、日米豪はインフラ開発の協力を開始しています。このように機能においてもアジェンダにおいてもかつてない範囲で広がりを見せつつあるクアッド加盟国の取組みは、広域なインド太平洋地域の秩序形成にも影響を及ぼしつつあります。

とはいえ、クアッドの将来はいまだ不確かなままです。最近のクアッド進化の勢いは一過性の現象なのか、あるいはより実効的な枠組み形成への道筋となり得る兆候なのか。それぞれの参加国が描くクアッドの未来像は合致しつつあるのか。中国や東南アジアとの関係をどのように管理しながらコミットメントを維持していくのか、等々、疑問は尽きません。

本ウェビナーにおきましては、これらの疑問に対するパネル・ディスカッションをおこない、制度化しつつあるクアッドの可能性と課題、インド太平洋地域への影響を多面的に検討します。

パネリストにはシンガポールを拠点に国際安全保障を研究する古賀慶氏ほか2名の著名専門家をクアッド域内から迎えます。また当財団にて防衛外交を専門とする西田一平太主任研究員がモデレータを努め、議論を深めてまいります。

日本が構想し実現に至った日米豪印の協力枠組みの今後について、皆様における考察の一助となれば幸いです。多くのご参加をお待ちしております。


〔指定の登録サイトにて事前登録制、言語は英語のみとなります〕
事務局
笹川平和財団 安全保障研究グループ
Email:anpo-event@spf.or.jp

※取材についてのお問い合わせは経営企画部メディアリレーション課へお願いいたします。
Tel:03-5157-5398 Email:spfpr@spf.or.jp

プログラム

15:00 各パネリストスピーチ
15:45 ディスカッション
 
16:30 セッション終了

講演者

Mr. Brigien Suhaendra
パネリスト

古賀 慶

シンガポール 南洋理工大学 社会科学部 公共政策・国際関係学科 助教授

プロフィール

米タフツ大学フレッチャー法律外交大学院卒(国際関係学博士)
2013年~現在:南洋理工大学 社会科学部(公共政策・国際関係学科) 助教授
2017年:戦略国際問題研究所 客員研究員
2012年~2014年:国際戦略研究所(CSIS) 日本部 客員研究員
2012年~2013年:ハーバード・ケネディ・スクール ベルファーセンター 研究員(ポスドク)
2009年~2010年:南洋理工大学 S. ラジャラトナム国際関係学部 客員研究員
国際関係論および国際制度を専門とし、東アジアの安全保障、日米の外交政策、日米同盟、ASEAN等のテーマで多数の発表実績あり。著作に”Japan's ‘Indo-Pacific’ question: countering China or shaping a new regional order?” (International Affairs, 2020)、”Japan’s “Free and Open Indo-Pacific” Strategy: Tokyo’s Tactical Hedging and the Implications for ASEAN” (Contemporary Southeast Asia, 2019)、”The Concept of “Hedging” Revisited: The Case of Japan’s Foreign Policy Strategy in East Asia’s Power Shift” (International Studies Review, 2018)、”ASEAN’s Evolving Institutional Strategy: Managing Great Power Politics in South China Sea Disputes” (Chinese Journal of International Politics, 2018)等がある。現在進行中の著作プロジェクトは“Managing Great Power Politics: ASEAN, Institutional Strategy, and South China Sea”である。

※パネリストほか2名は英語版のページにて掲載しております。
Mr. Brigien Suhaendra
座長

西田 一平太

笹川平和財団 安全保障研究グループ 主任研究員

プロフィール

英ロンドン政治経済学院大学院卒(開発学修士)。民間企業勤務を経て、国際NGO「国境なき医師団」にて南スーダン・リベリアといった紛争地で活動。帰国後、内閣府平和協力本部事務局研究員。東京財団研究員(2011年~16年)を経て2016年10月、笹川平和財団に移籍。2018年6月より現職。対外援助と安全保障協力、脆弱国支援等に関する政策研究を行う。著作に「ODA大綱改定への安全保障の視座からの提言(共著、東京財団)」、「新型コロナ下の国際協力‐先進国の結束は示せるか(笹川平和財団IINA)」、「日本の対ASEAN防衛外交:ビエンチャン・ビジョンとは何か?(笹川平和財団IINA)」、"The Quad Plus: Towards a Shared Strategic Vision for the Indo-Pacific(編著、Wisdom Tree)”等がある。外務省開発協力適正会議委員。法政大学・青山学院大学にて非常勤講師も務める。

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