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【開催報告】第10回海洋安全保障シンポジウム「信頼醸成と武力紛争抑止の柱としてのシーパワー~分断が進む世界へのアプローチ~」
笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI)は2023年12月19日、水交会との共催で、第10回海洋安全保障シンポジウム「信頼醸成と武力紛争抑止の柱としてのシーパワー~分断が進む世界へのアプローチ~」をハイブリッド形式で開催しました。
このシンポジウムは現職の海上自衛官、海上防衛の現場での実務経験を有する水交会会員、海洋安全保障分野の研究者が忌憚なく議論するユニークなもので、今回が10回目となります。今回は新冷戦とも言える国際関係を踏まえ、海洋における主権や権益を巡っての対立が武力紛争にエスカレートする事態の抑止、あるいは国際社会における政治・経済的な優位や技術覇権を巡る国家間の競争によって国際構造が流動化する状況で安全保障環境を安定化させるためにシーパワーが果たすべき役割について、予防外交や信頼醸成、武力紛争の抑止、親善交流等の面から議論しました。
阪口秀・海洋政策研究所長の開会挨拶の後、江川宏・海上自衛隊幹部学校長より、昨年(2022年)改訂されたいわゆる防衛三文書(国家安全保障戦略、、国家防衛戦略および防衛力整備計画)を振り返りつつ、昨今の世界情勢、特にインド太平洋地域が抱える海洋問題を踏まえて、シーパワーがこれまでの定義を超えて、信頼醸成や抑止を達成するための手段へと発展しつつある状況に対する海上自衛隊の貢献についてお話しいただきました。
続くパネルディスカッションでは、秋元一峰・OPRI特別研究員がモデレーターを務め、江川学校長、池田徳宏・水交会研究委員会顧問(元佐世保・呉地方総監)、北川敬三・海上自衛隊幹部学校防衛戦略教育研究部長、金永明・中国海洋大学国際事務・公共管理学院教授、倉持一・笹川平和財団海洋政策研究所客員研究員がシーパワーのこれまでの理解を踏まえた今後求められる捉え方や新たな国際関係への影響について、実務経験やご専門からご報告いただくとともに、参加者から寄せられた質問やコメントも交えた活発な議論が交わされました。
最後に、閉会挨拶では村川豊・水交会専務理事(元海上幕僚長)より、本シンポジウムにより今後の国際関係の安定化に向けたシーパワーの多様かつ重要な役割が示されたこと、及び基調講演者、各パネリスト及び参会者の方々への感謝の意が表明されました。
なお、今回のシンポジウムの詳細については、2024年4月1日刊行の『水交』陽春号でも紹介される予定ですので、ぜひご覧下さい(詳細は水交会ウェブサイトをご覧ください)。
【参考資料】
今回のシンポジウムの資料は以下のリンクよりPDF版をご覧いただけます。
プログラム・登壇者略歴(509.3KB)
パネルディスカッション資料①池田徳宏氏(878.4KB)
パネルディスカッション資料②北川敬三氏(2.4MB)
パネルディスカッション資料③金永明氏(903.2KB)
パネルディスカッション資料④倉持一氏(1MB)
(文責:海洋政策研究所 主任研究員 小森 雄太)