Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第418号(2018.01.05発行)

編集後記

東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センター特任教授◆窪川かおる

あけましておめでとうございます。
401号(2017年4月20日発行)から編集代表に就任した坂元と窪川も無事に新年を迎えることができました。本年もさまざまな側面から海洋について議論するOcean Newsletterの発行に努めます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
◆新春は、日本財団・笹川陽平会長と笹川平和財団海洋政策研究所・角南篤所長の対談で始まった。未知の海洋に対峙するお二人の一言一句に、熱い心が溢れている。笹川会長は、今や海洋の分野で日本が存在感を示すべき時期であること、海洋の総合的国際機関の必要性、人材育成、「海を護る日本」から「世界の海を護る日本」への飛躍など、海洋立国の進むべき方向と大きな夢を示された。角南所長は、笹川会長のイニシアチブへの期待、海洋の危機解決を目指ざす科学と政策の連携の必要性、科学技術と外交の連動など、日本と世界の舵取りへの抱負を披露された。お二人の対談をこれからの海洋国・日本の道標にしたい。
◆2017年にユネスコ世界遺産となった「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」について、海の道むなかた館・鎌田隆徳氏より解説をいただいた。『古事記』にも登場する宗像大社をはじめとした遺産群のすべてに、古代から脈々と続く人と海との繋がりと信仰が込められている。また宗像から玄界灘に点在する遺産群の配置は、海を介した古代東アジアの交流の証でもある。神様と海に新年を迎えられたことを感謝したい。
◆神様に供える正月料理の縁起は、エビ、ブリ、サケ、コブ、タイ、数の子など、地域の特色ある海産物にもある。日本沿岸は、世界の約14%の海洋生物種が分布する多様な海である。World Register of Marine Speciesには、世界の海洋生物、約243,000種が登録され、その数は刻々と増えているが,それでも予測数の約1割に過ぎないという。この生命に溢れる海で、微小なウィルス、バクテリアおよび小型プランクトンと広大な海洋環境の密接な関係が注目されている。それは地球規模で人間生活に影響する現象であり、その解明は海洋政策の施策にまで至る。海の世界は今年も話題豊富となるに違いない。 (窪川)

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