Ocean Newsletter

オーシャンニュースレター

第527号(2022.07.20発行)

編集後記

日本海洋政策学会会長◆坂元茂樹

◆日本は、四方を海に囲まれ、世界でも最も海の恩恵を受けている国の一つである。海と親しむことで今日の日本は築き上げられた。内閣府によれば、海の日は「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」日とされる。そうした「海の日記念号」にふさわしい3編の論稿が集まった。
◆Cleopatra Doumbia-Henry世界海事大学学長からは、1983年に国際海事機関(IMO)によって設立された世界海事大学(WMU)の将来への展望についてご寄稿いただいた。すでに世界171カ国の5,634人(うち女性1,254人)の卒業生を送り出しているWMUによる、SDGsの目標4の「質の高い教育」、目標5の「ジェンダー平等」、そして国際海事社会の対話の場となる取り組みが紹介されている。併せて、そうしたWMUを支える(公財)日本財団の笹川陽平会長のリーダーシップと貢献が語られている。ぜひご一読を。
◆椎葉渚(公財)地球環境戦略研究機関研究員は、2022年2月のIPCC第6次評価報告書第二作業部会の報告書『気候変動2022:影響、適応、脆弱性』の公表を受けて、海洋・沿岸域で求められる適応策の重要性を論じる。温暖化が1.5℃を超えると、海洋熱波により沿岸生態系の一部に不可逆的な変化が生じるという。海洋国日本が、こうした将来のリスクに備え、健全な海と安全な沿岸の暮らしを守るための行動を提言する。
◆DFFAS Projectプロジェクトリーダーで、(株)日本海洋科学運航技術グループ長の桑原悟氏からは、海運業界で必須課題になっている船舶の自動化・無人化の現状についてご説明をいただいた。(公財)日本財団の「無人運航船プロジェクトMEGURI2040」に参加している多種・多様な日本企業による「DFFASコンソーシアム」は、Open Innovationにより「無人運航船システム(DFFAS)」を開発し、その社会実装のために2022年2月末に東京港と津松阪港を往復する実証実験を行った。開発したシステムである「船舶側システム」・「陸上側システム」・「通信システム」の詳しい内容については、本誌に譲りたい。ぜひご一読を。(坂元茂樹)

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