Ocean Newsletter

【Ocean Newsletter】バックナンバー

第514号(2022.1.5 発行)

編集後記

帝京大学先端総合研究機構 客員教授♦窪川かおる

新春のお慶びを申し上げます。2022年は、コロナ禍の状況次第とはいえ、この2年間の不自由さから脱却し、持続可能な社会を目指す創意工夫に満ちた希望の年でありたい。そしてジェネレーションおよびジェンダーギャップを超える多様な意見と行動が歓迎される年でありたい。海洋問題が世界の共通認識となり、気候変動、プラスチックごみ、ブルーカーボン、持続可能な漁業などのターゲットも絞られ、わが国では洋上風力発電誘致や水産業改革も進行している。2021年の4月には、日米首脳会談を受けて「日米気候パートナーシップ」が立ち上がり、11月のCOP26では温暖化への警鐘が強まった。まさに、寄せられた3篇の新年のメッセージに共通する言葉は「一刻も早く」である。わが国は海洋と向き合う正念場を迎えている。
◆NOAAのRichard Spinrad長官は日米パートナーシップの強化を説く。それは気候変化の危機、とくに海洋危機への解決に相乗効果をもたらす。さらに2021年1月から始まった「国連海洋科学の10年」では、日米の協働が海洋と気候の繋がりを科学的に解明するとともに、産学官の総力による社会のための科学の発展を加速させる。一言一句に込められた長官の期待に応えることは言をまたないであろう。是非ご一読いただきたい。
◆コースト・プレディクトは、「国連海洋科学の10年」の公募で採択され、今後の活動の中核となる国際プログラムのひとつである。それについて同プログラム議長のNadia Pinardiボローニャ大学教授にご紹介をいただいた。沿岸域の観測や予測は難しい。海洋環境も人間活動も多様であるが、小スケールな中で高精度が求められ、グローバルに統合することはかつて困難であった。そのような沿岸海洋の過去、現在、未来についての情報提供を目指す。日本の研究者も参加している同プログラムの成果と日本の貢献を期待したい。
◆横浜国立大学・放送大学の來生新名誉教授(本誌初代編集代表、第14回海洋立国推進功労者表彰受賞)から、EEZ・大陸棚の総合的な開発・利用・保全の本格的発展への展望に対する法的問題についてお教えいただいた。例として、カーボンニュートラル達成に向けた洋上風力発電のEEZへの展開が取り上げられている。まず国連海洋法条約との関係が整理され、次にわが国のEEZおよび大陸棚に関する法律における検討箇所が指摘されている。洋上風力発電に限らず、技術開発の進展に合わせて、できれば先行して、設置、運営、環境保護などの重大事項に関わる法律が整備されていくことを祈る。(窪川かおる)

ページトップ