News

新着情報
ニュース

【開催報告】衛星VDES国際フォーラム

2023.03.15
笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI)は2023年2月24日、衛星VDES国際フォーラム「社会実装にむけた取り組みと今後求められる国際的共同について」をハイブリッド形式で開催しました。  衛星を利用した次世代海上通信インフラである衛星VDES (VHF Data Exchange System) の社会実装にむけて、国内外の官民において様々な取り組みが進められています。衛星VDES の利用普及や事業化を目的とし、2022年10月には国内民間企業を中心に衛星VDES コンソーシアム(VDES-SC)が設立されました。一方、海外でもVDES Allianceが結成され、利用普及のための世界的なネットワーク構築が目指されています。本シンポジウムでは、国内・海外両方の視点から、社会実装に向けて今後期待されること、そしてその中で国際的な協力が期待されることについて、議論の中で可能性を見出すことを目指しました。  同週2月20日から24日にかけて東京で開催されたIALA Workshop on Digital Maritime Communication の後に続く形で、同ワークショップに参加していた海外ゲストも含む専門家を主な対象としたセミクローズド形式での開催となりました。  冒頭の阪口秀・笹川平和財団海洋政策研究所長による開会挨拶、ならびに赤松友成・笹川平和財団海洋政策研究所海洋政策研究部長からの趣旨説明の後、粟井次雄・海上保安庁海洋安全保障推進室長/国際航路標識協会理事より、MDA(Maritime Domain Awareness: 海洋状況把握)において衛星VDESに期待される点や、過去のGMDSS(Global Maritime Distress and Safety System)構築の歴史から得られた教訓も踏まえた国際協調の重要性が述べられました。
基調講演を行う粟井次雄・海上保安庁海洋安全保障推進室長/国際航路標識協会理事 写真

基調講演を行う粟井次雄・海上保安庁海洋安全保障推進室長/国際航路標識協会理事

 続くパネルディスカッションは、内容に応じて二部構成で展開されました。第一部は「インフラ/システムの構築・整備」をテーマとし、欧州のVDES AllianceからはLars Moltsen氏(Sternula)、Peter Bergljung氏・Magnus Nyberg氏(Saab)、Hans Christian Haugli氏(Space Norway)が登壇したほか、日本のVDES-SCからは志佐陽氏(IHI)、福代孝良(アークエッジスペース)が登壇しました。上記テーマに沿って各機関の取り組み内容に関する紹介が行われた後、モデレーターの西村浩一氏(東洋信号通信社)の進行のもと、行政機関との連携や小型船への搭載可能性、国際的な通信許認可といった点について会場からの質問も含めて議論が行われました。
第一部の様子 写真

第一部の様子

 「実利用・ビジネス化促進・トレーニング」をテーマとする第二部では、Jillian Carson-Jackson氏(JCJ Consulting)、佐野義浩氏(商船三井テクノトレード)、Axel Hahn氏(German Aerospace Center)、吉田公一氏(笹川平和財団海洋政策研究所、オンラインにて参加)といった上記のテーマそれぞれに取り組む多様なセクターの専門家がパネリストとして登壇し、講演を行いました。Carson-Jackson氏は講演後にモデレーターも務め、通信のセキュリティや既存規格との連携、ビジネスモデル検討の必要性や他の高速通信と衛星VDESとの使い分けといった点について有意義な議論が交わされました。
第二部の様子 写真

第二部の様子

 最後に、閉会挨拶では赤松氏より、フォーラムのまとめに加えて研究開発の先にある社会実装・事業化に向けた期待、データ管理の重要性が述べられ、閉会となりました。参加していた関係者からは、実証実験の実施や国際標準の策定といった連携をさらに進めていくことに対する期待や、実際の協働が進められた上での次回フォーラム開催を心待ちにしている旨の意見が寄せられました。

 

【参考資料】
今回のシンポジウムの資料は以下のリンクよりPDF版をご覧いただけます。
衛星VDES国際フォーラム -社会実装にむけた取り組みと今後求められる国際的協働について-
Satellite VDES Forum -International cooperation toward its social implementation-

(文責:笹川平和財団海洋政策研究所 研究員 田中広太郎)

ページトップ