Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第426号(2018.05.05発行)

編集後記

東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センター特任教授◆窪川かおる

◆5月5日は端午の節句、こどもの日である。水族館の入館料が子どもは無料になるなど、子どもにも親にも嬉しい日である。最近は特別な日でなくても、子ども向けサービスが多種多様にある。大学や研究機関、企業が、将来を託す子ども達に向ける期待は大きい。海洋の分野もそうである。一方で、情報の洪水と干渉の過多は避けたい。子どもが持つ力を引き出す工夫が求められる。
◆サンゴの白化など、いち早く地球温暖化を知る指標として1990年代からサンゴが話題になっている。サンゴの生物学から保全まで、琉球大学で長年にわたり研究をされてきた土屋誠氏よりサンゴへの溢れる思いをご寄稿いただいた。土屋氏はその功績で第10回海洋立国推進功労者に表彰されている。清澄な海水と高い生物多様性をもつサンゴ礁の生態系は、私たちにたくさんの恩恵をもたらしたが、今はサンゴが苦しめられている。2018年は国際サンゴ礁年である。著者の視点の先はサンゴ礁への恩返しにある。
◆小型ROVを操縦するパイロットの免許を持っている人は世界に何人いるだろうか。JAMSTECの沖縄の拠点であるGODACでは、海洋データの集積と発信の重要な業務に加えて人材育成にも熱心に取り組んでいる。そのひとつが、子どもの海への関心の定着を図ったROVパイロットトレーニングである。GODAC管理課課長の松井宏泰氏より海洋教育の取り組みをご紹介いただいた。沖縄北部のやんばる地区の関連施設との連携で海洋教育の推進力も発揮されている。
◆わが国は国際海事機関(IMO)の理事国である。5年間で334本もの提案文書の提出は一番多いそうだ。理事会の下の委員会や小委員会でも日本人は活躍している。(国研)海上・港湾・航空技術研究所の太田 進氏よりIMOの組織とその活動について、ご自身の職務と経験を含めて詳細にご紹介をいただいた。太田氏はその貢献で第10回海洋立国推進功労者に表彰されている。交渉のコツを会得するにも規則の策定にも時間がかかる。IMOでのわが国の貢献は一朝一夕ではないと、承継の大切さが強く語られている。ご一読いただきたい。 (窪川かおる)

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