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オーシャンショット研究助成
1. 本プログラムの趣旨
海に関する知識の必要性が高まっているにもかかわらず、海の理解は不十分な状況です。つまり、海の理解はまだこれからです。海洋は「発見」のフロンティアと言えるでしょう。オーシャンショットでは、2つの視点で「発見」のための研究を大規模に支援します。
※ムーンショット型研究開発制度とは、1960年代のアポロ月面着陸計画のような、目標達成に多大な資源やイノベーションを要する、大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発制度を意味します。その海洋版として設立したのが、本研究助成です。
海洋では毎年続々と新種が発見されています。新しく発見される海洋生物は、微生物から、魚類、海棲哺乳類まで多岐にわたり、大型のヒゲクジラも今世紀に入って日本の研究者により発見されました。種の記載はこれまで資金が投下されにくかった分野ですが、生物学の基本です。存在は知られているが謎のベールに包まれている海洋生物も数多くいます。そのような生物の分布、発生・生殖、生態や生活史、進化についての様々な謎を解き明かしてください。
生物多様性や、植物相・動物相を含めた生態システムに着目した発見も歓迎します。サンゴ礁のような多様な生物の複雑な絡み合いとバランスで成り立つ系や、深海底など生物相の理解がそもそも進んでいない系での、新しい機能や仕組みを見つけてください。
近年まで生息していたものの絶滅した生き物、さらには太古に姿を消した生物種も対象とします。たとえば体重10トンにも達するステラーカイギュウは乱獲のため18世紀には絶滅したと考えられています。現代の科学技術を用いて、すでに絶滅した生物の生活史を再現しデジタル的に蘇らせることも可能でしょう。過去に生息していた海洋生物の生態について新たな発見を期待します。
新たな発見を行うためには新しい技術やその組み合わせが有効です。また膨大なデータに埋もれてこれまで見えなかった現象をあぶりだす解析手法も日に日に進歩しています。人類が月や火星に探査機を飛ばし詳細な地形図を手に入れた現代においてもなお、世界の海底地形はまだ十分に解明されていません。高圧下での観測やサンプリングは陸上に比べはるかに難易度が高く、機器開発に多額の費用がかかります。収集されたデータは細切れに保存されているため、横断的な利用を進めなければなりません。ビックデータが得られたとしても、そのなかから海洋の理解を深める価値を見出す作業が残されています。ダイナミックに変動する海中のさまざまな現象と機能をタイムリーに発見するためには現在の技術レベルは十分とは言えません。海洋での発見を支援する新しい技術開発を提案してください。
2. 公募日程
第2回公募
2024年6月7日 第2回募集要項の公開
2024年8月31日 募集〆切
2024年9-10月:書面審査(一次審査)
2024年11-12月:書面および面接審査(二次審査)及びその結果通知
2025年4月:助成開始
第1回公募
2023年5月18日 第1回募集要項の公開
2023年8月15日 応募締切(応募件数:30件)
2023年10月 結果通知
2023年12月1日 助成開始
2024年1月19日 助成開始のお知らせ公表
3. 採択した研究課題
第1回公募
1)課題名:Massive mEIOfauna DiscoverY of new Species of our oceans and SEAs (MEIODYSSEA) (和訳:海洋のメイオファウナでの新種の大規模発見)
代表研究機関:Institut français de Recherche pour l'Exploitation de la Mer (IFREMER)
2)課題名:Holistic Genomic Approach to Asia-Pacific Marine Biodiversity(邦題:アジア太平洋生物多様性への全ゲノムアプローチ)
代表研究機関:東北大学
3)課題名:Deep-sea Archaic Refugia in Karst (D-ARK) (邦題:深海カルストにある太古からのレフュジア(D-ARK))
代表研究機関:海洋研究開発機構(JAMSTEC)
4)課題名:Next Generation Seafloor Mapping Tools(和訳: 次世代海底マッピングツール)
代表研究機関:University of New Hampshire Center for Coastal and Ocean Mapping