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オーシャンショット研究助成 第2回募集要項
1. 本プログラムの趣旨
海に関する知識の必要性が高まっているにもかかわらず、海の理解は不十分な状況です。つまり、海の理解はまだこれからです。海洋は「発見」のフロンティアと言えるでしょう。オーシャンショットでは、2つの視点で「発見」のための研究を大規模に支援します。
海洋では毎年続々と新種が発見されています。新しく発見される海洋生物は、微生物から、魚類、海棲哺乳類まで多岐にわたり、大型のヒゲクジラも今世紀に入って日本の研究者により発見されました。種の記載はこれまで資金が投下されにくかった分野ですが、生物学の基本です。存在は知られているが謎のベールに包まれている海洋生物も数多くいます。そのような生物の分布、発生・生殖、生態や生活史、進化についての様々な謎を解き明かしてください。近年、地球温暖化などにともなって海洋は急速に変化しており、その影響は海洋生物にも及んでいます。発見すべき対象がその存在すら知られないままに失われてしまう可能性があり、発見のための研究を早急に進める必要があります。
生物多様性や、植物相・動物相を含めた生態システムに着目した発見も歓迎します。サンゴ礁のような多様な生物の複雑な絡み合いとバランスで成り立つ系や、深海底など生物相の理解がそもそも進んでいない系での、新しい機能や仕組みを見つけてください。
近年まで生息していたものの絶滅した生き物、さらには太古に姿を消した生物種も対象とします。たとえば体重10トンにも達するステラーカイギュウは乱獲のため18世紀には絶滅したと考えられています。現代の科学技術を用いて、すでに絶滅した生物の生活史を再現しデジタル的に蘇らせることも可能でしょう。過去に生息していた海洋生物の生態について新たな発見を期待します。
新たな発見を行うためには新しい技術やその組み合わせが有効です。また膨大なデータに埋もれてこれまで見えなかった現象をあぶりだす解析手法も日に日に進歩しています。人類が月や火星に探査機を飛ばし詳細な地形図を手に入れた現代においてもなお、世界の海底地形はまだ十分に解明されていません。高圧下での観測やサンプリングは陸上に比べはるかに難易度が高く、機器開発に多額の費用がかかります。収集されたデータは細切れに保存されているため、横断的な利用を進めなければなりません。ビックデータが得られたとしても、そのなかから海洋の理解を深める価値を見出す作業が残されています。ダイナミックに変動する海中のさまざまな現象と機能をタイムリーに発見するためには現在の技術レベルは十分とは言えません。海洋での発見を支援する新しい技術開発を提案してください。
2. 応募資格
代表研究機関
② 原則として、非営利研究機関
③ 研究チーム全体の研究進行管理能力を有すること
④ 研究資金の管理能力を有すること
⑤ 共同応募においては、共同研究機関への予算配分(送金)および研究チーム全体の会計報告を行えること
共同研究機関
① 担当課題の研究進行管理能力を有すること
② 配分研究資金の管理能力を有すること
単独よりも複数の国の機関が参画している国際的な課題を高く評価します。加えて、①日本の組織(営利・非営利、学術研究機関等であるか否かを問わない)に所属している人物(国籍は問わない)、あるいは②海外の組織に所属している日本人が参加していれば、なお可。
3. 助成のスキーム
本研究助成は事業期間を3段階(第1事業期間、第2事業期間、第3事業期間)に分けて実施します。
第1事業期間:2025年4月から翌年3月末
第2事業期間:2026年4月から翌年3月末
第3事業期間:2027年4月から翌年3月末
正規課題は事業期間が終わるごとに評価を行い、審査を経て次の事業期間における採否あるいは予算額・配分を判断します。
正規課題として申請されたプロジェクトの中から、評価委員会の評価を踏まえ、FS課題を採択することがあります。第1事業期間にFeasibility Study(FS)課題として採択された研究課題が、第2事業期間に進むためには、第1事業期間後半における中間成果報告で示された成果が選考委員会から高い評価を得る必要があります。FS課題のみへの申請はできません。
4. 助成金額の上限
予算の上限は、正規課題1件あたり、最長3年(第1-3事業期間合計)で総額300万米ドルです。総額は全事業期間での研究予算の総額で、間接経費を含みます。採択件数は2件程度を予定しています。Feasibility Study課題(FS)は、一件あたり30万米ドルを予算の上限とします。
審査の結果、申請助成金額から減額して採択される場合があります。
5. 対象となる経費
対象となる経費は、研究開発の実施に必要な経費とします。
費目は各法人の会計規則などにあわせてご記入ください。
経費は以下の例を参考にしてください。
費目(例) | 内容 |
---|---|
施設費 | 実験施設借り上げなど |
賃借料 | 傭船料など |
機械装置費 | 実験設備の購入など |
工具器具備品費 | 研究に直接必要な備品等の購入費 |
材料費 | 研究に直接必要な材料等の購入費 |
使用料 | データ使用料など |
プログラム取得費 | ソフトウェアの取得など |
直接人件費 | 技術者や研究者の人件費のうち、研究に直接従事した割合を按分したもの。 |
業務委託費 | 調査研究、翻訳作業など事業の一部を他に委託する費用 |
旅費交通費 | 研究に直接必要な移動に係る経費 |
雑費 | 少額かつ上記経費項目に含めることができない諸経費 |
間接経費 | 研究の実施に伴う研究機関の管理等に必要な経費 ※間接経費を経費に含める場合、予算書において直接経費の何%を間接経費とするかの割合を明確に示して下さい。 |
委託先の積算書は別紙で作成して別添してください。一つの積算書内で代表機関の積算書と、委託先の積算書の通貨は、米ドル建てまたは円建てに統一してください。
6. 申請手続き
申請受付期間
2024年6月17日(月)9:00〜2024年8月31日(土)17:00(日本時間)まで
申請受付後、数日経過しても受付確認メールが届かない場合はご連絡ください。
申請の方法
以下のリンクから提出書類の様式をダウンロードし、必要事項を記入の上、Eメール(必要書類別添)にて oceanshot(at)spf.or.jp までご申請ください(アドレスは(at)を@に置換してください)。
提出書類の使用言語は英語とします。
様式ダウンロード
申請フォームおよび予算計画書(70.2kB)
7. 結果の通知
2024年8月31日:書類提出〆切
2024年9-10月:書面審査 (一次審査) 結果通知
2024年11-12月:書面および面接審査 (二次審査)※ 及びその結果通知
2025年4月:助成開始
※二次審査の面接は省略される場合があります。
審査の結果通知以前の採否のお問い合わせには、お答えできませんのでご了承ください。
8. 条件および留意事項
助成事業を実施する際には、いくつかの条件及び留意事項があります。
申請の時点でご確認いただきたい事項は下記の通りです。
(1) 助成契約の遵守について
助成事業として決定した際には、まず笹川平和財団との間で「助成契約」を締結します。
契約書の見本は[こちら]です。締結した「助成契約」に反する行為があった場合は、助成金の返還請求等を行うこともありますので、契約を遵守してください。
また、助成事業終了後5年間は、事業関連の書類や取得物保管等の善管義務が発生しますのでご注意ください。
(2) 助成表示について
笹川平和財団が別途定めた助成表示を成果物等に表示していただく必要があります。
(3) 中間および完了報告書の提出について
助成事業者は、契約書に定められた期日までに、中間報告書を提出いただきます。助成事業の完了後は、完了後15日以内に事業完了報告書(収支計算書を含む)等をご提出いただきます。
(4) 監査及び事業評価について
助成事業の完了後、研究内容と研究費を監査する可能性があります。
また、今後の事業のより良い実施を目指し、事業評価を行います。監査及び事業評価の結果は、ウェブサイトなどで公表します。
(5) 個人情報の取り扱いについて
笹川平和財団が助成申請に際して収集した個人情報は、笹川平和財団の個人情報保護方針に基づき、助成事業に関する事務手続き、助成金の募集案内、笹川平和財団に関連するイベント案内、アンケートの実施、各種お知らせのみの目的に利用します。
(6)研究結果の公表
成果報告書(原則として英語)を作成していただき、適切な時期に当財団のウェブサイトに掲載いたします。
(7)知財関係
研究終了後、5年間は、知財の譲渡売却、知財化などについて、事前に財団へ報告を行っていただきます。
9. 成果の共有
日本財団とNekton財団によって設立された、未知の海洋生物発見のためのグローバルイニシアチブ“The Nippon Foundation-Nekton Ocean Census“や、2030年までに全地球の海底地形図を100%完成することを目指す国際的なプロジェクト「日本財団-GEBCO Seabed 2030」などの事業に、研究課題の成果の共有をお願いすることがあります。共有方法等については課題採択後に別途ご相談させて頂きます。
10.お問い合わせ
(公財)笹川平和財団海洋政策研究所
オーシャンショット専用メールアドレス oceanshot(at)spf.or.jp(アドレスは(at)を@に置換してください)
※当ウェブサイト上に「よくある質問(FAQ)」をまとめています。不明点がございましたら、お問い合わせ前にまずこちらをご覧ください。